この夏は複数の書籍や記念誌の執筆編纂を並行して進行中です。2005（平成17）年夏に相談いただいてお手伝いを始めた冷泉自治協議会の活動記録係では、今年2017（平成29）年が前身の冷泉自治連合会結成から50年の節目にあたり、五十周年史の執筆編纂が佳境を迎えています。
2007（平成19）年に冷泉自治協議会40周年史「冷泉のあゆみ 1945〜2007」を一度まとめているので、今回は近10年のあゆみに加えて今後の自治活動の課題や冷泉地区の将来像を、聞き取り会などを経て編纂。博多祇園山笠も終わり、各町ごとに聞き取りを進める8月となります。40年史の一部内容は私の運営サーバ内で「冷泉のあゆみ 1945〜2007」としてサイト公開し、2007年度「マイタウンマップ・コンクール」にて優秀賞をいただくなど相応に評価もいただき、私自身が地域アーカイブ（記録保存）の必要性を再認識するきっかけのひとつになりました。
6月からは、自治協事務局に保管されていた昭和30〜40年代の写真アルバム群をデジタルアーカイブ作業中で、これが終われば紙面に挿入する作業を残すのみ。膨大な写真アルバムは2006年に一度デジタル化を試みたのですが、当時のデジタルデータは今のクリアなモニターでチェックすると粗の方が目立ちます。手間はかかるものの、やはり最良のデータで保存する方が良いと思い、費用・時間は自前で改めて元写真からのデジタルアーカイブ化を試み中です。
私自身がこの10年余、冷泉地区のまちづくり活動（新年会、どんど焼き、清掃活動、慰霊祭、敬老会、運動会等々）の記録撮影班を務めてきたことで、まちづくりに携わってきた先輩方の遺した貴重な約2千点の写真群を改めて見直すと、撮影者の思いや撮影構図の工夫も見えてきて、後世に遺る記念誌の編纂という大役に身が引き締まる思いを感じています。
まちづくり活動の記録とは「良いことも悪いことも記録すべし」。前々自治協議会長から依頼をいただいた際に私が指導を受けたのは、町内で起きた祝事だけでなく、火事や事故なども可能な限り記録を取ってほしいという事です。実際、上川端商店街で早朝火災があった際は朝7時前に「早く来い」という電話をいただき現場に駆けつけました。
時間が経てば風化する事象をきちんと記録することの大切さは、同時期に博多総鎮守・櫛田神社が製作をはじめた「博多カレンダー」の委員に任命いただいたことで、一層認識します。櫛田神社・博多祇園山笠振興会・博多松囃子振興会で毎年１万部発行している「博多カレンダー」には博多小学校区（博多部旧４校区）の地域年中行事も記載され、自分の仕事とは別に、ご奉仕（ボランティア）として櫛田神社の神事を中心に記録撮影に駆けつけます。
毎年撮影する博多祇園山笠の写真も、私自身の作品として趣味で撮影している訳ではなく、記録撮影を担っているという自負だけで時間と労力を割いて動いているもの。昨年五十周年史の編纂を仕事として発注いただいた西流は正式に記録撮影のご依頼をいただいているので優先的に撮影してデータで納品していますが、他流も可能な範囲で撮影して、各流の知人にはそれぞれデータごとお渡ししていることをご存知の方はわずかです。
写真コンクールの類には応募する気もなく、誰も撮影していなかった一瞬のカットに喜んでいただける参加者の皆さんからのお礼の言葉だけがモチベーションですが、私の役割をご存知の方は、同様にご奉仕で活動している地域の役員クラスや櫛田神社の関係者だけなので、事情をご存知ない方や写真愛好家の方からはよく苦言もいただきます（笑）。
役得な面ばかり見られていますが、記録を担う立場で邪魔にならないよう可能な範囲で目を配りつつの活動は相応のストレスもあり、正直言って仕事や私生活に影響がある場合も多々（笑）。応援いただける方も次第に増えて、ブラタモリをはじめとする多くのTV番組をお手伝いしてきたのも、知らないところで私を推薦してくれる方がたくさんいるおかげです。
この10数年間冷泉地区や博多カレンダー委員として撮影した記録写真は優に100万カットを超え、個人的に撮影していた30年来の町並み風景写真と合わせて、現在の仕事が落ち着いたらそろそろ真面目に整理してみようかと思案中です。日々の感謝を忘れずに、時々は過去の自分を振り返って初心に帰ることも必要だと自覚した土曜日の朝です。
新刊Vol,21「にしてつ電車の四季」Vol.22「西鉄8000形」フォトブックシリーズ全22冊
にしてつWebミュージアム（企画構成を担当）
アーカイブ画像ライブラリー（アンティーク絵葉書に観る懐かしの風景・町並みアーカイブス）
KBC「栄光の西鉄ライオンズ」DVD紹介の特設ページ（企画構成・台本・監修を担当）
※掲載している文章・写真画像の無断転載・使用はご遠慮ください。
