ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

十王ダム

2018-03-12 20:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 十王ダム
2018年  3月11日
 
十王ダムは茨城県日立市十王町友部の十王川本流中流部にある茨城県土木部が管理する多目的的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、十王川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、日立市への上水道用水及び工業用水の供給を目的として1993年(平成5年)に竣工しました。
ダム右岸は十王パノラマ公園として整備され市民の憩いの場となっているほか、毎正時に鳴るカリヨンの鐘に合わせて吹きあがる噴水は十王ダムの名物となっています。
2015年12月の訪問に続き、2018年3月に再訪しました。
 
十王市街から県道60号を西進し、常磐道を潜ると左岸ダムサイトに到着します。
ダム下に下りる遊歩道がありまずはダム直下から見学します。
ゲートは自由越流式のほかローラーゲートが3門並び、中央のゲートだけ越流面が低くなっています。
初回訪問時にはダム下左岸(向かって右手)に東京発電川尻川発電所がありました。発電所の取水は十王ダム湖をバイパスして行われダムと直接の水のやり取りはありません。
 
再訪時は折からの雨で水位が上がりローラーゲートからの放流を見ることができました。
一方前回訪問時にあった東京発電川尻川発電所はすでに撤去されていました。
(2018年3月11日)
 
左岸下流側から
背の高い導流壁が特徴です(2018年3月11日)。
 
左岸上流から
対岸高台が十王パノラマ公園になっており、その下の斜面に『十王ダム』の植栽 があります。
 
天端は十王パノラマ公園に通じる車道になっています。
真っ赤なゲートピアが特徴的で、ゲート操作室壁面には桜が描かれています。
(2018年3月11日)
 
減勢工と背の高い導流壁(2018年3月11日)。
 
反対側のゲート操作室には旧十王町の名物である海鵜が描かれています。
(2018年3月11日)
 
堤体右岸が屈曲しており、いわゆる『カド』のあるダムです。
(2018年3月11日)。
 
右岸から
堤体が屈曲しているのが分かります(2018年3月11日)。
 
ゲートをズームアップ
改修工事中です。
 
右岸から
前回は工事中だったゲートも改修を終えて奇麗に並んでいます(2018年3月11日)。
 
名物の噴水
お天気がいまいち(2018年3月11日)。
 
右岸高台から俯瞰
『カド』が俯瞰できます。(2018年3月11日)
 
最初の訪問でパスしてしまったパノラマ公園からの眺めや噴水を見ることができましたが、逆に天気がいま一つ。
 
追記
十王ダムには178万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに32万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0549 十王ダム(0086)
茨城県日立市十王町友部
十王川水系十王川
FNWI
48.6メートル
205.5メートル
2860千㎥/2100千㎥
茨城県土木部
1993年
◎治水協定が締結されたダム

楮川ダム

2018-03-12 16:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 楮川ダム
2018年   3月11日
 
楮川(こうぞがわ)ダムは茨城県水戸市田野町の那珂川水系田野川右支流楮川にある水戸市水道部が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
約5キロ離れた那珂川の枝内取水場から取水された水を揚水して貯留し、隣接する楮川浄水場を経て市内に配水しています。
高度成長以降の水需要の増加に加えて、災害等で那珂川での取水が困難になった場合のバックアップ水源として1985年(昭和60年)に竣工しました。
ダム湖貯水量は197万立米でこれは水戸市の上水道約20日分に相当します。
 
ダム堤体は右岸側がくの字型に屈曲した『カド』のあるダムです。
またダム周辺は森林公園や市民運動場が整備され、ダム湖周回道路では多くの市民がはサイクリング・ランニング・ウォーキングを楽しんでいます。
 
水戸市成沢町で県道51号を南に折れ市道を南下すると楮川ダムを示す標識があり、これに従って左折すると楮川ダムに到着します。
ダム左岸にある楮川浄水場。
 
左岸から上流面
正面は取水設備。
 
取水設備(2018年3月11日)。
 
ジャジャンボ池と呼ばれるダム湖、総貯水容量は197万立米で水戸市上水道の20日分が貯留されています。
 
減勢工
楮川自体は小河川で実質的に河道外貯留方式のため減勢工は小規模なものとなっています。
(2018年3月11日)
 
放流設備
河川維持用の放流管に加えて常用洪水吐のバルブを備えています。
(2018年3月11日)。
 
天端は車道になっており、右岸側がくの時に屈曲しています。
(2018年3月11日)
 
