2023年4月22日 七色ダム
七色ダムは左岸が三重県熊野市神川町神上、右岸が和歌山県東牟婁郡北山村七色の一級河川新宮川水系北山川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式アーチダムです。
戦後の電力不足の中、日本有数の多雨地帯を水源とし包蔵電力豊富な新宮川水系では半官半民の電源開発(株)が発電事業を担うことになります。
池原ダムを上部調整池、当ダムを下部調整池として池原発電所で最大出力35万キロワットの混合揚水式発電を行うほか、七色発電所で最大8万2000キロワットのダム水路式発電を行います。
また池原発電所の出力調整に伴う水位変動を緩和する逆調整池としての機能も併せ持ちます。
池原ダムから約16キロ、20分ほどで七色ダムに到着
北山川下流左岸からダムと正対できます。
七色の名前に合わせたわけじゃないんでしょうが、7門のローラーゲートで北山川を締め切ります。
ゲートとピアはシンメトリー。
堤高は61メートルですが、これは基礎岩盤からの高さでその半分近くは水中に没しており見た目は30メートルほど。
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右岸から。
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ダム右岸の発電所取水口
認可取水量は毎秒140立米。
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天端から。
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副ダムも堤体に合わせたアーチ状。
左岸の水は河川維持放流。
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右岸ダム下の開閉所。
有効落差69.3メートルを稼ぐため発電所は地下30メートルほどに作られています。
また放流水は約2.3キロの導水路で北山川下流に放流されます。
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貯水池は総貯水容量6130万立米ですが、堆砂が進み有効貯水容量は6分の1の1070万立米。
池原貯水池同様バス釣りスポットとして人気があるようです。
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天端は国道169号線が通ります。
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水利使用標識。
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左岸上流側の河川維持用水取水口
七色ダムでは下流に景勝地瀞峡があることから、放流義務化が法制化される前よりゲート放流により河川維持放流が行われてきました。
こちらは後付けのサイフォン方式取水口でこの下流側に維持放流を利用した小水力発電所があります(写真撮影せず)。
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上流面。
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左岸の繋留設備
塵芥除去作業船他3隻が繋留されています。
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(追記)
七色ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
1312 七色ダム(1978)
左岸 三重県熊野市神川町神上
右岸 和歌山県東牟婁郡北山村七色
新宮川水系北山川
P
GA
61メートル
200.8メートル
61300千㎥/10700千㎥
電源開発(株)
1965年
◎治水協定が締結されたダム
これって素人の私でも大変な事ではと思うのですが
貯水容量が落ちて災害に直結した事例はどれくらいあるんでしょう
こうして数字で見ると「怖さ」が形になります
一方、ここは電力会社が管理する発電ダムで治水目的はありません。
要はダム湖にいくら土砂が堆積しても取水さえできればOKという考え方です。
ただここは揚水式発電も行っているので、これ以上堆砂が進むと揚水量に支障が出ますので、近年は浚渫等で堆砂の進行を抑えています。
さらにダムが土砂をため込むということは河口で海岸線が後退するという副作用が出ます。
能登の千里浜や遠州の砂丘の後退はともに手取川や天竜川の治水が進んだ副作用です。
痛しかゆしですね。