軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

生まれて初めての食事

2018-06-15 00:00:00 | 
 以前このブログで、庭にきた蝶(20)としてモンキチョウを紹介し、モンキチョウの幼虫が卵から孵化してでてくるところを静止画で示したことがあった(2018.1.12 公開)。このシーンも実は動画撮影をしていたのだが、PCにバックアップしてあったその動画を誤って消去してしまいその時は掲載することができなかった。掲載できたのは、PCに残っていたこの動画から得た一連のキャプチャー画像であった。

 カメラ本体にある元の映像は、通常バックアップした時点で削除するので、この時もそうしたものと思い込んでいた。ところが、消したと思っていた、モンキチョウの孵化の様子を撮影した映像はメモリーカードの方に残っていたことに最近になって気が付いた!。

 今回は、これを見ていただこうと思う(幼虫の苦手な方は視聴ご遠慮ください)。題して「生まれて初めての食事」。長さが1.5mmほどの細長いモンキチョウの卵。ここから幼虫が這い出して、すぐに幼虫は自分が入っていた卵の殻をムシャムシャときれいに食べてしまう。

 こうした行動は、このモンキチョウの幼虫だけではなく、多くの蝶・蛾はじめ昆虫の幼虫で見られるものであるという。先ずは動画からのキャプチャー画像から見ていただく。


1.産みつけられた直後白かった卵は、黄~オレンジと変化し孵化直前には上部が黒くなる
(2017.7.8 16:20 撮影動画より)


2.上部右側に小さな穴が開く(2017.7.8 16:50 撮影動画より)


3.左にもう一つ穴が開き、幼虫は中からその穴を齧り広げていって一つにする
(2017.7.8 17:00 撮影動画より)


4.穴を頭の大きさにまで広げる。黒く見えていたのは幼虫の頭だった(2017.7.8 17:10 撮影動画より)


5.頭が出るところまで齧ると、幼虫はそこから這い出して来る(2017.7.8 17:11 撮影動画より)


6.よいしょ!、幼虫の体は腹部を卵の中で2つに折りたたんで入っているようだ(2017.7.8 17:12 撮影動画より)


7.もう少し(2017.7.8 17:12 撮影動画より)


8.頭がアカツメクサの葉に届いた(2017.7.8 17:13 撮影動画より)


9.身体が完全に出た。身体は折りたたまれていたこともあり、2mm以上と卵の長さよりもだいぶ長い(2017.7.8 17:15 撮影動画より)


10.一度卵の抜け殻から離れていくが、何を思ってか後戻り(2017.7.8 17:17 撮影動画より)


11.抜け殻の方に近づいていく(2017.7.8 17:17 撮影動画より)


12.抜け殻に戻る(2017.7.8 17:17 撮影動画より)


13.頭を持ち上げて(2017.7.8 17:20 撮影動画より)


14.上の方から食べ始め(2017.7.8 17:25 撮影動画より)


15.どんどん食べていく(2017.7.8 17:29 撮影動画より)


16.休まず一気に食べ進め(2017.7.8 17:40 撮影動画より)


17.完食、この間23分(2017.7.8 17:43 撮影動画より)


18.食べ終わると、アカツメクサの葉の中心葉脈上の定位置に移動(2017.7.8 17:47 撮影動画より)

 では、この様子をYouTubeのタイムラプス機能を使って、6倍の速さにした動画で見ていただこう。


生まれて初めての食事(2017.7.8 16:20~17:45 6倍のタイムラプス)

 多くの蝶で卵は食草の葉に産み付けられる。モンキチョウの場合、卵は食草であるアカツメクサの葉上に産みつけられるから、孵化した幼虫はすぐ目の前に餌があるので、わざわざ卵の殻を食べるには何か理由があるに違いない。その理由については次のようにいくつかの説があるが、まだ確定したものはないようである。

1.卵の殻には幼虫が最初に必要な栄養が含まれている。
2.卵の殻があると、天敵に見つかる恐れがあるので、食べてしまう。
3.昆虫の卵には親虫由来の微生物が付着していて、幼虫はその卵の殻を食べることでそれらの微生物を受取る。

などである。1の説については実験例があるようで、殻を食べた場合と食べなかった場合では成長に多少の差は見られるものの、決定的なものではないようである。2の説については、卵が葉上に産み付けられてから、長くそこにあったわけで、やや説得力に欠ける気がする。3の説もなるほどと思わせるが、1と同様で実験例があるので、必須かどうかわからない。もっとも、1.3.の説については、幼虫は卵から抜け出す際に殻を食い破って出てくるのだから、量は少ないにせよ、必ず殻を食べていることになるので、実験がどのようにして行われたのかを確認しなければならない。

 もう一つ付け加えるなら、産み付けられた葉が枯れてしまったりした場合に、幼虫が無事新たな食草にたどり着くまでのエネルギーの確保のために先ず殻を食べるというのはどうだろうか。

 定年後、蝶と蛾の幼虫を飼育して、その成長過程を3D撮影して楽しんでいるが、驚いたり感心したりすることばかりである。蝶の幼虫が生まれて最初に示す今回の食殻行動も、とても興味深いものであった。昆虫が、進化の過程で獲得したに違いないこうした行動が、過去のどのような経過に由来するものか、あれこれ想像するのは楽しい。

 今回の食殻行動も、幼虫は孵化してから一旦は殻から離れていくが、思い出したように卵の抜け殻に戻って行ってその殻を食べ始める。何故だろうか。幼虫の成長に必要なものだから食べてしまうとすれば、何故、卵から出たらすぐに食べ始めないのだろうか・・・などなど。

 いずれにしても、今後明快な答が得られることを期待したいものだ。



  
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