ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

仲尾沢堰

2024-02-15 08:00:00 | 千葉県
2016年2月21日 仲尾沢堰
2024年1月27日
 
仲尾沢堰は千葉県南房総市富浦町福澤の岡本川水系福沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1938年(昭和13年)竣工となっていますが、事業者は記されていません。
一方ため池データベースでは管理者は船形八束水利組合、所有者は船形八束耕地組合となっており、県の補助を受けた耕地組合の事業で1938年に竣工したと思われます。
ちなみに八束は富浦地区南部の旧村名、船形は現在の館山市北部に位置し、仲尾沢堰は市境界を越え館山市北部から南房総市富浦地区最南部を受益地区としているようです。
仲尾沢堰には2016年(平成28年)2月21日に初訪、2024年(令和6年)1月27日に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。

富浦町福澤の国道127号線から福沢川沿いの市道を約3キロ北上すると仲尾沢堰に到着します。
ただ、大上集落の最終民家の先からは未舗装、隘路となるため路肩に車をデポし最後の500メートルは徒歩で向かいました。
池を見て驚くのはその洪水吐の位置。
フィルダムでは越流による堤体崩壊を防ぐため洪水吐は堤体上に作らないのが原則。
ところが仲尾沢堰では右岸寄りですが堤体中ほどに洪水吐が設けられています。
(2024年1月27日) 


堤体はきれいに草が刈られ今も貴重な水源であることが伺えます。
(2024年1月27日) 


洪水吐には細い三本の木を束ねた簡易な橋が渡されています。
(2024年1月27日) 

 
上流面。
(2024年1月27日) 


洪水吐導流部。
(2024年1月27日) 

 
洪水吐を下から見上げます。
コンクリートは比較的新しいので、この位置に洪水吐があるのは改修によるものか?
(2024年1月27日) 

 
こちらは初訪時
貯水池はほぼ満水で越流寸前。
(2016年2月21日)
 
池の下に下りてみます。
右手に斜樋からの底樋管があります。
(2024年1月27日) 

 
(2024年1月27日) 


総貯水容量は13万7000立米
初訪時はほぼ満水
房総らしく貯水池は濁っています。
(2016年2月21日)


こちらは再訪時
水は涸れ貯水池は空っぽ。。
灌漑期終了後にいったん水を抜いたものの少雨で湛水できないのか?
はたまた改修を控えているのか?
(2024年1月27日) 

 
左岸の取水設備
階段式の池栓。
(2024年1月27日) 


左岸の湖底が低いところにわずかに水が残ります。
底樋管からは水は出ていないので、土砂吐ゲートは閉めてるはず。
水を貯めようとしてるけど少雨で堪らないとみるべきか?
(2024年1月27日) 


溜池としては非常に珍しい堤体中ほどに洪水吐がある仲尾沢堰。
同様の溜池としては島根県の深山池を想起します。
それにしても空っぽの貯水池が気がかりです。

0652 仲尾沢堰(0234)
ため池データベース 122340005
千葉県南房総市富浦町福澤
岡本水系福沢川
15.3メートル(DB 15.7メートル)
71メートル
137千㎥/137千㎥
船形八束水利組合
1938年


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