ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大代川農地防災ダム

2016-11-28 12:05:34 | 静岡県
2016年11月26日 大代川農地防災ダム
 
大代川農地防災ダムは静岡県島田市の大井川水系大代川上流部にある灌漑・防災目的の重力式コンクリートダムで、1968年(昭和43年)に静岡県の農地防災事業により建設され、島田市が受託管理を行っています。
 
国道473号から大代川沿いに県道81号を進むと大代林道入口が現れます。
林道は車両通行禁止ですが徒歩での通行は問題ないのでここに車をおいて林道を歩きます。
 
林道を約1.5キロ歩くとダムに到着します。
右岸が少し湾曲したなかなか格好いい堤体で、グリーンの手すりがいいアクセントになっています。
 
右岸の管理事務所
堤体は立ち入り禁止。
 
天端。
 
これは放流ゲートの清掃用の施設のようです。
 
放流ゲートのスクリーン。
防災ダムなのでダム湖はカラカラです。
 
上流から
樹林が視界を遮りこれが精一杯です。
 
ダムの目的には『A』の灌漑も入っていますが、防災専用ダムのようにダム湖はカラカラでした。
 
追記
大代川農地防災ダムには農地防災容量が設定されていますが、近年頻発する豪雨災害に備えて豪雨の際に事前放流を行う治水協定が締結され、基準降雨量358ミリの雨が予想される場合には事前放流により合計61万5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1169 大代川農地防災ダム(0714)
静岡県島田市大代
大井川水系大代川
FA
 
43メートル
122メートル
島田市
1968年
◎治水協定が締結されたダム

東富士ダム

2016-01-18 14:00:00 | 静岡県
2016年1月17日 東富士ダム
 
東富士ダムは左岸が静岡県御殿場市半野、右岸が同市柴怒田にある静岡県経済産業部農地局が管理する灌漑目的のアスファルトフェイシングフィルダムでです。
御殿場市から小山町、裾野市にかけて広がる陸上自衛隊の東富士演習場周辺では、砲弾演習による裸地化の結果、洪水流出率の増加と保水力の低下により灌漑用水の確保に毀損が生じてきました。
そこで防衛施設庁の障害防止対策事業の補助を受けた静岡県の東富士演習場周辺農地整備事業により代替灌漑用水源として1971年(昭和46年)に建設されたのが東富士ダムです。
東富士ダムはアスファルトによる表面遮水式ダムで堤頂長1597.5メートルは全ダムで第2位、アスファルトフェイシングフィルダムでは最長の規模を誇ります。
 
貯水池の周りすべてが堤体で堤頂が約1600メートルにも及ぶ珍しい型式ですが、2重のフェンスに囲まれダムを接近して見ることはできません。
ダムの東側の堤体。
 
ダムの説明板
ダムの詳細はこの説明板から推察するしかありません。
 
取水設備を遠望
余水吐を兼ねているようです。
 
右手のくぼんだ所にインレットの沈砂池があるようです。
 
余水吐吐口
余水吐の吐口が円筒形の変わった形状らしいが、これまたフェンスに阻まれ見ることができません。
ドローンで上から覗いて見てみたい。
 
ダムの型式や規模など非常に変わり種のダムですが、フェンスに阻まれ肝心なところが何も見れないダムです。
 
1172 東富士ダム(0196)
左岸 静岡県御殿場市水土野
右岸      同市柴怒田
酒匂水系抜川
FA
22メートル
1297.5メートル
1269千㎥/1250千㎥
静岡県経済産業部農地局
1971年

長瀬ダム

2016-01-18 12:00:00 | 静岡県
2016年1月17日 長瀬ダム
 
長瀬ダムは静岡県伊豆の国市の狩野川水系長瀬川にある灌漑用アースダムで伊豆の国市が管理を行っています。
伊豆長岡から県道130号線を三津方面に向かい、長瀬集落で市道を北に折れ長瀬川に沿った狭い道を進むと長瀬ダムに到着します。
ちょうど地元の皆さんが不法投棄防止のためのパトロールを行っておられ、多摩ナンバーのBMWで乗り付けたものだから皆さんの視線は不審者感ありあり。
でもダム巡りをしている趣旨を説明すると長瀬ダムについて詳しくお話を伺うことができました。
1950年(昭和25年)に当時の伊豆長岡町によって築造され、その後の改修を経て長瀬ダムとなり現在も伊豆長岡市街南部の農耕地の貴重な水源となっています。
 
