2018年3月22日 佐古ダム
佐古ダムは愛媛県東温市竹林の重信川水系佐川川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
少雨に加えて大河のない愛媛県の道前・道後両平野への水利を図るため、仁淀川水系から流域変更により両平野に導水する道前道後平野農業水利事業が1967年(昭和42年)に竣工し、両地区は安定した用水確保という悲願を達成しました。
しかし1980年代に入り施設の老朽化や稲作から園芸農業への転換など、社会・農業情勢の変化により新たな用水確保が迫られてきました。
農水省は『道前道後平野農業水利事業Ⅱ期』に着手し、新たな道後平野向け水源として2001年(平成13年)に佐古ダムが竣工しました。
佐古ダムは当初当地にあった灌漑用溜池である佐古谷池を呑みこむ形で建設され、道後平野における面河ダムの補給がない期間(10月7日~6月5日)における灌漑用水の供給を目的としており、管理は道後平野土地改良区が受託しています。
ダム直下から。
洪水吐は農業用ダムらしく自由越流式クレストゲートのみ。
前日までの雨で水位が上がり越流が続いています。
堤高31メートルに対して堤頂長210メートルの横長ダム。
右岸から
手前の建物は利水放流設備と揚水機場
二毛作や果樹栽培への転換など農業情勢の変化を受け、面河ダムの補給がない期間(10月7日~6月5日)における用水の確保を目的としています。
特筆すべきは独特のカーブを描く漸縮型堤体導流壁
土木屋さん泣かせです。
右岸高台から。
ダム湖は総貯水容量111万立米。
下流面。
天端は歩行者のみ通行可能
施設建屋の屋根はグリーンで統一されています。
天端から減勢工
導流壁が独特の形状になっています。
ちょっとツッパリリーゼントっぽい取水設備。
上流面。
道前道後農業水利事業Ⅱ期では道前では志河川ダム、道後では佐古ダムが建設され時代に即した灌漑用水の供給が可能となりました。
追記
佐古ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに13万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
3002 佐古ダム(1268)
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