2023年10月24日 羽幌ダム
羽幌ダムは北海道苫前郡羽幌町砿(あらがね)の築別川水系三毛別川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
羽幌町では明治中期より入植がはじまり、大正期より築別川下流域平坦地で稲作が本格化します。
しかし水源となる築別川は渇水が多く安定した農業用水源や灌漑施設の整備が求められていました。
これを受け1953年(昭和28年)に国営土地改良事業羽幌地区が着手されその灌漑用水源として1966年(昭和41年)に竣工したのが羽幌ダムです。
事業全体も同年に完了し約650ヘクタールの水田への灌漑設備が整備されました。
運用開始後は羽幌土地改良区が管理を受託していましたが、現在は土地改良区の統合によりオロロン土地改良区が管理を引き継いでいます。
羽幌ダムはダムに通じる林道が悪路のため到達困難なダムとされる一方、きれいに刈り込まれた美しいフォルムから『日本一美しいアースダム』とも呼ばれています。
今回はぜひとも羽幌ダムの見学を叶えたいと四輪駆動車をレンタルし悪路に備えました。
道道741号の旧羽幌炭鉱遺構から三毛別川沿いのダートの林道を約8キロ、車で20分ほどで羽幌ダムに到着します。
悪路ということで身構えていましたが、確かに林道各所で大きな水溜りが続きますが四輪駆動ということでさほど苦にはならず、むしろ四国の大森川ダムに至る南奥川林道の方がよほどの悪路でした。
あるサイトで『日本一美しいアースフィル』と書かれていましたが、さすがにそれは大げさだろうと思いつつ現着し目にしたその姿は!!
ダントツで日本一美しいアースダム!!。
単にきれいに刈り込まれているだけじゃなく、元の地形に合わせて成形された複雑なフォルム。
長く緩やかに伸びる斜水路と左岸のアクセントになるグラベル。
究極のアシンメトリー。
長く伸びる洪水吐斜水路
赤い管理橋がいいアクセント。
管理橋を渡り超広角で
右手は底樋門でその上部だけグラベルになっています。
灌漑期が終わり流入量はそのまま放流されています。
とにかくどのアングルで見ても美しい。
対岸に林道が続くため、天端は車両通行可。
ダムサイトから洪水吐斜水路を見下ろします。
2枚目写真は管理橋左手から撮りました。
横越流式洪水吐。
洪水吐そばの建屋。
煤けているのでかつて出火したのかも?
水利使用標識。
上流面はコンクリートブロックで護岸。
総貯水容量は330万立米で築別川下流域約650ヘクタールの水田に灌漑用水を供給します。
訪問時は灌漑期が終わり水は抜かれています。
左岸から下流面
左手の建物が管理事務所。
冬場を除き土地改良区の職員さんが駐在し、草刈り等ダムの整備を行っています
右岸から上流面。
取水設備は北海道らしい赤い取水塔
右下に土砂吐ゲートがあり、非灌漑期は流入量はそのまま放流します。
ダムの入口の旧羽幌炭鉱遺構
全盛期にはこの周辺に数千人が住み、都市対抗野球やジャンプ競技の強豪チームとしても知られていました。
まさに兵どもが夢のあと。
日本一美しいアースの名に恥じぬ美しいダムです。
できれば湖面に水を湛えた時期、そして青い空の下で愛でてみたい美堰堤です。
0072 羽幌ダム(2027)
北海道苫前郡羽幌町砿
築別川水系三毛別川
A
E
27.8メートル
108.4メートル
3300千㎥/3160千㎥
オロロン土地改良区
1966年