ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

穴藤ダム

2016-05-16 13:00:00 | 新潟県
2016年5月14日 穴藤ダム
 
穴藤(けっとう)ダムは左岸が新潟県中魚沼郡津南町穴藤、右岸が同町秋成の信濃川水系中津川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
豪雪地帯を集水域として包蔵水力が豊富な中津川では大正期より信越電力(株)による電源開発が進められ中津川第1~第3発電所が建設されました。
これらの発電施設は東京電燈(株)に併合されたのち日本発送電の接収を経て、戦後の電気事業再編政で東京電力が事業を継承しました。
同社は高度成長期の電力需要増大に対処するため各地で既設発電施設の増強を進めますが、その一環として1972年(昭和47年)に建設されたのが穴藤ダムです。
ここで取水された水は中津川第二発電所に送られ最大2万2500キロワットのダム水路式発電を行うとともに、ダム直下にある中津川第一発電所の出力調整による水位変動を緩和する逆調整池としての役割も担っています。
 
 国道405号を秋山郷方面に向かうと右手に穴藤ダムが見えてきます。

堤体は右岸が屈曲、一方ゲートは左岸に偏った特徴的な構造。
豪雪地帯ということで、ゲートハウスの屋根は雪落としのためダム湖側に傾斜しています。


ダム直下に中津川第1発電所がありますが穴藤ダムと直接的な水のやり取りはありません。
左岸に取水ゲートがあり、発電所左手の建屋には調圧目的のバルブが内蔵されています。


取水ゲート
直下の第一発電所ではなく、約7キロ下流の第二発電所向けの取水ゲートです。

水のやり取りはないとはいえ、どうしても第一発電所に目が向きます。
ダム左岸には苗場山麓特有の河岸段丘が続き400メートル超の落差を利用し最大12万6000キロワットの発電を行います。


右手は1924年(大正13年)竣工の1~3号機
左手は1971年(昭和46年)に増設された4号機。
この増設に併せ穴藤ダムが建設されるとともに高野山ダムが再開発されました。


水圧鉄管の上段
落差400メートルを超える水圧鉄管は迫力十分、よくぞ千切れないものだと感心。
上部槽の奥に
高野山ダムがあります。


天端。

下流の眺め。

ダム湖は総貯水容量63万立米。

親柱の穴藤ダムの銘板。

左岸下流から
ダムの堤高は55.3メートルですが、減勢工からゲートハウスまでは20メートルあるかどうか?
基礎岩盤が相当深いようです。


ダムで取水された水は第一発電所の放流水と併せて第二発電所に送られます。


(追記)
穴藤ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0760 穴藤ダム(0375)
左岸 新潟県中魚沼郡津南町穴藤
右岸         同町秋成
信濃川水系中津川
55.3メートル
130メートル
630千㎥/580千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1972年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