上流面はコンクリートで補強
湖面に浮かぶのはフローティング方式の取水設備かと思ったら、何かの観測装置でした。
 
下流面
これだけ見ると堤高15メートルには見えませんが、実は堤体は二段になっていてこの下にもう一段堤体が控えています。
 
左岸の円形の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
とんがり頭の取水設備。
 
伊豆半島には河川法で定められたダムは3基しかありませんが、そのうちの1基が長瀬ダム。
奥野ダムと青野大師ダムはダムカードが配布されていますが、ここはただのアースダム。
ダムマニアとは言え長瀬ダムを訪問する人はほとんどいないでしょう。
 
3628 長瀬ダム(0194)
ため池コード 222250010
DamMaps
狩野川水系長瀬川
16.2メートル(ため池データベース14.6メートル)
70メートル
24千㎥/24千㎥(ため池データベース23千㎥)
伊豆の国市
1950年

奥野ダム

2016-01-18 10:00:00 | 静岡県
2016年1月16日 奥野ダム
 
奥野ダムは静岡県伊東市の伊東大川に建設された静岡県営の多目的ロックフィルダムです。
伊東市を東西に貫流する伊東大川は伊東市の貴重な水源ですが、氾濫が絶えず1958年(昭和33年)の狩野川台風では伊東市に壊滅的な被害をもたらしました。
また伊東では伊豆半島有数の観光地として増え続ける水需要の水源確保も大きな課題となっていました。
そこで1989年(平成元年)に静岡県により建設されたのが奥野ダムです。
奥野ダムは伊東大川の洪水調節、既得用水の補給と河川維持流量の確保、上水道の供給を目的としています。
 
ダム周辺は公園として整備され、ダム湖の松川湖を周回する遊歩道ではウォーキングやランニングを楽しむ市民が多く、平日でもダムの駐車場は車でいっぱいです。
 
管理事務所の手前が駐車場になっており、事務所の下をくぐるとダムサイトに出ます。
一般の車は管理事務所の手前で進入禁止。
 
天端と下流面
もちろん天端は車両の通行はできません。
 
左岸にある洪水吐。
 
洪水吐導流部
ダム直下には伊東の市街地が広がります。
 
左岸にある取水設備。
 
ダムの下流にも公園がありますが、こちらはあまり利用されている気配はありません。
洪水吐を直下から見上げる事ができます。
副ダムから先は立ち入り禁止です。
 
1176 奥野ダム(0192)
静岡県伊東市鎌田
伊東大川水系伊東大川
FNW
63メートル
323メートル
5100千㎥/4600千㎥
静岡県交通基盤部
1989年

豊岡ダム(堰堤)

2015-12-28 14:00:00 | 静岡県
2015年12月26日 豊岡ダム(堰堤)
 
豊岡ダムは静岡県浜松市天竜区門桁の天竜川水系気田川にある中部電力(株)が管理する発電目的の取水堰堤です。
1938年(昭和13年)に当時の中部電力(現在の中部電力とは別会社)に建設され、日本発送電時代を経て戦後は中部電力が継承、ここで取水された水は導水管によって8キロ下流の豊岡発電所に送られ、最大8100キロの発電を行っています。
 
