ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

四時ダム

2015-12-21 16:00:00 | 福島県
2015年12月19日 四時ダム
 
四時ダムは左岸が福島県いわき市川部町、右岸が同市山玉町の二級河川鮫川水系四時川にある福島県土木部所管のロックフィルダムです。
鮫川水系では1962年(昭和37年)に本流に高柴ダムが完成しますが、1964年(昭和39年)にいわき市が新産業都市に指定されて以降、勿来地区への工場集積や人口増加が進み都市用水需要が一気に高まりました。
県土木部は『鮫川総合開発事業』の一環として鮫川左支流四時川への多目的ダム建設を採択し、建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムとして1983年(昭和58年)に四時ダムが竣工しました。
四時ダムは四時川の洪水調節(最大350立米/秒のカット)、いわき市への上水道用水及び工業用水の供給を目的としています。
さらに2015年(平成27年)には河川維持放流を利用した日本工営傘下の工営エナジー四時ダム発電所(最大出力470キロワット)が稼働しました。
この発電施設は19年間の契約期間経過後は福島県に無償譲渡されます。

四時ダムは国道289号線からダムに通じる管理道路が夜間施錠され、午前8時から立ち入り可能です。
左岸高台から俯瞰。
左岸にバスタブ型洪水吐があり管理事務所の先にアーチ状の堤体が続きます。
堤体左岸側には地山があり、小河内ダムのような堤体と洪水吐が離れた構造です。


バスタブ型洪水吐をズームアップ
昭和50年代設計と言うことで、バスタブ型洪水吐としては珍しく巨大なゲート操作室があります。
上流側に常用洪水吐の予備ゲート2門が待機。


洪水吐導流部
下流にわずかに見える白い建屋が小水力発電所。


常用洪水吐として珍しい高圧バーチカルゲートを2門装備。


このタイプのゲートは他所では記憶がないなあ。


天端は徒歩のみ開放
堤体は緩やかなアーチ状。


上流面。

天端からは海が見え、海が見える展望広場と命名されています。


総貯水容量1210万立米のダム湖(四時湖)。
右手に艇庫とインクライン。


右岸から下流面
管理事務所に下に地山が見えます。

ダム下は立ち入り禁止ですが、ダム下へ通じる管理道路入り口の門扉が開いておりそのまま進入してしまいました。(事後承諾済み)
地山のせいで提体は見えません。
実はこの右手に発電所と利水放流設備があるのですが写さず終い。


(追記)  
四時ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。 

0521 四時ダム(0123) 
鮫川水系四時川
FWI
83.5メートル
300メートル
12100㎥/10100㎥
福島県土木部
1983年
◎治水協定が締結されたダム

高柴ダム

2015-12-21 15:21:01 | 福島県
2015年12月19日 高柴ダム

高柴ダムは左岸が福島県いわき市山田町、右岸が同市田人町旅人の二級河川鮫川本流にある福島県土木部所管の重力式コンクリートダムです。
事業は1937年(昭和12年)の河水統制事業に遡りますが、戦後鮫川下流で化学工業の集積が進み利水需要が高まったことを受け、1957年(昭和32年)に『鮫川総合開発事業』が着手され1962年(昭和37年)に高柴ダムが竣工しました。
建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで鮫川の洪水調節(最大440立米/秒のカット)と常磐及び小名浜への工業用水の供給を目的としています。
1985年(昭和60年)には利水放流を利用した高柴ダム発電所(最大出力1600キロワット)が稼働しました。

下流からダムと正対できる場所がない上に天端の立ち入りが制限されており、撮影ポイントは限られます。
右岸から下流面
放流設備としてはクレストラジアルゲート3門のほかコンジットバルブを装備。
豪雪地帯ではありませんがゲート操作室は被覆されています。



1985年(昭和60年)に稼働した高柴ダム発電所
利水放流を利用した小水力発電所で県土木が管理用発電として利用しています。


天端は立ち入り禁止(現在は開放されています)。


六角形の取水設備。


ダム湖(たかしば湖)は総貯水容量1270万立米。
小ぶりなダムにしては意外に大きなダム湖と言う印象。


説明板。


(追記)  
高柴ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。 

0501 高柴ダム(0122)
左岸 福島県いわき市田人町旅人井戸沢
右岸      同市山田町 
鮫川水系鮫川
FI
59.5メートル
163.5メートル
12700㎥/8600㎥
福島県土木部
1962年
◎治水協定が締結されたダム

堀川ダム

2015-12-21 11:00:00 | 福島県
2015年12月18日 堀川ダム
 
堀川(ほっかわ)ダムは左岸が福島県西白河郡西郷村真船横川、右岸が同村小田倉の一級河川阿武隈川水系堀川にある福島県建設部所管のロックフィルフィルダムで、建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムとして2000年(平成12年)に竣工しました。
堀川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、白河地方広市町村圏整備組合を通じた1市4町4村への上水道用水の供給を目的としています。
 
