記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

祭りの秋、演劇の秋…。戯曲を書きたかった?初三郎。

2007年09月10日 23時18分55秒 | 吉田初三郎
 明後日から博多は放生会(ほうじょうや)である。博多の秋は放生会で
始まり、灯明ウオッチング、博多おくんちと続く。各町内では敬老会や運
動会など行事が目白押し。普段は敷居の高いバーやクラブをハシゴできる
イベントもある中洲祭りも10月である(今年も開催か?)。

 個人的にはイベントも楽しみだが、10~11月に集中する人気舞台も気
になる訳である。地元代表!ギンギラ太陽’sの新作「チョコレーツ・オ
ブ・チロリアン」はじめ、京都のヨーロッパ企画の新作「火星の倉庫」も
気になる。果ては、東京での公演「恐れを知らぬ川上音二郎一座」を諦め
た三谷幸喜の新作「エキストラ」まで、必見舞台のオンパレード!

 三谷幸喜「恐れを知らぬ川上音二郎一座」は先行予約も2枚までという
ことで、家族3人で行けないならばと泣く泣く諦めた。東京だろうと何処
だろうと行く覚悟であったが、音二郎の故郷・博多でぜひ今回の舞台は演
じてほしい。パルコは無くても、西鉄ホールもイムズホールもあるし(笑)。

 舞台を基にしたシュチュエーション劇の傑作!映画「キラサギ」。8月
に観に行った後、娘とともに3回観に行ってしまった(笑)。できればこ
れも映画と同じキャストで(贅沢!)舞台を観てみたい!ヒロイン?のキ
サラギミキ役は福岡出身!(劇中では福島出身)それだけで親近感まで憶
えてしまった。

 夜、仕事の休み時間に久々にドラマ「動物のお医者さん」を観た。当然
DVDボックスが棚に並んでいる訳で、ショートストーリーのドラマなら
すぐに仕事復帰できると睨んでの選択であった。しかし、選んだ話はあの
須賀健太と堀北真希が無名時代に一緒に出演している回。ALWAYS~
三丁目の夕日の淳之介、六ちゃんコンビである。

 このドラマ、視聴率が良かったのかは知らないが、原作ファンとしては
珍しく納得できるレベルの仕上がりだったと思う。昨今の映画やドラマの
大半は原作付、それもマンガが多い。ドラマにする必要性があるのか疑問
の作品も多い訳で、夏のドラマは毎年だがドタバタ主体で心に残るものは
ほとんど無い。

 時代は異なるが、鳥瞰図の大家・吉田初三郎は小説や論文、そして浪曲
や戯曲にも非常に興味を持っていた。JTB「旅(昭和4年)」に小話風
の旅恋話を執筆していたり、自身の会社で発行していた観光情報誌でも艶
話は何度も書いている。鳥瞰図の解説にも「絵に添えて一筆」を必ず添え、
天草のようにその艶っぽい文章で書かれた天草紹介文が地元で問題となっ
て協会がモメたなんてことも結構あったようだ。

 戦後昭和21年には、広島図書が創刊した「歌の新聞」に自作の歌詞まで
発表しているし、疎開時代には日記に戯曲もどきの文章や謡曲の絵を多数
描き遺している。歌の新聞は、今に知られる童謡が初出した作品が多いこ
とはあまり知られていない。作詞は編集スタッフも多いが、作曲は服部良
一など著名な方々が名を連ねている。初三郎の住所録にも作家や作曲家の
記載が多く、服部良一の名と住所も勿論記載されていた。

 戦時下から戦後、鳥瞰図があまり描けない時期を中心に、初三郎は文章
をたくさん書き遺した。昨年開催された八戸での企画展の折、初三郎が描
く美人のモデルは婦人である百合子さんであると地元新聞にも記されたが、
私はひょっとすると違うのでは?とも思っている。

 百合子さんと実際に籍を入れたのは昭和11年。代表作であり日本の観光
イメージを創り上げた作品「ビューティフル・ジャパン」作成時の昭和4
~5年は、拠点である犬山をほとんど留守にしている。その間、初三郎は
京都で一人の女性と知り合い、京都滞在時には居を共にしている。数年後
には実子も生まれ(後に認知)、母子を描いた「到津遊園」などの作品の
美人は明らかに後者である。また、写真から判別すると百合子さんという
よりも後者の女性の面影が強い。

 今となってはその是非を問うのも邪道。真相を確かめようなどと大それ
たことも考えていないが、作品を見比べた時にふと思った訳である。それ
も佐敷のご遺族(実子)に会うまでは全く考えてもみなかった。ご遺族の
もとに、ご遺族本人の赤ん坊の時に初三郎が描いた肖像画が遺されている。
このタッチがそのまま初三郎が描く子供のイメージなのである。しかし、
これはあくまで私の私見であり、真相は初三郎本人でなければ判らない。

 画家、経営者としての初三郎は厳しい視線も垣間見られるが、人間的な
初三郎の評価を実際に会って対応した人々に聴いていくと、共通するのは
誰にでも分け隔てなくアタマの低い人だったということ。一般的な芸術家
のイメージからはかけ離れており、それが支持者を集め、さらに現代に到
るまでファンを繋ぎとめる理由かもしれない。

今日の写真は、昭和25年に山口市鳥瞰図を描いた初三郎とスペインから派
遣された宣教師とザビエル記念像の前での記念撮影。踏査取材時の一コマ
で新聞記事にもなった。同年よりスペインとの文化交流が始まり、翌々年
にはザビエル記念聖堂の建設へと繋がる。初三郎は25年版と聖堂完成後の
27年版(一部改訂)の山口市鳥瞰図を描いている。絹本原画の所在は不明。

アンティーク絵葉書に観る懐かしの風景・町並み
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鳥瞰図絵師・前田虹映

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1 コメント

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Unknown (マルコ)
2007-09-14 20:11:58
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