豊岡ダムは気田川沿いの県道389号線脇にあります。
下流から見ると、天端の青い橋梁、中電らしい赤いゲートが周りの自然の中で映えて見えます。
 
鉄骨トラスの青い橋梁が鮮やか。
 
天端への入口。
 
プチ甲子園。
 
 
天端を渡って右岸から
対岸の道路は気田森林鉄道の軌道跡です。

豊岡ダム(豊岡堰堤)
静岡県浜松市天竜区門桁
天竜川水系気田川
中部電力(株)
1938年

水窪ダム

2015-12-28 12:00:00 | 静岡県
2015年12月26日 水窪ダム
 
水窪ダムは浜松市天竜句水窪町の天竜川水系水窪川左支流戸中川にある電源開発(株)の発電用ロックフィルダムです。
天竜川中流域で佐久間ダム、秋葉ダムを完成させた電源開発は天竜川支流にも開発の手を伸ばし、1969年(昭和44年)に天竜川支流の水窪川水系に水窪ダムと水窪発電所を建設しました。
ここで取水された水は導水管で5キロ下流の水窪発電所に送られ最大5万キロワットの発電を行っています。
さらに水窪発電所の放流水は導水路で佐久間ダムに送られるため、本来佐久間ダムの下流で天竜川に合流し佐久間発電所で利用できずにいた水窪川水系の水を佐久間発電所で活用できるようになりました。
 
国道152号を北上、水窪から水窪川に沿って市道を東進すると水窪ダムに到着します。
下流から南アルプス深南部の山懐に抱かれた水窪ダム。
 
ロックフィルながら堤体が湾曲しています。
天端は車両通行可能ですがガードレールはなく落ちたらお陀仏。
 
下流面を見ても堤体が湾曲しているのがわかります。
 
下流をズームアップ
なんかごちゃごちゃしていますが、この下にトンネル式洪水吐導流部の吐口や減勢工があるようです。
 
右岸の洪水吐のラジアルゲート2門
ここからトンネル式の導流部へと続きます。
 
左岸の取水口
ここから水窪発電所へと導水されます。
 
ダムへ向かう道路の頭上に水窪発電所への導水管が見えます。
 
(追記)
水窪ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1171 水窪ダム(0140)
静岡県浜松市天竜区水窪町地頭方
天竜川水系戸中川
105メートル
258メートル
29981千㎥/22836千㎥
電源開発(株)
1969年
◎治水協定が締結されたダム

佐久間ダム(元)

2015-12-28 11:00:00 | 静岡県
2015年12月26日 佐久間ダム(元)
 
佐久間ダムは浜松市天竜区佐久間町の天竜川にある電源開発(株)が所有する発電用重力式コンクリートダムです。
戦後の経済発展に伴う電力不足に対応するため、水量が豊富で急流が続く天竜川中流域に着目、1956年(昭和31年)に電源開発によって建設されたのが佐久間ダムです。
米国の技術を積極的に取り入れ着工からわずか3年という突貫工事で完成、現在でも堤高155.5メートルは重力式コンクリートダムで第4位、全ダムでも第9位、ダム湖の総貯水量は日本第8位の巨大ダムとなっています。
佐久間ダムの建設は大型土木構造物の近代的機械化工法が確立され日本の土木史においての『金字塔』と称されています。
 
ダムと同時に運用を開始した佐久間発電所は最大出力35万キロワットと一般水力発電では日本第3位の出力を誇り、年間総発電量は日本一の発電所となっています。
また1972年(昭和47年)からは新豊根発電所で新豊根ダムを上部ダム、佐久間ダムを下部ダムとする揚水発電で最大112万5000キロワットの発電を、1982年(昭和57年)には佐久間発電所の放流水を利用した佐久間第二発電所が完成、最大3万2000キロワットの発電を行っています。
 
発電のほかダム湖(佐久間湖)から佐久間導水路を通じて愛知県の宇連ダムに送水され豊川用水の水源の一部を担っているほか、2004年から国交省中部地方整備局により堆砂対策を通じた洪水調節機能を強化するための再開発事業がスタートしています。
 
今回は新豊根ダムから佐久間ダムへ向かい国道473号を北上、中部天竜から県道1号を北に向かい佐久間ダムに至りました。
佐久間電力館の展望台からダムを見下ろすします。
 
