2020年11月23日 内日第1貯水池(内日第1ダム)
ダム便覧では内日第1ダムと掲載されていますが、ここでは下関上下水道局の表記に倣い内日第1貯水池と記載することにします。
内日(うつい)第1貯水池は山口県下関市内日上の綾羅木川水系綾羅木川上流部にある下関市上下水道局が管理する上水道用水目的のアースフィルダムです。
山口県で最初に市政を施行した下関市(明治35年までは赤間関市)は県都山口を凌ぎ県内最大の商工業の中心として発展、1906年(明治39年)に全国で9番目となる近代水道事業が創設されました。
内日第1貯水池は市議会で上水道布設が議決された1901年(明治34年)に建設工事着工、1906年(明治39年)に竣工し当貯水池の完成を持って下関市水道事業が開始されました。
その後市街の拡大や人口増加による水道需要の増加を受け、1929年(昭和4年)には当貯水池直上に内日第2貯水池が竣工しました。
内日第1貯水池で貯水された水は日和山及び高尾浄水場を経て市内に配水され、現在でも下関市水道の重要な水源の一つとなっています。
内日第1貯水池は近代水道黎明期の優れた施設として近代水道百選にも選定されています。
また取水塔はCランクの近代土木遺産に選ばれているほか、1998年(平成10年)には内日第1貯水池取水塔をはじめ、第2貯水池取水塔、高尾浄水場などが国の登録有形文化財に登録されました。取水から配水に至る水道施設が一括して国の文化財に登録されるのは全国初のケースでした。
内日第1貯水池は県道34号線沿いにあり下関市中心部から県道34号線を北に進み内日上地区に入るとすぐ右手に内日第1貯水池が現れます。
貯水池と道路を挟んだ反対側に下関市水道記念碑が建ちます。
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堤高21.2メートル、堤頂長85.2メートルのアースフィルダム。
市の水源ダムということで堤体は綺麗に刈りこまれまるで芝生のようです。
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天端から
右手の円形の施設は取水塔の底樋及び管路の出入り口。
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左岸から
堤体基部は花崗岩の石張り
右手の水路は第2貯水池からの水路。
万一第1貯水池が使用できなくなった際に第2貯水池の水を取水するためのバイパス水路です。
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上流面上部は草が覆っていますが、こちらも花崗岩で護岸されています。
対岸に余水吐があり、左手が登録有形文化財の煉瓦造取水塔。
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余水吐をズームアップ
奥に煉瓦製のアーチ、手前にコンクリートの扶壁があります。
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余水吐
煉瓦製のアーチとコンクリートの扶壁
間の水道管は上記第2貯水池からの水路です。
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余水吐導流部
床には花崗岩が敷かれています。
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取水塔と貯水池
総貯水容量は110万立米。
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取水塔
管理橋の橋脚も煉瓦造りです。
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天端からダムへの立ち入りは禁止されていましたが、下流からのアプローチは可能でした。
中央の円形の施設は取水塔からの底樋及び管路出入口。
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同時に文化財登録された高尾浄水場は事前予約すれば見学できるようです。また日和山浄水場には水道資料館がありますが、いずれも平日のみ。
ちょうど3連休の訪問となりいずれも叶いませんでした。
2017 内日第1貯水池(1601)
近代水道百選
山口県下関市内日上
綾羅木川水系綾羅木川
W
E
21.2メートル
85.2メートル
1100千㎥/1000千㎥
下関市上下水道局
1906年
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