ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

藤倉ダム(参考掲載)

2018-08-27 04:42:41 | 秋田県
2018年7月16日 藤倉ダム
 
藤倉ダムは秋田県秋田市山内の雄物川水系旭川上流部にある重力式コンクリートダムです。
東北地方初の上水道目的ダムとして1911年(明治44年)に秋田市によって建設され、以来60年以上にわたり秋田市の上水道水源として機能してきました。
しかし1973年(昭和48年)に秋田市の上水道水源がすべて雄物川に切り替えられたことで、藤倉ダムはその役割を終えました。
しかし運用終了後も堰堤一帯はそのまま保存され、1993年(平成5年)にダムを含む周辺一帯の構造物および土地が『藤倉水源地水道施設』として重要文化財に指定され、近代水道百選やAランクの近代土木遺産にも選ばれています。
またその美しい堰堤と越流から大分県の白水堰堤、愛知県の長篠堰堤とともに日本三大美堰堤とされています。
 
秋田市中心部から旭川沿いに県道18号を北東に進むと、道路右手に藤倉ダムが見えてきます。
向かって右手が本堤、左手が放水路となります。
堰堤や赤いトラス橋、放水路などの構造物および貯水池を含む周辺の土地すべてが重要文化財に指定されています。
 
ダム下流の旧沈砂池跡は2007年(平成19年)に秋田市水道100周年を記念して『藤倉記念公園』として整備されました。
記念碑と秋田市上下水道部のマスコット『カンちゃん』。
 
ダム下の秋田市水道誕生の碑、藤倉ダムの沿革が記されています。
 
こちらには重要文化財の指定書と指定範囲が記されています。
 
ダムは全面越流式で、赤いワーレントラスの管理橋が架かってします。
直前の前線通過による降雨で激しく越流しており、美しい越流も石積みも見ることができません。
 
 
手前の仕切られた水路はかつてこちら側にあった排砂設備の跡のようです。
 
エンドシルも石張りですが、辛うじてそられらしきものはうかがえます。
エンドシルの下流にはバッフルブロックが並びますがそれも水の中。
 
 
高覧の四角い親柱はいかにも明治大正といった風情。
 
訪問時は薄い霧がかかり藤倉ダム一帯は幻想的な雰囲気に包まれていました。
一方で増水により越流は激しく美しい転波越流も石積みも見ることはできませんでした。
できれば緩やかな越流時、さらに越流面の石張りを望める非越流時に再訪してみたいものです。
 
S510 藤倉ダム(参考掲載)(1348)
秋田県秋田市山内
雄物川水系旭川
16.3メートル
65.1メートル
秋田市上下水道局
1911年竣工
1973年運用終了


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