ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

鎌井谷ダム

2021-11-25 08:00:00 | 高知県
2021年11月19日 鎌井谷ダム
 
鎌井谷ダムは高知県香南市香我美町山北の香宗川水系鎌井谷川にある高知県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、鎌井谷川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、山北地区の新規樹園地17.8ヘクタールへの灌漑及び防除用水の供給を目的として1997年(平成9年)に竣工しました。
生活貯水池ダムの多くはFNW(洪水調節・不特定利水・上水)を目的としていますが、山北地区は温暖な気候を生かし『山北みかん』のブランドや『土佐文旦』を中心に活発な果樹栽培がおこなわれており、鎌井谷ダムはミカン生産を支える貴重な水源となっています。
新規果樹園地への灌漑用水の補給を目的とする生活貯水池ダムとしては二十世紀梨果樹園向けの鳥取県の東郷ダムがあります。
 
ダム下流にある『鎌井谷ダム』の名が入ったモニュメント。
道路沿いに桜が植えられており、春にはもっと艶やかな景色になるんでしょう。

 
洪水吐はクレスト自由越流頂1門と自然調節式オリフィス1門という小規模ゲートレスダムの典型的スタイル。


堤体よりも減\勢工の作りに目が向かいます。 
減勢工の副ダム下流の落差工のような構造物、実はこれ量水計。

 
左岸から下流面。
ここだけ見るといわゆる大量生産型ダムの一つとも思えますが。


天端は車両も通れます。
取水設備と水位計建屋の屋根は円形で統一。
建屋の壁の一部には石垣風の化粧型枠が施されてます。
着工時期はまだバブルの余韻が残る時代、わずかながらも設計者の我が垣間見えます。


上流面
左から水位計、取水設備、洪水吐。

 
左岸管理事務所と東屋
職員の常駐はありません。

洪水吐導流部と減勢工
左手は放流設備。

左手の建屋は灌漑用水の調圧水槽。

 
ダムに至る道路が九十九折れになっています。
個人的に好きな『ダム下のヘアピン』の絵柄。

 
ちょっと見づらい写真ですが天端や東屋からは太平洋が遠望できます。


総貯水容量はわずか13万6000立米。
生活貯水池ダムの中でも極小サイズの貯水池です。

 
(追記)
鎌井谷ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3019 鎌井谷ダム(1736) 
高知県香南市香我美町山北 
香宗川水系鎌井谷川 
FNA 
 
27.3メートル 
131メートル 
136千㎥/128千㎥ 
高知県土木部 
1997年 
◎治水協定が締結されたダム 


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