2017年4月10日 千屋ダム
千屋ダムは岡山県新見市の高梁川本流上流部にある岡山県営の多目的重力式コンクリートダムです。
高梁川中上流部は岡山県により早くから河川改修が行われてきましたが、河川沿いに住宅地が広がる新見では豪雨のたびに洪水被害が発生してきました。1964年(昭和39年)に主要支流の西川に河本ダムが完成しますが、高梁川本流は手つかずで1972年(昭和47年)7月豪雨では新見市街地や伯備線で大きな被害が発生しました。
一方1967年(昭和42年)をはじめ異常渇水による水不足も頻発し、さらに水島臨海工業地帯での工業用水の新規需要や高速道路の整備に伴う新見市での上水道の需要拡大から安定した水源の確保が課題となりました。
これらの諸課題に対処するために岡山県は高梁川総合開発事業の一環として高梁川本流での多目的ダムの建設に着手、1998年(平成10年)に千屋ダムが竣工しました。
千屋ダムは高梁川の洪水調節、既得取水権への補給及び河川流量の保持、新見市への上水道用水の供給、水島地域への工業用水の供給を目的とするほか岡山県企業局千屋発電所で最大3000キロワットの発電を行っています。
国道180号を北上すると左手に千屋ダムが見えてきます。
クレストには自由越流式洪水吐が11門、中央にローラーゲートが4門並びます。
さらにオリフィスゲートが2門、コンジットゲートとして堤体下部にジェットフローゲートが2門あります。
この日はオリフィスから放流が行われていました。
ダム右岸(向かって左手)下部に千屋発電所があります。
ゲートをズームアップ
クレストの4門のゲートが視認できます。
赤いとんがり棒の建物は展望台で建屋下部の一部が石積風です。
ダム下も整備され堤体を見上げることができます
桜が満開ならもっと絵になるんですがちょっと早すぎたようです。
ダム下には試験湛水用のゲートと放流管が展示されています。
左岸から
やはり赤い屋根の展望台に目が行きます。
ズームアップ
程よい石積み風の装飾がいい按配です。
福島のどっかのダムとは大違い。
減勢工
右岸の赤い丸屋根の建屋が千屋発電所です。
左岸の艇庫とインクライン。
天端は車両通行可能。
減勢工。
上流から見るとゲートの並びがわかりやすい
4門のローラーゲートの間にオリフィスの2門の予備ゲートがあります
右手は取水設備 左手は艇庫と管理事務所。
ゲート周りは複雑ですが、複雑がゆえに見学が楽しくなります。
ダム下も整備されているうえに県営ダムでは珍しく展示室まで用意されている非常に快適な千屋ダムでした。
(追記)
千屋ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
1905 千屋ダム(0938)
岡山県新見市菅生
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系高梁川
FNWIP
G
97.5メートル
259メートル
千㎥/千㎥
岡山県土木部
1998年
◎治水協定が締結されたダム