 
減勢工。
 
無駄な飾りのないゲートビアはいかにも質実剛健。
青い巻き上げ機と佐久間ダムの文字が目立ちます。
 
ゲートの補修工事が行われています。
取水塔の丸い屋根がお茶目。
 
 
天端から導流部。
ごつごつ感が堪りまへん。
 
2棟並ぶモダンな取水棟
ダム本体のいかつい様相とは対照的。
 
いかにも昭和30年代の風情漂う天端。
 
(追記)
佐久間ダム(元)は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  

1160 佐久間ダム(元)(0139)
左岸 静岡県浜松市天竜区佐久間町佐久間 
右岸 愛知県北設楽郡豊根村古真立
天竜川水系天竜川
155.5メートル
293.5メートル
326848千㎥/205444千㎥
電源開発(株)
1956年
◎治水協定が締結されたダム
------------
3326 佐久間ダム(再)
左岸 静岡県浜松市天竜区佐久間町佐久間
右岸 愛知県北設楽郡豊根村古真立
天竜川水系天竜川
FP
155.5メートル
293.5メートル
343000千㎥/221596千㎥
国交省中部地方整備局
2004年~

太田川ダム

2015-11-30 17:00:00 | 静岡県
2015年11月29日 太田川ダム
 
太田川ダムは静岡県周智郡森町亀久保の二級河川太田川本流上流部にある静岡県交通基盤部が管理する重力式コンクリートダムで、建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムとして2008年(平成20年)に竣工しました。
最大350立米/秒の洪水をカットし太田川下流の基準地点で最大500立米/秒の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、遠州地域16市町村への上水道用水の供給を目的としています。

ダム下へのアプローチはできませんが、それ以外の展望ポイントは充実しています。
右岸展望台から
右手は管理所。
 
一見アーチのようですが型式は曲線重力式。
緩やかなカーブはある意味本物のアーチよりも美しい。
左岸は地盤が脆弱なのか?アンカーが並びます。
 
2008年竣工なので、放流設備は当然ゲートレス。
クレストラジアルゲート4門、自然調節式オリフィス1門を備えています。
左手の建屋は取水設備、右手はエレベーター棟。

竣工から8年しかたっていないので、コンクリートが真新しい。
 
天端は徒歩のみ開放。
 
天端から
右岸には放流設備があり河川維持放流中
川は減勢工のすぐ下流で左に直角に曲がります。
 
左岸から
1~3枚目の写真は対岸高台の展望台から撮りました。
 
かわせみ湖と命名されたダム湖は総貯水容量1160万立米
湖畔に沿って遊歩道が整備されています。
 
上流面をズームアップ
取水設備は選択式のようです。
 
(追記)  
太田川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  

3014 太田川ダム(0077)
静岡県周智郡森町亀久保 
太田川水系太田川
FNW
70メートル
290メートル
11600㎥/10800㎥
静岡県交通基盤部
2008年
◎治水協定が締結されたダム

大間ダム

2015-11-30 16:00:00 | 静岡県
2015年11月29日 大間ダム
 
大間ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町奥泉、右岸が同町千頭の一級河川大井川水系寸又川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な大井川本支流では1931年(昭和6年)の大井川鉄道金谷~千頭間の開通を契機に複数の業者による電源開発が本格化します。
大井川右支流の寸又川では富士電力(株)による電源開発が進められ、1935年(昭和10年)の千頭ダム・湯山発電所に次いで次いで1938年(昭和13年)に建設されたのが大間ダムです。
大間ダムは併せて建設された大間発電所の取水ダムで約2キロの導水路による最大1万3200キロワットのダム水路式発電が稼働しました。
大井川流域の発電施設は電力管理法による日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した中部電力が事業を継承しました。 
その後1992年(平成4年)の改修で大間発電所の出力は最大1万6500キロワットまで増強されました。
大間ダムは戦前の貴重な土木建造物としてAランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
寸又峡温泉に車を止め、森林鉄道軌道跡を利用した寸又峡の遊歩道を進むと右下に大間ダムが見えてきます。
戦前戦中のダムによくみられる、ゲートビアが一段高くなっている構造。
 
ダムへの立ち入りはできません。
遊歩道を進み上流にある夢の吊り橋を渡ります。
 
吊橋からは正面にダム上流面が見えます。
ダム右岸の斜面に管理建屋群が張り付くように建っています。
 
クレストラジアルゲート4門
右岸に大間発電所への取水口があります。
 
寸又峡温泉の駐車場に展示された千頭森林鉄道の機関車。
 
ダムの展望ポイントは限られていましたが、渇水期であれば下流の河原を遡上して堤体直下にたどり着けるようです。
また大間ダムからさらに10キロ上流には千頭ダムもあります。
機会があればぜひチャレンジしたいですね。
 