さらに引いた場所から。
 
楮川ダムの『カド』(2018年3月11日)。
 
ダム下から
ダムとしては自由越流式洪水吐2門の簡易な形状です。
 
0553 楮川ダム(0085)
茨城県水戸市田野町
那珂川水系楮川
35メートル
364メートル
1970千㎥/1960千㎥
水戸市水道部
1985年

藤井川ダム(再)

2018-03-12 12:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 藤井川ダム(再)
2018年  3月11日
 
藤井川ダムは茨城県東茨城郡城里町下古内の那珂川水系藤井川中流部にある茨城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1947年(昭和22年)のカスリーン台風での甚大な被害をきっかけに県は藤井川の本格的な治水事業に乗り出し、1956年(昭和31年)に治水専用ダムとして藤井川ダムが竣工しました。
完成当時は全国最大規模の治水専用ダムで、普段は貯水池に水を貯めないいわゆる『穴あきダム』として完成しました。
1976年(昭和51年)に高度成長による人口増や流域氾濫原の宅地化に対処するために、建設省(現国交省)の補助を受けた多目的ダム化事業が竣工し、藤井川ダムは藤井川の洪水調節に加えて不特定利水、新規農地への灌漑用水の供給、水戸市及び城里町への上水道用水の供給を目的とする補助多目的ダムとして生まれ変わりました。
しかし1986年(昭和61年)8月豪雨を受け県は『藤井川ダム再開発事業』に着手、ダム湖掘削による貯水容量の増大を軸とした再・再開発事業が2007年(平成19年)に竣工し、現在に至っています。
 
再開発にあたり、常用洪水吐としてコンジット高圧ラジアルゲートと低水管理用バルブを増設したほか、ダム上流左岸にラジアルゲート3門を装備した非常用洪水吐を新設しました。
主堤体と洪水吐が離れているいわゆる『非越流型重力式コンクリートダム』となっており、同様のダムとしては小河内ダムや三浦ダムなどがありますが、堤体と洪水吐がここまで離れているダムは非常に珍しいのではないでしょうか?
一方ダム周辺は城里町総合野外活動センター『ふれあいの里』となっておりキャンプ場や各種レクリエーション施設、公営の日帰り入浴施設などが整備され茨城県屈指のレクリエーション施設となっています。
 
藤井川ダム主堤体と非常用洪水吐の位置関係
緑マルが主堤体、赤マルが非常用洪水吐
 
県道51号と52号に藤井川ダムや『ふれあいの里』を示す案内板があり、これに従うと藤井川ダムに到着します。
堤体下部に再開発によって増設されたコンジット高圧ラジアルゲートがあります。
直近の雨により水位が上がりゲート放流が行われています。
(2018年3月11日)
 
左岸から下流面
堤体は1956年(昭和31年)当初のまま。(2018年3月11日)
 
天端とゲート操作室
天端は町道でそこそこの通行量があります。
(2018年3月11日)
 
右岸から
写真手前には低水管理用バルブがあります。
(2018年3月11日)。
 
ダム湖はうなぎ地蔵湖
見た目は小ぶりですが、名前の通りウナギのようにくねくねと蛇行しており総貯水容量は446万2000立米あります。
 
こちらはダム湖の左岸上流にある非常用洪水吐
赤いラジアルゲートとおしゃれな機械室が並んでいます。
(2018年3月11日)
 
非常用洪水吐の天端
こちらも車道になっておりロッジ風の機械室が並びます。
 
非常用洪水吐導流部。
 
(2018年3月11日)
 
非常用洪水吐天端高覧にあるミミズクの彫刻
城里町のマスコットキャラクターです。
(2018年3月11日)
 
2度の再開発が行われた歴史的経緯、主堤体と洪水吐が離れた場所にある構造的側面、二つの点で非常に珍しいダムとなっています。
 
追記
藤井川ダム(再)375万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに45万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0545 藤井川ダム(元)
茨城県東茨城郡城里町下古内
DamMaps
那珂川水系藤井川
FNAW
37.5メートル
90メートル
4000千㎥/3750千㎥
茨城県土木部
1956年藤井川ダム竣工(治水ダム)
1976年再開発竣工(多目的化)
-------------
3162 藤井川ダム(再)(0084)
茨城県東茨城郡城里町下古内
那珂川水系藤井川
FNAW
37.5メートル
90メートル
4462千㎥/4412千㎥
茨城県土木部
2009年 再・再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム

