ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

秋葉ダム

2022-03-02 10:00:00 | 静岡県
2015年12月27日 秋葉ダム
2022年 2月26日
 
秋葉ダムは左岸が静岡県浜松市天竜区龍山町戸倉、右岸が同町大嶺の一級河川天竜川本流にある電源開発(株)が管理する利水多目的重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な天竜川本流では戦前より天竜川電力(のちに矢作水力)により上流部の電源開発が進められこれらの発電事業は日本発送電を経て中部電力に引き継がれました。
戦後、中部電力は大井川での電源開発に注力する一方で天竜川下流部の電源開発を行う財務・物理的余力がなく当地域の発電事業は半官半民の電源開発(株)に委ねられることになりました。
電源開発は1956年(昭和31年)に佐久間ダム・佐久間発電所を完成、次いで1958年(昭和33年)に佐久間発電所の逆調整池として竣工したのが秋葉ダムです。
秋葉ダムは佐久間発電所の出力調整による水位変動を緩和するとともに、秋葉第1発電所(ダム水路式、最大出力当初4万5300⇒のちに4万6250キロワット)および秋葉第2発電所(ダム式、最大出力当初3万4900⇒のちに3万5300キロワット)でno
発電を目的として運用が開始されました。
またダム建設には三方原用水農業水利事業の水源を求めていた農林省(現農水省)と水道事業者として静岡県企業局が事業参加し、当ダムから灌漑、上水、工水が供給されています。
さらに1991年(平成2年)には三方原用水を利用した利水従属発電を行う秋葉第3発電所(ダム式、最大出力4万6900キロワット)が完成し3発電所合わせた発電能力は最大12万8450キロワットとなっています。
 
秋葉ダムには2015年(平成27年)12月に初訪、2022年(令和4年)2月に再訪しました。
掲載写真はすべて再訪時のものです。
船明ダムから国道152号を北上、秋葉トンネルを抜けると右手に秋葉ダムが見えてきます。
ダム直下に吊橋が架かり絶好の展望ポイントとなっています。
ダムを挟んで向って右手に秋葉第2発電所、左手に第3発電所が並びます。
堤高は89メートルですがこれは基礎岩盤からの高さで、見た目の高さは40メートルほど。
ちょっとアングルを変えて
左岸側川床はコンクリートで厚く護岸されています。
 
ダム下流に架かる竜山橋。
左岸から
第2発電所の放流水はトンネル放流路で下流に放流されます。
一見余水吐のような円形の構造物は護岸施設の一つなんでしょうか?
左岸の第2発電所
昭和30年代の発電所らしくガントリークレーンなど何かと大がかり
ここではピーク発電が行われます。
 
右岸上流側の第2発電所の取水口。
 
貯水池の秋葉湖
総貯水容量は3470万3千立米ですが、堆砂が進み有効貯水容量は775万立米
ちなみにダム便覧ではダムは『あきは』と濁りませんが、ダム湖は『あきば湖』と濁ります。
 
右岸上流側にある三方原用水取水口。
右岸ダム直上にある第1及び第3発電所取水口。
スクリーンが横にずらっと並び、上に除塵機が設置されています。
左手のゲートが第1発電所の取水ゲートになります。
 
天端は車両の通行が可能。
ピア側面にダム名が記されるのは佐久間ダムと同じ。
1991年(平成2年)に増設された第3発電所。
第2発電所と異なり、今どきの発電所らしいすっきりしたつくり。
三方原用水の利水従属発電となり常時発電。
右岸から。
上流面。
 
ダム左岸上流約750メートルほどにある浮ゲート式の予備ゲート。
浮ゲートは徳島の川口ダムや島根の浜原ダムにもありますが、ゲートの大きさがけた違い。
(追記)
秋葉ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1163 秋葉ダム(0143)
左岸 静岡県浜松市天竜区龍山町戸倉
右岸           同町大嶺
天竜川水系天竜川
AWIP
89メートル
273.4メートル
34703千㎥/7750千㎥
電源開発(株)
1958年
◎治水協定が締結されたダム


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