追記
大間ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。   

1155 大間ダム(0076)
左岸 静岡県榛原郡川根本町奥泉 
右岸         同町千頭 
大井川水系寸又川
46.1メートル
107メートル
1519㎥/741㎥
中部電力(株)
1938年
◎治水協定が締結されたダム

笹間川ダム

2015-11-30 15:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 笹間川ダム
 
笹間川ダムは静岡県榛原郡川根本町笹間渡の一級河川大井川水系笹間川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令で新たに誕生した中部電力は、高度成長による電力需要急増に対処するため包蔵電力の豊富な大井川流域での新規電源開発に邁進します。 
この一環として1960年(昭和35年)に完成したのが川口発電所で、併せて建設された取水ダムである塩郷ダム  からの約12キロの導水路により最大5万8000キロワットのダム水路式発電を行います。 
この導水路と笹間川の交差地点に建設さたのが笹間川ダムで、上部調整池として大井川から導水した水をいったんダム湖に貯留するとともに、当ダムで取水した水と併せて川口発電所に送水します。

県道77号から『笹間川ダム』の標識に従い旧道に入るとダム右岸に到着します。
真正面からの展望ポイントはありません。
クレストにラジアルゲート2門。
後付けの維持放流設備から放流されています。
 
ゲートをズームアップ
奥のゲートにはフラップが付いています。
ゲート右手の建屋は後付けの維持放流用設備と思われます。
 
天端は車道です。
対岸に道路が続いており、バブル期には対岸で分譲地開発が企図されたそうですがバブル崩壊で計画はとん挫。
対岸左手が川口発電所への取水口。
 
左岸側の洪水吐導流部
ゲートからの放流ではなく、後付けの河川維持放流設備からの放流です。
ゲートのフラップが見えます。
 
減勢工。
 
取水口と沈砂池。
 
日が暮れてきたため急ぎ足での見学となり、塩郷ダムからの導入口やダムの上流面などあれやこれや見落としてしまいました。
機会があればぜひ再訪してみたいです。
 
追記
笹間川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。 

1166 笹間川ダム(0075)
静岡県島田市川根町笹間渡 
大井川水系笹間川
46.4メートル
140.8メートル
6340㎥/1680㎥
中部電力(株)
1960年
◎治水協定が締結されたダム

塩郷ダム

2015-11-30 14:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 塩郷ダム
 
塩郷ダムは左岸が静岡県榛原郡本川根町下泉、右岸が同町久野脇の一級河川大井川中流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリート堰堤です。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令で新たに誕生した中部電力は、高度成長による電力需要急増に 対処するため包蔵電力の豊富な大井川流域での新規電源開発に邁進します。   
この一環として1960年(昭和35年)に完成したのが塩郷ダムです。
塩郷ダムは併せて建設された川口発電所の取水ダムで、約12キロの導水路により最大5万8000キロワットのダム水路式発電を行います。  
さらに川口発電所放流口には県営の灌漑用水である大井川用水の取水口があり、塩郷ダムは発電用水のみならず大井川用水の実質的取水口にもなっています。
塩郷ダムは堤高3.2メートルとダムの要件を満たしておらずダム便覧にも未掲載ですが、大井川の発電網の中枢となる重要な堰堤のため立ち寄ることにしました。

かつて塩郷ダムでは大井川の河川流量のほぼすべてを取水していたため、完成直後から大井川下流はその大半が水無川となりました。
そんな中で、瀬切れによる水環境悪化に反発した流域住民による『大井川水返せ運動』が盛んとなり、この運動は最終的に1997年(平成9年)の河川法改正による河川維持放流の義務化へとつながって行きます。
 
