ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

君ヶ野ダム

2023-05-06 19:00:00 | 三重県
2015年12月30日 君ヶ野ダム
2023年 4月21日
 
君ヶ野ダムは三重県津市美杉町八手俣の一級河川雲津川水系八手俣川にある三重県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
雲津川では戦中戦後の燃料難による集水域での大規模伐採で保水力が低下し出水が増加、特に1959年(昭和34年)の
伊勢湾台風では流域で壊滅被害が発生しました。
一方、高度成長を受け中勢地域の都市用水需要が急増し、安定した水源確保が必須となりました。
これを受け三重県は1963年(昭和38年)に雲出川水系への多目的ダム建設事業に着手、1971年(昭和46年)に竣工したのが君ヶ野ダムです。
君ヶ野ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、洪水時に最大毎秒650立米をカットすることで雲津川の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と流域不特定灌漑用水への補給、津市及び松阪市への上水および中勢工業地帯への工水供給を目的としています。 
君ヶ野ダムには2015年(平成27年)12月に初訪、2023年(令和5年)4月に再訪しました。
掲載写真は日時記載分を除いてすべて再訪時のものです。
 
堤高73メートル、堤頂長323メートルと補助ダムとしては中規模ですが、フルゲートを備え正対するとなかなかの威容。

非常用洪水吐としてクレストラジアルゲート2門、常用洪水吐としてオリフィス高圧ラジアルゲート2門を装備
またオリフィスゲートの間に利水放流用ホロージェットバルブがあります。
オリフィスとホロージェットバルブの並びが珍しい。


前面に張り出したゲート操作室がいかにも昭和40年代のダムと言った風。


右岸から下流面
対岸高台にはレークサイド君ヶ野という津市営宿泊施設があります。


右岸ダムサイトのクレーン台座跡。
登りたいけど立ち入り禁止。


ゲート越しの減勢工
副ダムにはスリットが3本入っています。

 
ダム湖は総貯水容量2330万立米。


ダムサイトへのアプローチとなる県道29号のヘアピン。


ズームアップすると右岸に細い水路と池があります。
職員さんに伺うと河川維持放流用水路で、池はテロ対策用の鯉を泳がすためのものとか。


上流面
主ゲートとオリフィス予備ゲートはいずれも赤
そういえば三重県営の宮川ダム三瀬谷ダム(現在は中部電力に移管)もゲートは赤。(2017年12月30日)

左岸展望台から
天端は車両通行可能、対岸に管理事務所があります。


管理事務所裏手からインクラインが延びます。
写真ではよく見えませんが、河川維持放流路の取水口がインクラインの先端にあります。


上流から
残念ながら逆光。


(追記)
君ヶ野ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1317 君ヶ野ダム(0153)
三重県津市美杉町八手俣
雲出川水系八手俣川
FNWI
73メートル
323メートル
23300千㎥/19700千㎥
三重県県土整備部
1971年
◎治水協定が締結されたダム


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