減勢工直下まで立ち入ることができます。


こんなアングルで写真を撮れるダムはなかなかありません。


堤頂長390メートルのリップラップ
ロックフィルダムとしては珍しい丸石
下流の農地に埋没していた旧阿武隈川砂礫が使われています。


天端から
ダム下には広大な芝生の公園が広がっています。
ダム建設に合わせて公園が整備されケースは多いのですが、補助ダムの場合維持費の問題等もあり時間とともに荒れてしまうところが多々あります。
しかし、当ダムは驚くほどきれいに維持されています。

ダム湖(まぶね湖)は総貯水容量500万立米
天端からは茶臼岳、朝日岳、三本槍岳と那須連山主峰が一望できます。

 
天端は徒歩のみ開放
左岸に管理事務所があります。


減勢工と利水放流設備。


導流部上段にはスリットが入っています。


常用と非常用を兼ねるバスタブ型洪水吐。
常用洪水吐から越流しています。


洪水吐と堤体上流面。


上流から遠望。


2000年竣工の比較的新しいロックフィルダムで、天端から那須連山が一望できるほか、ダム周辺の整備も素晴らしいダムです。
時節柄人気はありませんでしたが、観光スポットとしてもっと人気が出てもおかしくないダムです。

(追記)  
堀川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 

0537 堀川ダム(0118)
左岸 福島県西白河郡西郷村真船横川 
右岸         同村小田倉 
阿武隈水系堀川
FNW
57メートル
390メートル
5500㎥/5200㎥
福島県土木部
2000年
◎治水協定が締結されたダム

板室ダム

2015-12-21 10:00:00 | 栃木県
2015年12月18日 板室ダム
 
板室ダムは左岸が栃木県那須塩原市板室、右岸が同市百村の一級河川那珂川本流にある栃木県農政部が管理する発電・灌漑・上水目的の重力式コンクリートダムです。
1967年(昭和42年)に農林省(現農水省)による国営那須野ヶ原開拓建設事業が着手され、これに発電事業者として参加した栃木県企業局により1973年(昭和48年)に板室発電所(最大出力1万6100キロワット)が建設されました。
板室ダムは板室発電所の出力調整による水位変動を緩和するとともに、灌漑用水及び上水道用水の取水計画に合わせるための逆調整池として同年竣工しました。
なおダムカードおよび栃木県の資料ではダムの目的は『AWP』となっている一方、ダム便覧では『P』のみとなっています。
当ダムには上水道用水及び灌漑用水容量の配分はありませんが、灌漑用水及び上水の適正な取水を行うための調整池であるため目的は『AWP』とします。
 
板室ダムへ通じる道路は立ち入り禁止でダムを見学することはできません。
 
ダムカードは深山ダムの管理事務所でもらえます。
 
深山ダム の見学会は実施されていますが、板室ダムは駐車スペースの関係で実施できないようです。
 
(追記)
板室ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0568 板室ダム
栃木県那須塩原市板室
那珂川水系那珂川
AWP
16.8メートル
767メートル
260㎥/170㎥
栃木県農政部
1973年
◎治水協定が締結されたダム

竜神ダム

2015-12-21 08:00:00 | 茨城県
2015年12月18日 竜神ダム
 
竜神ダムは左岸が茨城県常陸太田市下高倉町、右岸が同市天下野町の一級河川久慈川水系山田川右支流竜神川にある茨城県土木部所管の重力式コンクリートダムで、建設省の補助を受けた補助多目的ダムとして1978年(昭和53年)に竣工しました。
洪水時最大90立米/秒の洪水をカットし、山田川下流基準地点で80立米/秒の洪水調節を行うほか、河川流量の維持と山田川流域農地への不特定灌漑用水(既得灌漑用水)の補給、太常陸太田市及び日立市への上水供給、常陸太田市への工水供給を目的としています。
ダム上流の竜神峡は紅葉の名所として知られる一方、ダム湖上には本州有数の歩行者用吊橋である竜神大吊橋が架橋され人気の観光スポットとなっています。
 
左岸下流から
放流設備として非常用洪水吐のクレストラジアルゲート2門、常用洪水吐のオリフィスローラーゲート1門を装備。
赤いゲートととんがり帽子の操作室の組み合わせは、同じ茨城県土木部所管の藤井川ダムの非常用洪水吐によく似ています。


ズームアップ。


天端は徒歩のみ開放
天端を渡った右岸から竜神大吊橋への遊歩道が続いています。


ダム湖の竜神湖(総貯水容量300万立米)の上空100メートルに架かる竜神大吊橋。


右岸から下流面。

 
減勢工
副ダムにはスリットが入っています。
放流しているのは利水放流管。


竜神大橋を渡ります
一人310円。


吊り橋から
まるで航空写真のようなアングルでダムを俯瞰できます。


ゲートの右側は選択取水設備。


上流から。
手前に艇庫とインクライン
2門のラジアルゲートの間にオリフィスローラーゲートの上部が水面からわずかに頭を出しています。


(追記)  
竜神ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 

0547 竜神ダム(0116)
左岸 茨城県常陸太田市下高倉町 
右岸       同市天下野町 
久慈川水系竜神川
FNWI
45メートル
90メートル
3000㎥/2700㎥
茨城県土木部
1978年
◎治水協定が締結されたダム