ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

川谷ダム

2019-06-11 15:27:08 | 長崎県
2019年5月25日 川谷ダム
2019年7月14日
 
川谷ダムは長崎県佐世保市川谷の相浦川水系相浦川上流部にある佐世保市水道局が管理する重力式コンクリートダムです。
佐世保市街北部を貫流する相浦川は出水が多く、戦前より治水対策が求められていました。
一方終戦後に旧海軍水道を事業継承した佐世保市水道事業ですが、米軍の駐留や朝鮮戦争などにより水需要が急増し新たな上水道水源開発に迫られていました。
佐世保市水道局は相浦川上流部川谷地区で進められていた砂防ダム事業に着目、この事業を移管した上で上水道用水源に加えて洪水調節機能を持つ多目的ダムに計画変更し1954年(昭和29年)に川谷ダムが竣工しました。
川谷ダムは佐世保市に上水道用水を供給するほか、洪水期の5月1日から9月30日においては洪水調節容量が設定され防災目的が付加されます。
現在でも日量最大1万3300立米の上水道用水を供給する佐世保市水道屈指の水源となっています。
 
川谷ダムは県道43号線沿いにありますが、敷地は立ち入り禁止です。
ただ川谷トンネル手前の県道からダム正面が見れます。
洪水吐はクレストにラジアルゲートが2門だけで、オリフィスやコンジットゲートは見当たりません。
 
7月14日に再訪、前夜の雨でクレスト1門から放流していました。(2019年7月14日)
 
昭和20年代の設計らしく、ゲート上部だけ高くなっています。
苔生した導流面や、打継部から浸み出した骨材成分が70年近いダムの歴史を醸し出しています。
 
クレスト1門から放流(2019年7月14日)
 
ダム便覧ではダムの目的は灌漑・上水となっていますがこれは誤りです。
佐世保市水道局HPでは川谷ダムの容量については水道用水と、洪水期における洪水調節容量と記されています。
水道事業者が管理するダムながら洪水期のみ洪水調節容量が設定される珍しいダムです。
 
2608 川谷ダム(1461) 
長崎県佐世保市川谷町
相浦川水系相浦川
FW
46メートル
178メートル
2020千㎥/1910千㎥
佐世保市水道局
1954年


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