2017年5月28日 東山ダム
2024年4月13日
東山ダムは左岸が福島県会津若松市門田町黒岩、右岸が同市門田町湯川の一級河川阿賀野川水系湯川にある福島県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
東山温泉を抜け会津若松中心部を東西に横断する湯川は古来より出水が多く抜本的な治水対策が求められていました。
一方高度成長期以降の人口増加や生活様式の変化を受け、会津若松市の都市用水需要が急増し安定した水源確保が喫緊の課題となっていました。
これを受け、福島県は湯川総合開発事業を採択し1982年(昭和57年)に竣工したのが東山ダムです。
東山ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、湯川の洪水調節(最大毎秒315立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持、会津若松市への上水道用水の供給を目的とし併せて河川維持放流を利用した管理用小水力発電も行っています。
また着工ベースでは日本で初めて堤趾導流壁を採用したダムとされています。
東山ダムには2017年(平成29年)5月に初訪、2024年(令和6年)4月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時が記載してあります。
会津若松中心部から東山温泉の標識に従って県道325号線を南下、東山温泉街を抜けてさらに進むと東山ダムに到着します。
東山温泉の先右手にダム下へ通じる管理道路入口があります。
ゲートがあり立ち入りは微妙でしたが、ダム管理所に確認したら徒歩での立入りは規制していないとのこと。
ということでまずはダム下へ
入り口から約600メートル、歩くこと10分ほどでダム下に到着。
堤高70メートル、堤頂長275メートル
堤体は左岸側が折れています。
堤趾導流壁を採用しクレストには16門の自由越流頂が並びます。
(2024年4月13日)
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常用洪水吐であるオリフィスゲートは洪水期と非洪水期の2門
このほか放流設備としてジェットフローゲートを装備
また河川維持放流を利用した管理用発電所があり、平時は小水力発電所経由で放流されます。
(2024年4月13日)
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非洪水期(10月11日~6月20日)はEL396.5メートルが常時満水位
洪水期(6月21日~10月10日)はEL393.2が洪水期制限水位となります。
訪問時は非洪水期のため上部のオリフィスから越流中。
(2024年4月13日)
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管理用発電所の水利使用標識。
(2024年4月13日)
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ダムに通じる管理道路沿いには会津若松市向け上水道用水の水路管があります。
(2024年4月13日)
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右岸ダムサイトに上がります。
管理事務所はスペースがないせいか基礎をコンクリートで固めバットレスで支える構造。
(2017年5月18日)
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上流から遠望
右手は多段式取水設備
左はオリフィスゲート
ゴミ除けのスクリーンでよく見えませんが、右手の洪水期用ゲートはスライドゲートで塞がれています、。
6月20日~10月10日までの洪水期にはこのゲートが開けられます。
(2024年4月13日)
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管理所および天端への入口
ここから先は車両進入禁止。
(2024年4月13日)
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上水道用水の水利使用標識
ダムで直接取水され導水管で浄水場に送られます。
(2024年4月13日)
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管理事務所わきの竣工記念碑。
(2024年4月13日)
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ダムの概要説明板。
(2024年4月13日)
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下流面
着工ベースでは日本で最初に導流された堤趾導流壁
今どきのがっつりした堤趾導流壁と比べるとフーチングの幅や導流壁の厚さがかなり華奢。
(2017年5月18日)
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天端は徒歩のみ開放。
(2024年4月13日)
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天端からダム下を見下ろす
減勢工右手奥が管理用発電所、手前は放流設備となるジェットフローゲート
基本河川維持放流は発電所経由で行われます
左手には『東山ダム』の植栽
完成から40年以上経過していますが、手入れが行き届いているのか?東山ダムの文字がきれいな状態に保たれています。
(2024年4月13日)
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ダム湖は総貯水容量1250万立米
『湯の入湖』と命名されています。
東山温泉から上流を『湯の入』と呼んだことに由来します。
(2017年5月18日)
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左岸の艇庫とインクライン
残念ながら左岸側の道は落石の恐れがあるため全面通行止め。
(2017年5月18日)
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左岸から
堤体が折れているのがよくわかります。
こちらから見ても堤趾導流壁とフーチングがか細い。
(2017年5月18日)
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東山ダムのホームページではダムのパンフレットがアップされています。
詳しくはリンクをご覧ください。
(追記)
東山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
0520 東山ダム(1012)
左岸 福島県会津若松市門田町黒岩
右岸 同市門田町湯川
阿賀野川水系湯川
FNW
G
70メートル
275メートル
12500千㎥/11500千㎥
福島県土木部
1982年
◎治水協定が締結されたダム
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