2022年11月22日 幸野ダム
幸野ダムは熊本県球磨郡湯前町にある熊本県企業局が管理する灌漑・発電目的の重力式コンクリートダムです。
1949年(昭和24年)に熊本県により球磨川総合開発事業が着手されますが、熊本県企業局は同事業に発電事業者として参加し、1960年(昭和35年)に幸野ダムおよび市房第1~第2発電所が竣工しました。
幸野ダムは市房第1発電所(最大出力1万5600キロワット)の出力調整による水位変動を緩和するための逆調整池に加え、市房第2発電所(最大出力2400キロワット)でのダム水路式発電を目的としています。
また球磨川総合開発事業に合わせ熊本県営土地改良事業球磨川南部地区も着手され、幸野溝、百太郎溝と言った江戸期を起源とする灌漑施設の整備が行われ、市房ダムの不特定利水容量により当ダムを取水ダムとして約1900ヘクタールの田畑への安定した用水供給が可能となりました。
右岸ダム下から
ローラーゲート2門を備え、左岸(向かって右手)ゲートにはフラッシュボードがついています。
普段は天端の車両通行可能ですが、訪問時はゲート点検中のため通行止め&立ち入り禁止。
右岸湖岸の謎の遺構。
上流面
対岸に取水口と管理所があります。
左岸から。
独特の書体の親柱の銘板
高知の大橋ダムもこんな書体だったはず。
中央にゲート操作室が乗っかる独特のピア。
両手をだらりと下げたロボットみたい。
市房第2発電所の水利使用標識。
こちらは灌漑用水の水利使用標識。
幸野ダムは取水ダムで、容量配分は市房ダムの不特定利水容量に依ります。
下流から見た取水ゲート。
この盛土の下に水路が流れています。
下流の調節水槽で発電所と幸野溝へ分水されます。
てっきりただの発電逆調整池だと思ったら、江戸期に起源をもつ幸野溝や百太郎溝と言った灌漑用水の取水も行っていました。
ちなみに『溝』と言うのは当地方で灌漑用水路のことを指し、幸野・百太郎両溝は世界かんがい遺産にも選ばれた由緒ある農業用水です。
2662 幸野ダム(1960)
AP
G
21.2メートル
90.5メートル
326千㎥/112千㎥
熊本県企業局
1959年