軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

ミヤマカラスアゲハの孵化と羽化

2024-10-25 00:00:00 | 
 昨年の今頃、ミヤマカラスアゲハの卵だと思って孵化の様子を観察し、そのまま飼育し続けてきた幼虫が終齢になったところで、意外にもカラスアゲハであったことに気がついて驚かされたことがあった。

 この卵は自宅庭のキハダの葉に絡みついていたツル性の植物に産んであったもので、ミヤマカラスアゲハだと思い込んでいたのであった。

 今年もまた同じキハダの木に卵が産みつけられていて、数は昨年より多くなった。これは、すぐそばに植えているクサギが成長し、昨年より多くの花を咲かせ、たくさんのアゲハ類を呼び寄せたからに違いなかった。

 親チョウが産卵するところを目撃したわけではないので、これらの卵がミヤマカラスアゲハのものか、昨年のようにカラスアゲハのものかは幼虫が成長してみないと判らない。今年は全部で9個の卵と6匹の幼虫を見つけ、採集して室内で観察・飼育した。

 9月20日のブログでその途中経過を書いたが、結果、終齢まで飼育して判ったことであるが、これらはすべてミヤマカラスアゲハであった。

 採集した時の卵の外観は異なっていて、まだ全体に白っぽく黒点が見えるものと、全体が黒ずんでいて、中の幼虫の頭部らしいものが確認できるものとがあった。

キハダの葉裏で見つけたミヤマカラスアゲハの卵 1/2(2024.9.4, 14:54 撮影)


キハダの葉裏で見つけたミヤマカラスアゲハの卵 2/2(2024.9.4, 19:10 撮影)

 昨年カラスアゲハの卵を孵化させた時の経験から、このように黒くなっているのもはすぐにも孵化すると判断して、早速撮影に入った。

 ミヤマカラスアゲハの卵からの孵化の様子を観察・撮影したのは今回が初めてであるが、次のようである。最初の映像は30倍タイムラプスで撮影したもので、後半はキハダの葉が乾燥したために撮影中に動いて、幼虫の姿が画面からはみ出してしまったが、孵化後の幼虫が卵の殻を食べてしまう様子が撮影できた。

 
ミヤマカラスアゲハの孵化① (2024.9.4, 23:56 ~ 9.5, 6:19 30倍タイムラプス撮影後編集)

 次は、別の卵が孵化する様子を実時間で撮影した映像で、前後部分は30倍タイムラプスで撮影したものを編集してつなぎ合わせたもの。この個体も孵化後卵の殻をきれいに食べてしまった。

 
ミヤマカラスアゲハの孵化② (2024.9.5, 8:55 ~ 9.5, 10:28 通常撮影と30倍タイムラプス撮影後編集)

 例年であれば、これらの幼虫が脱皮して齢を重ねていくところをビデオ撮影するのであるが、今年はいつものような気力がなく、漫然と飼育してしまった。そして、幼虫が次々と終齢になるのを見届け、前述の通りすべての幼虫がミヤマカラスアゲハであることを確認した。

 最初に終齢になった個体の外観は次のようであった。





ミヤマカラスアゲハの終齢幼虫(2024.9.19 撮影)

 上の写真の個体は頭部のまだら模様の色が特に濃いようであるが、ほぼ同じ時期に終齢になった他の個体を見るとこの部分の濃さの違っているものもいる。

同じ頃に終齢になった3匹のミヤマカラスアゲハ(2024.9.19 撮影)

 この3匹の内、早いものは飼育ケースの壁面で9月26日に前蛹になり、翌々日には蛹になった。

ミヤマカラスアゲハの前蛹(2024.9.26 撮影)

 幼虫が脱皮するところを逐次確認できたのではないので、成長の記録としては不完全であるが、飼育結果は次のようであり、 最終的に蛹が6匹得られた。これは、これまで何種類かのチョウの幼虫の飼育を行ってきた中でも、無事蛹になった割合は低い結果であった。

 卵から蛹になったもの・・・・・・・3
 卵から孵化後幼虫が死んだもの・・・3
 卵が孵化しなかったもの・・・・・・3
 幼虫採集後蛹になったもの・・・・・3
 幼虫採集後死んだもの・・・・・・・3

 来春までの長い眠りについたと思い、蛹化後も、そのまま室内に置いておいたところ、中の1匹が、10月14日にまさかの羽化をして、ケースの中で羽ばたいているのを見つけた。美しい♀のミヤマカラスアゲハであった。 

 軽井沢の外気温はすでに低くなってきていて、季節外れの羽化で、放したとしても仲間と巡り合うこともないだろうと思い、羽化した成虫と、残りの蛹とを屋外のケージに移し、成虫には咲き残っていたクサギの花を与えそのまま飼育していたところ、9日後10月23日には更にもう1頭が羽化した。傍らの2匹の蛹もやや黒く変化していて、羽化が迫っていると感じさせた。

 3匹目の蛹は順調に見えたが、直前で羽化が止まってしまった。4匹目は3匹目を追い越して先に無事羽化し、またも♀が誕生した。そして、3匹目がようやく羽化したが、翅が伸びないまま固まってしまった。

室内の飼育ケース内で最初に羽化したミヤマカラスアゲハ♀(2024.10.14 撮影)


屋外の飼育ケージで2番目に羽化したミヤマカラスアゲハ♀(2024.10.23 撮影)


直前に室内に取り込み3番目に羽化したミヤマカラスアゲハ♀(2024.10.24 撮影)

 これまでにもミヤマカラスアゲハの終齢幼虫を小諸のMさんから頂いて蛹化させたり、カラスアゲハの卵を庭で採集して蛹になるまで育てたことがあったが、これらの蛹はすべて冬を越して翌年春に羽化していった。

 今回も夏型の成虫が産んだ卵や幼虫を採集して蛹化させたので、ほぼ同じ条件と思われたのであったが、どうした訳か今回のミヤマカラスアゲハはすでに6匹の蛹のうち3匹が羽化して成虫になり、1匹は羽化途中で成長が止まってしまい、ようやく蛹の殻から抜け出したものの翅は伸びないままであった。いったい今回は何が起きたのだろうかと思っている。

 
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