2020年11月20日 佐々並川ダム
佐々並川ダムは山口県萩市川上の阿武川水系佐々並川にある中国電力が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中国電力(株)は戦後の復興を受けた電力需要拡大に対処するため各所で電源開発を進めます。
中国電力は深い渓谷が続きダム建設にはうってつけの地形となっていた佐々並川に着目、1956年(昭和31年)から発電所及びダム建設事業に着手し1958年(昭和33年)に本体工事着工、翌1959年(昭和34年)に竣工したのが佐々並川ダムです。
ここで取水された水は約4.5キロの導水路で下流の佐々並川発電所に送られ最大1万4200キロワットのダム水路式発電を行っています。
佐々並川ダム一番の特徴はその堤体の薄さです。堤高67.4メートル、堤頂長127.3メートルに対して堤頂幅は2.5メートル、厚みは最も厚い基礎部分でもわずか8.8メートルとなっており、ダム愛好家の中では『日本で最も薄いアーチダム』として知られています。
さらに堤体積3万1000立米に対して総貯水容量2010万立米となっており、貯水効率はアーチダムでは屈指の648倍となっています。
ダム手前100メートルほどでダムと正対できます。
放流設備として自由越流式クレストゲートを5門、さらに放流管を1門装備しています。
クレストゲートをズームアップ
ゲート間の扶壁も極薄仕様。
減勢工
当然エレベータなどはなく減勢工に下りるにはキャットウォークを歩くしかありません。
水利使用標識。
堤体へ続く管理道路は立ち入り禁止ですが、右岸の道路からダムを俯瞰できます。
手前には竣工記念碑や説明板などがありますが、あそこまで立ち入ることはできません。
ゲート部分をズームアップ
堤頂幅はわずか2.5メートル。
堤体と貯水池(佐々並湖)
堤体積3万1000立米で総貯水容量2010万立米の貯水池を支えます。
アングルを変えて
奥は取水設備。
堤体の薄さが実感できます。
少しずつ上流側に移動して撮影します。
ここが限界
とにかく『薄い』。
佐々並川発電所への取水設備
作られたのは昭和30年代前半ということで大掛かりな設備になっています。
堤体へは立ち入りできませんが、アーチダムが一番映えるのは高台からの俯瞰です。
このダムは高台からの撮影ポイントは多く、どこからでもその薄さを実感できます。
(追記)
佐々並川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
2070 佐々並川ダム(1572)
山口県萩市川上
阿武川水系佐々並川
P
A
67.4メートル
127.3メートル
20100千㎥/16000千㎥
中国電力(株)
1959年
◎治水協定が締結されたダム