軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

ブッドレアとクサギ

2024-09-20 00:00:00 | 
 もともと蝶好きのわれわれ夫婦であるが、軽井沢に移住してから自宅庭にもチョウを呼び寄せたいと考え、ブッドレアの苗を購入して植えた。

 2年ほどして、花が咲くようになるとすぐにいろいろなチョウが吸蜜にやってくるようになった。代表格はタテハチョウとヒョウモンチョウの仲間である。

 これらのチョウについては、順次「庭に来たチョウ」として当ブログで紹介してきたが、これまでに30種類ほどに達した。

 ところで、日本のチョウの中でも特に美しさで際立っている種のひとつがミヤマカラスアゲハだと思うが、軽井沢には比較的多く生息していて、初夏と盛夏の頃に2回発生する。

 我が家のブッドレアにもまれにやってくるが、夏型は8月になると、ちょうどこの頃、山野に咲くクサギの花によく集まってくるのを見かける。ミヤマカラスアゲハのほかに、カラスアゲハやオナガアゲハ、クロアゲハなどもこのクサギの花の常連である。

 以前から、南軽井沢の別荘地近くの林地にこのクサギの樹があることに気がついていて、花の咲く季節になると仕事に出かける前の早朝、アゲハ類の撮影に出かけていた。しかし、私有地の中にあったため、ある年行ってみると切り倒されてしまっていた。

 ほかにクサギの樹はないかと随分探してみたが、周辺地には見つけることができなかったので、それでは自宅庭に植えようということになった。クサギは名前通り臭いを嫌う人もいるようで、庭木として見かけることは少ない。しかし、その集蝶力から、信濃追分にあるTさんのバタフライガーデンにも、小諸のMさんのバタフライガーデンにも植えられている。

 我が家では、ミヤマカラスアゲハが来てくれることを優先したので、臭いのことは気にしないで、3年前に苗を3本買って植えた。成長は早く、植えて2年目の昨年は2mほどに成長して、少しながら花を咲かせた。その花を目指して早速ミヤマカラスアゲハとカラスアゲハが吸蜜に来るようになった。

 クサギのすぐそばに、キハダも植えていて、昨年はこのキハダにカラスアゲハが産卵するところを妻が偶然目撃したので、その卵を2個採集して蛹になるまで育てたが、その記録は当ブログで紹介している。

 クサギは今年さらに成長し、樹高3m以上になり、花芽もおどろくほどたくさんついた。そして、花が咲き始めた8月上旬、はじめてミヤマカラスアゲハが吸蜜に来ているところを見ることができた。


クサギの花に吸蜜に訪れたミヤマカラスアゲハ♂(2024.8.10 スマホで撮影)


夢中になってクサギで吸蜜するミヤマカラスアゲハ♂(2024.8.10 スマホで撮影)

 この数日前から、旧軽井沢銀座にあるショップの前の道路を悠々と飛ぶカラスアゲハかミヤマカラスアゲハの姿を目撃していたし、この日の朝の雲場池散歩でも同じように目撃していたので、そろそろ我が家のクサギにもやってくるのではと思っていた矢先、期待に違わず、朝仕事に出かけようと庭に出たところに、ちょうど飛来した。

 しばらく様子を伺うように、私の頭すれすれに飛んでみたり、手にも止まりそうなところまで近づいてきたりしたが、やがて咲き始めたクサギの花穂に止まり蜜を吸い始めた。こうなると、もう私が手持ちのスマホを近づけて撮影しても驚いて飛び去ることもなくなる。数枚の写真を撮影してから、やや後ろ髪をひかれる思いでショップに出かけた。

 クサギの花はゆっくりと開花していて、咲きはじめから満開になるまで、かなりの日数を要するようである。以前山地で見ていた時には、ミヤマカラスアゲハを見るのはお盆の頃がピークであったが、我が家のクサギに集まるミヤマカラスアゲハはそれよりも遅く、8月10日に見て以来なかなか姿を見せず、その間にカラスアゲハ、オナガアゲハ、クロアゲハを見るようになった。


ブッドレアで吸蜜するオナガアゲハ♀ 1/2(2024.8.10 撮影)


ブッドレアで吸蜜するオナガアゲハ♀ 2/2(2024.9.3 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 1/4(2024.8.23 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 2/4(2024.8.23 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 3/4(2024.8.23 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 4/4(2024.8.23 撮影)


クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♂(2024.9.3 撮影)

ブッドレアで吸蜜するクロアゲハ♀(2024.9.1 撮影)

クサギの花で吸蜜するクロアゲハ♀ 1/2(2024.9.1 撮影)

クサギの花で吸蜜するクロアゲハ♀ 2/2(2024.9.1 撮影)

ブッドレアに来た翅がかなり傷んだミヤマカラスアゲハ♀ 1/2(2024.9.1 撮影)

ブッドレアに来た翅がかなり傷んだミヤマカラスアゲハ♀ 2/2(2024.9.1 撮影)

ブッドレアで吸蜜するカラスアゲハ♂ 1/2(2024.9.4 撮影)

ブッドレアで吸蜜するカラスアゲハ♂ 2/2(2024.9.4 撮影)

吸蜜の合間にモミの樹で休息するカラスアゲハ♂ (2024.9.4 撮影)

 9月に入り、ふたたびミヤマカラスアゲハが来るようになり、♀の姿も見かけるようになった。昨年は、♀チョウがキハダの枝先に産卵しているところを妻が目撃したので、容易に卵を採集できたが、今年はまだそうした機会もなかった。しかし、ミヤマカラスアゲハの♀が近くまで来ているので、どこかに卵を産んでいるのではないかとの期待もあり、キハダの枝先を丹念にみていくと4個卵を見つけることができた。

 昨年、卵を採集して室内で育てたものは蛹になり、さらに今年の春、無事羽化させることができたが、キハダの葉で幼虫(多分2齢)になっているところを見つけ、採集して育てたものは、すでに寄生バチに卵を産み付けられていたらしく、蛹にはなったものの、今年春には羽化することなく、蛹の殻に丸い穴をあけてハチが出てきた。

 こうした経験があったので、できるだけ卵を見つけるとすぐに採集し、室内で育てるようにしている。それでも見落としがあり、幼虫になっているものを見つけることもあるが、見つけ次第飼育ケースに移している。


採集した卵から孵化する様子(上から 2024.9.5, 9:03, 9:06, 9:09, 9:12 撮影動画からのキャプチャー画像 )


卵を採集し孵化させた幼虫(孵化直後 2024.9.14 撮影)


卵を採集し孵化させた幼虫(孵化後10日目 2024.9.14 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 A(2024.9.11 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 B(2024.9.11 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 C(2024.9.11 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 A(右)とC(2024.9.11 撮影)

 今年はまだ、♀チョウが産卵しているところを見ているわけではないので、得た卵や幼虫がミヤマカラスアゲハのものか、カラスアゲハのものかは判らない。昨年カラスアゲハを育てているので、今年はぜひミヤマカラスアゲハを飼育したいものと思っているが、卵はもちろんのこと、幼虫をみても2種のどちらか区別がつかないでいる。今、早いものは4齢になっているが、終齢になってみないと私には判定がつかない。その後も次々と卵や幼虫が見つかっていているが、ぜひこの中にミヤマカラスアゲハがいて欲しいものと思いながら飼育を続けているところである。
 
 

 




 





 
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