三野輪池

2018-03-12 09:38:53 | 茨城県
2018年3月11日 三野輪池
 
三野輪池は茨城県水戸市三野輪町の那珂川水系桜川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では所在地が東茨城郡内原町になっていますが、これは誤りです。
現地竣工記念碑には1954年(昭和29年)より従来からあった溜池の改修工事が着手されるも、完成直前の豪雨で決壊、1964年(昭和39年)3月に復旧工事が竣工したと記されており、ダム便覧ではこの復旧事業の竣工を竣工年度としています。
池の管理は中妻地区土地改良区が行っています。
 
堤体は犬走りを挟んで2段構成、草はきれいに刈られています。 
 
左岸の洪水吐。
 
天端。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
洪水吐吐導流部。
 
洪水吐の越流堤は緩やかに湾曲しています
総貯水容量43万2000立米と関東の溜池としては比較的大きなサイズ。
 
天端からの眺め。
 
右岸の斜樋。
 
右岸から上流面。
 
竣工記念碑。
 
底樋は確認しませんでした。
 
0542 三野輪池(1252)
ため池コード
茨城県水戸市三野輪町
那珂川水系桜川左支流
16メートル
120メートル
432千㎥/432千㎥
中妻地区土地改良区
1964年

不動谷津池

2018-03-12 04:24:02 | 茨城県
2018年3月11日 不動谷津池
 
不動谷地池は茨城県笠間市小原の那珂川水系涸沼前川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1978年(昭和53年)に友部町土地改良区の事業で竣工と記されています。
一方現地竣工記念碑には1977年(昭和52年)に農水省及び県の補助を受けた団体営かんがい排水事業、つまり友部町土地改良区の事業によって竣工と記されています。
ここでは竣工記念碑の1977年竣工を採用することにします。
池の管理は現在も同土地改良区が行っています。
 
下流面はきれいに草が刈られています。
 
左岸から下流面
左岸に洪水吐があり導流部が流下しています。
 
堤体左岸に伸びる洪水吐導流部。
 
天端は関係者以外立ち入り禁止。
 
洪水吐越しの貯水池。
総貯水容量は22万2000立米。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
上流面はコンクリートで護岸
右岸に斜樋があります。
 
斜樋をズームアップ。
 
洪水吐越流面には切れ込みがあり、木板がはめ込まれています
ここで貯水量の調整を行うようです。
 
竣工記念碑。
不動谷津池のほか友部土地改良区が管理する溜池や関係した事業が記載されています。
 
ダム下の底樋は草が深く確認しませんでした。
 
0546 不動谷津池(1251)
ため池コード
茨城県笠間市小原
那珂川水系涸沼前川左支流
16.6メートル
112メートル
222千㎥/222千㎥
友部町土地改良区
1977年。

飯田ダム

2018-03-12 00:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 飯田ダム
2018年  3月11日
 
飯田ダムは茨城県笠間市飯田の那珂川水系涸沼川右支流飯田川上流部にある茨城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、涸沼川および飯田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、茨城県中央広域水道(水戸市他9市町村)への上水道用水の供給を目的として1993年(平成5年)に竣工しました。
ダム湖の笠間湖は、人造湖ながら複雑な地形で水深も浅く小魚や水生動物が繁殖しやすい環境となっており、茨城県による生態系環境創造事業の効果もあり、県内有数のバードウォッチングのスポットになっています。
 
笠間市街から県道39号を北上、『飯田ダム』の標識に従って右手の側道に入ると正面に飯田ダムが見えてきます。
堤高33メートルに対して堤頂長219.5メートルと横長のダムで、クレストには11門の自由越流式洪水吐が並びます。
 
左岸から。
 
ダム下から
オリフィスゲートからの越流を正面から見ることができます。
 
同じくダム下から(2018年3月11日)。
 
天端は歩行者のみ通行可能
円形のおしゃれな管理事務所。
 
減勢工(2018年3月11日)。
 
ダム湖(笠間湖) 
総貯水容量244万立米
人造湖ですが、複雑に入り組んだ入江が形成され、結果として野生生物の生息に最適な環境になっています。
野鳥も多く、県内有数のバードウォッチングのスポットです。
 
右岸から下流面
細長い減勢工と、それを囲む堤趾導流壁が特徴的。(2018年3月11日)
 
右岸から上流面(2018年3月11日)。
 
ダム湖上流から(2018年3月11日)。
 
追記
飯田ダムには113万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに35万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0551 飯田ダム(0083)
茨城県笠間市飯田
那珂川水系飯田川
FNW
33メートル
219.5メートル
2440千㎥/2240千㎥
茨城県土木部
1991年
◎治水協定が締結されたダム