塩郷ダム天端は車道になっており、周辺に両岸を結ぶ橋がないことから狭い道にもかかわらずひっきりなしに車が行き交います。
 
右岸から
 
こちらが左岸ゲートによる河川維持放流。
維持放流が義務化される以前は塩郷ダムから下流は大半が水無川となっていました。
 
左岸の取水口  
笹間川ダム を経て川口発電所へと送水されます。
 
下流の塩郷大吊り橋から。
放流ゲート6門、左岸(向かって右手)の排砂ゲート2門で大井川を締め切ります。
 
ダムのそばを大井川鉄道が走っており、運よくSLが通りがかりました。

塩郷ダム
左岸 静岡県榛原郡川根本町下泉 
右岸        同町久野脇 
大井川水系大井川
3.2メートル
146メートル
㎥/㎥
中部電力(株)
1960年

境川ダム

2015-11-30 13:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 境川ダム
 
境川ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町下長尾、右岸が同町久野脇の一級河川大井川水系境川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
 
包蔵電力豊富な水大井川本支流では1931年(昭和6年)の大井川鉄道金谷~千頭間の開通を契機に複数の業者による電源開発が進められますが、電力管理法によりこれら発電施設はすべて日本発送電(株)が接収します。
同社は引き続き大井川流域での電源開発を進め、1943年(昭和18年)に建設されたのが久野脇発電所で、既設の大井川発電所の放流口直下に新たな取水堰を設け約12キロの導水路により最大3万2000キロワットのダム水路式発電を行います。
この導水路と境川の交差地点に建設さたのが境川ダムで、上部調整池として大井川から導水した水をいったんダム湖に貯留するとともに、当ダムで取水した水と併せて久野脇発電所に送水します。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により大井川水系の発電施設はすべて中部電力が継承し、同社は戦後の電力不足解消のため井川発電所や畑薙第一発電所などさらなる電源開発を推進することになります。
 
国道362号からダムへ向かう管理道路を下ると右手に境川ダムが見えてきます。
天端はゲート部分だけ高くなっています。
 
 
奥に久野脇発電所への取水口と中電レッドの取水ゲートが見えます。
 
以前はここから堤体下へ降りられたようですが、今は施錠され入ることができません。
 
追記
境川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1157 境川ダム(0074)
左岸 静岡県榛原郡川根本町下長尾 
右岸         同町久野脇 
大井川水系境川
34.2メートル
83.8メートル
1173㎥/343㎥
中部電力(株)
1943年
◎治水協定が締結されたダム

大井川ダム

2015-11-30 12:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 大井川ダム
 
大井川ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町梅地、右岸が同町奥泉の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な大井川本支流では1931年(昭和6年)の大井川鉄道金谷~千頭間の開通を契機に複数の業者による電源開発が本格化します。
大井川本流では大井川電力(株)による電源開発が進められ1936年(昭和11年)に完成したの大井川ダムです。
大井川ダムは大井川発電所の取水ダムで併せて建設された寸又川ダムを経由する総延長9キロの導水路を通じて最大6万8200キロワットのダム水路式発電を行います。
大井川流域の発電施設は電力管理法による日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した中部電力が事業を継承しました。
現在の大井川鉄道井川線の前身である大井川電力専用鉄道は大井川ダム建設の際の資材運搬用に作られたもので、戦後の奥泉ダム井川ダム  建設にも大きく貢献することになります。 
大井川ダムは全国でも珍しいローリングゲートを備えるとともに、大井川水系初の本格的ダムである点を評価してCランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
大井川ダムのそばを大井川鉄道井川線が走っています。
最寄りのアプトいちしろ駅横に車を止めて踏切を渡ります。
 
かつての井川線は大井川ダムの脇を走っており、ダムへの吊り橋は当時の鉄道用の橋梁でした。
 
上流から
かなり堆砂が進んでいます。
 
右岸から
 
大井川ダム最大の特徴であるローリングゲート。
 
主ゲートが2門、副ゲートが1門、それぞれローリングゲートです。
左岸(向かって右)の副ゲートは流木などを流す塵芥ゲート。
 
左岸から
正面が大井川発電所への取水口で奥の赤い屋根は奥泉発電所。
 
スクリーンの裏側。
手前に奥泉発電所があり、その放流水を合わせて寸又川ダム 経由で大井川発電所に送水します。 
 
追記
大井川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1153 大井川ダム(0074)
左岸 静岡県榛原郡川根本町梅地 
右岸         同町奥泉 
大井川水系大井川
33.5メートル
65.8メートル
788㎥/503㎥
中部電力(株) 
1936年
◎治水協定が締結されたダム

