2022年10月23日 四和ダム
2024年 7月26日
四和ダムは青森県十和田市滝沢の二級河川奥入瀬川水系後藤川上流部にある農地防災目的のアースフィルダムです。
集水域での森林伐採が進んだ結果保水力が低下し、昭和10年以降は2年に一度のペースで出水が発生、とりわけ1945年(昭和20年)秋の氾濫では沿岸農地の約2割が埋没するという激烈な災害となりました。
こうした状況を受け1950年(昭和25年)に青森県は農林省(現農林水産省)の補助を受けた防災ダム事業に着手し1960年(昭和35年)に竣工したのが四和ダムです。
完成後は青森県農林水産部が管理を行い後藤川下流域の農地防災を担っています。
完成後は青森県農林水産部が管理を行い後藤川下流域の農地防災を担っています。
しかし、四和ダム完成後も出水は続き後藤川の防災が盤石になるのは2011年(平成23年)の指久保ダム完成まで待つことになります。
四和ダム完成から60年が経過したこともあり、2022年(令和4年)から2024年(令和6年)秋の竣工をめどに大規模な改修工事が着手され、この間2022年(令和4年)10月、2024年(令和6年)7月の2度にわたり訪問しました。
とくに再訪時は職員様同行でダム構内に立入り、洪水吐や放流ゲートなどを間近で見学することができました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
左岸から下流面
堤高22.8メートルのアース堤体は草に覆われています。
(2022年10月23日)
左岸に洪水吐があり、初回訪問時は1961年(昭和36年)に設置された50年物の巻上げ機がまだ残っていました。
(2022年10月23日)
再訪時には新品の巻上げ機に置換されていました。
赤が鮮やか。
(2024年7月26日)
(2024年7月26日)
四和ダムは総貯水容量82万5000立米のうち堆砂容量2万3000立米を除いた有効貯水容量80万3000立米すべてが農地防災容量(=洪水調節容量)となり、普段は流入量はそのまま放流しダム湖に水は貯めません。
初訪時は、ダム湖内の堆砂が進むとともに草木が繁茂しまるで湿原のような状態になっていました。
(2022年10月23日)
こちらは再訪時のダム湖の写真
改修に合わせてダム湖内の浚渫が行われるとともに草木が除去され、当初の貯水容量が回復しました。
右手は非常用洪水吐の流木除けのフェンス。
(2024年7月26日)
右岸から
(2022年10月23日)
左岸の非常用洪水吐
アースフィルダムとしては珍しく可動ゲートを装備、しかも4門すべてがフラップゲート(鋼製起伏ゲート)というのは日本でもここだけじゃないでしょうか?
初訪時はゲートや扶壁の改修は終わっていましたが、巻上げ機だけまだ古いまま。
(2022年10月23日)
同じアングルで再訪時
ゲートも巻上げ機も鮮やかな真紅。
(2024年7月26日)
こちらは管理事務所内に保存されていた完成直後の写真。
(2024年7月26日)
再訪時は職員様同行で洪水吐に立ち入らせていただきました。
(2024年7月26日)
流木除けフェンスを潜ります。
天端から見るよりも実際はかなり大きく、身長180センチの私でも立って歩ける高さ。
(2024年7月26日)
非常用洪水吐に接近。
(2024年7月26日)
(2024年7月26日)
洪水吐導流部からゲートを見上げます。
たぶんこれまで、そして将来的にもここに足を踏み入れるダム愛好家は私一人だけかも?
(2024年7月26日)
次に左岸の放流ゲートに移動
先述のように四和ダムは平時は流入量はそのまま流下させます。
ここには傾斜式の放流ゲートが3門設けられており洪水時の流入量や水位に合わせて放流量をコントロールします。
(2024年7月26日)
堤体上流面から
左手は刷新された土砂吐ゲート。
(2024年7月26日)
アングルを変えて
訪問時は、一番低位のゲートから放流中。
(2024年7月26日)
アースフィルながらフラップゲートや流木除けのフェンスなど、当ダムならではのポイントが多々ありコアなマニア必見のダムと言えます。
再訪時はダムマイスターによる取材ということで、特別のご配慮で洪水吐の中や放流ゲート間近まで立入らせていただきました。
対応して頂いた青森県上北地域県民局地域農林水産部及びダム管理人様には厚く御礼申し上げます。
(追記)
四和ダムには農地防災容量が配分されており、治水協定により台風等の襲来時には洪水を防ぐための貯留が行われます。
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