当地、軽井沢で隠遁生活をしていると、今世界を震撼させるまでになった新型コロナウィルスのことは別世界の出来事のようである。しかしそれでも、近くの旧軽井沢銀座通りや駅の反対側のアウトレットモールに行ってみると、土曜日というのに、いつもの賑わいはなくひっそりとしていて人通りもまばらであり、駐車場に停められている車の台数も普段に比べると極端に少なくなっていることから、その影響を実感するのである。
歴史的事件ともいえるこの新型コロナウィルス騒動のこれまでを振り返っておこうと思う。
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旧軽井沢銀座通り 1/2(2020.3.7 11:20-11:40撮影)
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旧軽井沢銀座通り 2/2(2020.3.7 11:20-11:40撮影)
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軽井沢駅連絡通路(2020.3.7 11:20-11:40撮影)
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軽井沢アウトレットモールの駐車場(2020.3.7 11:20-11:40撮影)
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軽井沢アウトレットモール(2020.3.7 11:20-11:40撮影)
TVのワイドショウや新聞紙面には日々増加していく日本と世界の新型コロナウィルス感染者数が報じられているので、否応なくニュースは入って来る。休校要請・都市封鎖・非常事態宣言、ますます悪化していく経済状況と世界的な株価の大暴落、中国・習近平国家主席の訪日延期、そして今年予定されている東京オリンピック・パラリンピック開催への懸念などが伝わり、報道から目が離せない状況になっている。
さらに、インターネット上ではマスメディアに比べて、よりストレートな情報や陰謀論めいた情報が発せられており、いつものことながら両者の乖離の大きさに戸惑うのである。
新年早々起きた日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の無断出国事件や、アメリカ・トランプ大統領の指示で行われたイラン・革命防衛隊のスレイマニ司令官殺害事件などで、おとそ気分も吹き飛んでいる中、続いて起きたこの新型コロナウィルスのニュースだが、はじめのうちは静かに報じられた。
「新型肺炎、国内初確認」(1月17日付け新聞見出し)
この時報じられた国内初の感染者は、中国武漢市に滞在していた中国人男性で、武漢市滞在中から発熱があったが、解熱剤を服用していたので、入国の際に空港の体温検知サーモグラフィー検査をすり抜けている。この話題を報じたTVのモーニングショウに出演していた白鳳大学・岡田晴恵教授は、この中国人男性に対して「ふざけるな!」と語気を荒げていたのが印象的であった。
この時の新聞記事は、さらに次の様に続いている。
「・・・ただ、日本で男性と暮らす家族には症状が出ておらず、医療従事者にも感染が確認されていないことから、人から人に感染が次々と広がる可能性は低いとみられる。・・・押谷仁・東北大学教授(ウィルス学)は『今回のウィルスが人から人に感染したとしても、共に生活して濃厚に接触した場合など限定的で、重症急性呼吸器症候群(SARS)のような大流行が起こるとは考えにくい。ただ、性質が変化する可能性もあり、継続的な監視が重要だ』と指摘する。・・・」
押谷教授が比較のために挙げたSARSについては、同日の新聞紙上(9面)に関連記事が載っていて、「中国では、25日の春節(旧正月)に合わせた大型連休で延べ約30億人の移動が見込まれており、感染の拡大が懸念される」と伝えている。
尚、押谷教授は、後日、2月16日に開催された「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第1回)」の構成員の一人に選ばれている。
このように静かに始まった新型コロナウィルスへの感染であったが、その後専門家の予想を越える感染拡大を示し、約2か月経過した3月11日に大きな節目を迎えた。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が新型コロナウィルスについて「パンデミック(感染症の世界的な大流行)とみなすことができる」と表明したのである。この表明のタイミングについては、「感染がすでに世界規模で広がっていることから、WHOの対応は後手に回ったとの批判も出ている。」とも報じられている。
TVのニュースでは3月12日に、いち早くこの事を伝えた。また、同じ11日にアメリカ・トランプ大統領はイタリアなどヨーロッパ26カ国(イギリスを除く)を2週間以内に訪れた外国人の入国禁止(今後30日間)を発表した。イタリア・コンテ首相は全国で食料品店と生活必需品店、薬局を除く小売店のすべての商業活動の停止を呼びかけた。また、ドイツ・メルケル首相は今後「ワクチンなどがない中、人口の60%から70%が感染する可能性がある」と、懸念を表明した。
こうした状況を受け、世界経済に深刻な影響が出るとの懸念から、欧米の株価の下落が続いたが、アメリカニューヨークの株式市場で3月12日、ダウ平均株価の終値が2,352.60ドル安の2万1,200.62ドルとなり、下落幅としては過去最大で、下落率も9.98%と1987年10月のブラックマンデーに次ぐ水準となった。翌日13日(金)の日本の東京株式市場でも、日経平均株価の終値が前日比1,128円58銭安の1万7,431円05銭となった。この様子を14日の読売新聞(1面)は報じた。
感染拡大を続ける新型コロナウィルスの脅威について、イタリアでは高齢化が進んでいることもあり死亡率が6.6%にも達すると報じられ、アメリカNIH(国立衛生研究所)のファウチ博士は、季節性インフルエンザと比べ致死率は10倍だと証言した。アメリカではカリフォルニア州、ニューヨーク州、首都ワシントンなど州単位すでに3月11日までに24の州で非常事態宣言が出され緊張が高まっていたが、遂に13日、トランプ大統領は国家非常事態を宣言した。
感染は著名人や国家の首脳周辺にも及び始めていて、ハリウッド映画俳優のトム・ハンクス夫妻が新型コロナウィルス感染を公表しているし、サッカー選手では、イタリア・セリエAのダニエレ・ルガーニ選手ほか、3月14日現在10名もの選手が新型コロナウィルスに感染していることが判明した。
政界ではカナダのジャスティン・トルドー首相の妻、ソフィー・グレゴワール夫人の感染が判明し、首相本人も医師からのアドバイスに従い、14日間の隔離を伴う健康観察を始めると報道されている。
一方、感染源の中国では新たな感染者の数が減り、収束ムードが広がり、これに続いて、あろうことか3月14日付の中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は、欧米諸国の新型コロナウイルス感染症への対応が甘く、感染拡大を許したとして 「反省すべきだ」と訴える社説を掲載したという。
日本にとりもう一つの大きな懸念は東京オリンピック・パラリンピック開催への影響である。ギリシャ・オリンピア市では異例の無観客ということになったが、予定通りオリンピックの採火式が行われた。聖火はギリシャ人の第1走者から第2走者の野口みずきさんに引き継がれたが、その後はギリシャ国内での聖火リレーは混乱を避けるために中止となったという。
突然降って湧いたように世界中を混乱に陥れたこの新型コロナウィルスの世界的感染拡大。これによる病気にはWHOによりCOVID-19と名前が付けられた。このウィルスの性質もそうであるが、当初言われていた武漢の華南海鮮市場からの発生という情報にも疑問が投げかけられるなど、まだよくわかっていないことも多いとされている。今後もう少し見ていきたいと思っている。