長島ダム

2015-11-30 11:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 長島ダム

長島ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町梅地、右岸が同町犬間の一級河川大井川本流上流部にある多目的重力式コンクリートダムです。
大井川は中部地方屈指の大河川で、電源開発や灌漑用水については戦前から高度な整備が進められてきました。
一方治水については河川整備にとどまるうえに、既得取水権の壁が厚く新規水利権の獲得が困難で、多目的ダムを軸とした河川総合開発が強く求められました。
そこで建設省(現国交省)は1972年(昭和47年)に『大井川総合開発事業』を採択し、その中核施設として2001年(平成13年)に竣工したのが長島ダムです。
長島ダムは国交省中部地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムで、大井川の洪水調節(最大1600立米/秒の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、大井川用水を通じた5000ヘクタールの農地への特定灌漑用水の供給、静岡県大井川広域水道企業団を通じた7市への上水道用水の供給、東遠工業用水水道企業団を通じた4市への工業用水の供給を目的としています。
また利水放流を利用して長島ダム発電所で最大1200キロワットの小水力発電も行われています。
このほか、大井川上流域は糸静線と重なるため崩落が多く濁水が恒常化していましたが、長島ダムは下流の中部電力大井川ダムと連携し濁水対策として表層の清水の放流を行っています。
 
国交省直轄ダムらしく、ダム周辺は広く開放されじっくり見学することができます。
ダム減勢工に架かる『しぶき橋』から
クレストラジアルゲート2門、コンジット高圧ラジアルゲート6門を装備
常用洪水吐であるコンジットゲートは毎秒6000立米という日本屈指の放流量を誇ります。
このほか河川維持放流ゲート1条、低水量放流ゲート1条を備えています。
ダム中央の二つの空気孔がダムをロボットのように見せています。
 
左岸放流設備の右手の小さな建屋が利水放流を利用した長島ダム発電所。
 
さすが国交省直轄ダム、
ダムを中心に、一帯が広く整備されています。
 
ゲートをズームアップ
やっぱり顔はロボット。
 
下流面
 
広い天端は徒歩のみ開放
上流下流両側が展望台になっています。
 
減勢工
副ダムの上に『しぶき橋』が架かっています
1枚目の写真はあそこから撮りました。
左岸奥の放流は河川維持放流、手前は長島ダム発電所の放流。
低水放流バルブが右岸から放流するため、対局の副ダム左岸側が高くなっています。
 
ダム湖の接岨湖は総貯水容量7800万立米。
漕艇競技場としても使用されます。
 
ダム右岸を大井川鉄道井川線のアプト区間が走ります。
最寄り駅は『長島ダム駅』。
 
(追記)
長島ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1178 長島ダム(0073)
左岸 静岡県榛原郡川根本町梅地 
右岸         同町犬間 
大井川水系大井川
FNAWI
109メートル
308メートル
78000㎥/68000㎥
2001年
国交省中部地方整備局
◎治水協定が締結されたダム

奥泉ダム

2015-11-30 10:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 奥泉ダム
 
奥泉ダムは静岡県静岡市葵区井川の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令で新たに誕生した中部電力は、戦後の電力不足に対処するため包蔵電力の豊富な大井川流域での新規電源開発に着手し、同社初のダムとして1955年(昭和30年)に完成したのが奥泉ダムです。
奥泉ダムは併せて建設された奥泉発電所の取水ダムで最大8万7000キロワット(2012年の改修で9万2000キロワットに増強)のダム水路式発電が行われます。
 
奥泉ダムへと通じる管理道路は関係者以外立ち入り禁止のためダムの姿を間近で見ることはできません。
ダムのはるか上を通る車道から樹間に見えるダムを撮影するのが精一杯。
 
ダムのそばを走る大井川鉄道井川線の車窓からはもっと間近でダムが見れるようですが、訪問時は災害のため運休中でした。
 
追記
奥泉ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1161 奥泉ダム(0072)
静岡県静岡市葵区井川 
大井川水系大井川
44.5メートル
75.6メートル
3150㎥/600㎥
中部電力(株)
1955年
◎治水協定が締結されたダム