ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

井川ダム

2015-11-30 09:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 井川ダム
 
井川ダムは静岡県静岡市葵区井川の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵電力が豊富な大井川での電源開発に邁進します。
その一環として1967年(昭和32年)に完成したのが井川ダムで、併せて建設された井川発電所で最大6万2000キロワットのダム式発電を行います。
井川ダムはわが国初の中空重力式コンクリートダムであるとともに、中部電力自身最初の100メートル級ダムとなっています。
建設当時はコンクリートは高価で建設コストを抑制できる中空式重力ダムが多用され、特に中部電力は中空ダム建設に積極的でした。
井川ダムに次いで建設された畑薙第一ダム 畑薙第二ダム  も中空ダムとなっており、同じ流域で3基の中空ダムが連続するのは世界でも例がありません。 
井川湖の総貯水容量1億5000万立米は県内最大で、井川ダムの完成により大井川上中域の流量の季節変動が平準化され下流各発電所の発電効率が大幅に向上しました。
また井川ダムは畑薙第一ダム   とともに日本100ダムに選ばれています。 
 
ダム右岸に駐車場、ダム管理所、PR館である井川展示館があります。
右岸から下流面を撮りましたが、逆光になってしまいました。
堤頂部から始まるスロープ、そして導流部中段の膨らみがいかにも中空ダムと言った体。
 
クレストはラジアルゲート3門を装備。
手前はエレベータ棟で、奥は取水設備。
 
井川展示館の階段から俯瞰。
天端は県道60号。
 
同じ場所から管理事務所とダム湖(井川湖)。
 
天端から見下ろすと
左下が井川発電所。
 
天端を取水設備が跨いでいます。
 
上流から
満水のためタコ足スリットは確認できません。
 
堤体上流側にこれだけ大掛かりな取水設備があるダムは珍しい。
スクリーンには除塵機が併設されています。
 
追記
井川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

 
1162 井川ダム(0071) 
静岡県静岡市葵区井川 
大井川水系大井川
HG
103.6メートル
243メートル
150000㎥/125000㎥
中部電力(株)
1957年
◎治水協定が締結されたダム

畑薙第一ダム

2015-11-30 08:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 畑薙第一ダム
 
畑薙第一ダムは左岸が静岡県静岡市葵区小河内、右岸が同区田代の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵電力の豊富な大井川上流部での新規電源開発や既設発電施設の再開発に邁進します。
畑薙第一ダムもその一環として1962年(昭和37年)に完成し、当ダムを上部池、畑薙第二ダムを下部池とした畑薙発電所(最大出力13万キロワット)で中部電力初となる混合揚水式発電が開始されました。
中空ダム同士での揚水式発電は国内唯一、また下流の井川ダム も含めて3基の中空重力式ダムが並ぶのも世界でも例がありません。 
さらに畑薙第一ダムの堤高125メートルは世界最高となっており、日本ダム協会による『日本100ダム』に選ばれています。

井川ダムから県道60号を北上し、畑薙第二ダムを過ぎるとすぐに目の前に畑薙第一ダムが現れます。 
ダムから上流はマイカーの進入は禁止のため、南アルプス南部一番のt山玄関口にもなっています。 
左岸から
中空ダムらしい膨らみを持つ洪水吐導流部。
 
洪水吐導流部は下部で角度が変わり妊婦さんのお腹のよう。
ダム下に畑薙第一発電所が見えます。
 
天端から
錆の混じった縞模様が堤体を彩る美しい装飾に見えます。
 
畑薙第一発電所は最大13万キロワットの混合揚水発電を行います。
 
総貯水容量1億740万立米の畑薙湖。
背後には冠雪した南アルプスが望めます。
 
ゲートをズームアップ
下流の畑薙第二ダム ともども鮮やかなブルーのゲート。 
 
10年に一度の排砂のための浚渫作業が行われています。
除去した砂は袋詰めにしてダム湖沿いの山中に積み上げられます。
 
右岸下流から
奥の真っ白の山は上河内岳。
 
追記
畑薙第一ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。 

1168 畑薙第一ダム(0070)
左岸 静岡県静岡市葵区小河内
右岸       同区田代
大井川水系大井川
HG
125メートル
292メートル
107400㎥/80000㎥
中部電力(株)
1962年
◎治水協定が締結されたダム

畑薙第二ダム

2015-11-30 07:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 畑薙第二ダム
 
畑薙第二ダムは左岸が静岡県静岡市葵区小河内、右岸が同区田代の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵電力の豊富な大井川上流部での新規電源開発や既設発電施設の再開発に邁進します。
その一環として 1961年(昭和36年)に完成したのが畑薙第二ダムで、当ダムを取水ダムとして畑薙第二発電所(最大出力8万2000キロワット)でダム水路式発電が開始されました。
さらに翌1962年(昭和37年)には第二ダム上流約2キロ地点に畑薙第一ダム
が完成し、畑薙第一ダムを上部池、当ダムを下部池とした混合揚水式発電を行う畑薙発電所(最大出力13万キロワット)も稼働しました。
同発電所は中部電力初の揚水式発電所であるとともに、揚水式発電の上下のダムがともに中空重力式というのは国内唯一、さらに下流の井川ダムも含めて中空重力式ダムが3基並ぶのも世界的に例がありません。
さらに2001年(平成13年)には河川維持放流を利用して小水力発電を行う東河内発電所(最大出力170キロワット)が完成しました。
 
ダム右岸下流から
中空ダムらしい導流部の膨らみが見られます。
エプロン末端はジャンプ台。
 
ダム右岸下流から
 
堤頂部には襟がありますが、中空ダムらしく下流面の傾斜はほぼトップから始まっています。
右手は河川維持放流を利用した小水力発電所の東河内発電所。
 
ゲートをズームアップ
右岸(向かって一番左)ゲートにはフラッシュボードがついています。
 
県道のトンネルを抜けるとダムサイトに到着します。
ダムは立ち入り禁止でフェンス越しの撮影となりますが、ゲートが影。
上流側に傾斜した独特の扶壁は畑薙第一ダム との共通点。 
 
ほぼ満水のため中空式ではおなじみタコ足スリットは見えません。
 
追記
畑薙第二ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1167 畑薙第二ダム(0069)
左岸 静岡県静岡市葵区小河内 
右岸       同区田代 
大井川水系大井川
HG
69メートル
171メートル
11400㎥/3600㎥
中部電力(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム