2023年11月27日 須川ダム『ダム研見学会』
11月後半に4泊5日で東海から近畿のダムを回り、その過程で木曽川大堰と須川ダムの2か所でダム見学会を開催しました。
須川ダムを選んだ理由は2点あり、普段は立ち入りが制限されていること、さらに全国で2基しかない市町村が管理するアーチ式コンクリートダムという希少性からです。
上水ダムということで見学のハードルは高いと思われたのですが、事前にダムを管理する奈良市企業局に問い合わせたところ意外にあっさり見学許可が下り逆に拍子抜けしてしまいました。
奈良市企業局では主として学校の社会見学を想定して見学対応をしていますが、個人ベースでも日程の都合が合えば見学の受け入れを行っているそうです。
ただし、見学者に奈良市民(奈良市に住民票のある者)が1人以上いることが条件となります。
今回はダム研メンバーのほか既知のダム愛好家に声をかけ、総勢6名での見学会となりました。
須川ダムの概要については『須川ダム』をご覧ください。
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こちらはメインとなる北側の入り口。
普段はこのようにゲートが閉じられ立ち入りできません。
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こちらにも同様の『須川ダム』のプレート。
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職員さんにゲートを開けていただきダムサイトへ向かいます。
管理事務所前の案内板。
描かれているのは奈良市水道事業のキャラクター『なみか』ちゃん
頭から角が生えているところはせんとくんと同じですが、キャラとしてはこちらが先。
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『須川貯水池』の記念碑。
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ダムの竣工は1969年(昭和44年)
2年後の1971年(昭和46年)より運用が始まりました。
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水利使用標識。
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『奈水』と書かれた境界石
でもここは境界じゃなくダムの敷地内なんですが…。
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左岸高台からダムを見下ろします。
小ぶりなアーチダムですが円形取水塔との組み合わせが秀逸。
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ズームアップ。
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こちらは布目川・白砂川からの自然流下水源導水路流入口。
奈良市企業局は前川に水利権はなく、上水道用水はすべて布目川・白砂川からの導水に依ります。
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ダムサイトには説明版が4枚設置されています。
こちらは自然流下水源導水路の説明板
須川ダムは自然流下水源導水路の調整池で、布目川・白砂川から導水された水はいったんここに貯留されたのち専用管で緑ヶ丘浄水場に送られます。
須川ダム経由で日量15万立米の水が送水され、これは奈良市水道事業の全体の6割強にあたります。
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ダムの諸元。
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曝気装置とダム及び取水設備の断面図。
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ダムはドームアーチ、取水設備は多孔式選択取水となります。
奈良ということで大きさの比較の対象は大仏様。
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いかにも学校の社会見学用という説明板。
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左岸ダムサイトに下ります。
こちらは艇庫。
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ダム上流面
洪水吐としてクレストローラーゲート4門を装備。
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ダムと取水塔。
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昭和40年代のダムとしては珍しい円形取水塔。
多孔式選択取水設備になります。
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左岸から
ドームアーチが体感できます。
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ダム下の建屋はバルブ室
その背後に突き出た感がプラムライン。
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バルブ室と放流バルブ。
事前放流など水位低下用です。
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天端はゲート部分だけ高くなっています。
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副ダムの先はそのまま前川となります。
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こちらが河川維持及び既得水利権向けの放流設備
上記のように前川には水利権がないので、前川の流入量はここから放流します。
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ゲートは堤体右岸寄りにあり減勢工は堤体に対し左向きに傾いています。
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キャットウォークと細い管理用階段。
残念ながら現在は堤体右岸側およびダム下の見学は実施しておらず見れるのはここまで。
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こちらは左岸にあるインクライン
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最後に記念写真。
ここで解散。
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ダムの見学を終えた後は、普段唯一須川ダムの展望スポットとなる上流の橋へ
貯水池は総貯水容量79万7000立米。
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ズームアップ
堤体の一部と取水塔がかろうじて見えるだけ
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こちらは布目川取水場。
もともとあった布目川の水利権に加え、布目ダムの水利権が加わり奈良市の水道事情は大きく改善しました。
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上流からの布目川取水場と水利使用標識。
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取水場の先には沈砂池。
ここから白砂川取水場を経由して須川ダムに送水されます。
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沈砂池の擁壁には、『自然流下式水源導水路竣工碑』が嵌め込まれています。
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白砂川取水場へは隘路のため訪問を断念。
現地に赴いたダム仲間のYさん撮影の写真をお借りしました。
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上流から。
同じくYさん撮影の写真。
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最後に布目ダムの写真
今回は須川ダムに先立ち見学しました。
水資源機構が管理する多目的ダムですが、利水に限定すれば奈良市水道事業のためのダムです。
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今回は参加者6名に対し職員様3名での手厚い対応をしていただきました。
奈良市企業局の職員の皆様には厚く御礼申し上げます。
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