① 『どこへ いってた?』(1952) マーガレット・ワイズ・ブラウン/バーバラ・クーニー うちだりさこ訳 童話館出版 1996
生を謳歌する動物たちの絵本です。『どこへ行ってた?』の呼びかけに答える動物たちの幸せそうな表情が印象的です。
小鳥は高く空を飛び、馬はクローバーの原っぱでうっとりし、カエルはけろっけろッとうたい、クジラは嵐の海で大波を乗り越え、それぞれ好きなところで精いっぱい生を楽しんでいます。最後に登場するカラスは作者の遊び心でしょうか。愉快です。
呼びかけの言葉も、擬音語や擬態語も耳に心地よく響いてきます。スクラッチボードの技法で描かれた白黒の美しい絵は動物たちの毛の一本一本まで細やかに丁寧に描かれ、素晴らしいです。表紙も裏表紙も美しく、赤で彩られた見返しのデザインもセンスのよさを感じます。
②『からすのカーさん へびたいじ』(1967) オールダス・ハクスリー/バーバラ・クーニー じんぐうてるお訳 冨山房1988
はこやなぎの木に巣をかけるからすのカーさん夫妻の愉快な物語です。
カー奥さんは毎日たまごを一個産むのですが、カー奥さんが買い物から戻ると決まってたまごが消えています。やがて犯人はその木の根元に住む恐ろしいへびのガラガラどんと判明。どうやってやっつけるか、友人のふくろうがいい方法を教えてくれます。最後、苦しくもがきながら自分で枝に巻きつき、命尽きてしまったへびをカー奥さんがどうしたか、ユーモアあふれる展開に感動がもらえます。
この話が書かれたのは1944年のことです。その後、火事で原稿を焼失してしまうのですが、幸運なことに、作者の死後、コピーを保管していた人が分かり、バーバラ・クーニーのすてきな絵で1967年に出版になりました。
③『おもいでをなくしたおばあちゃん』(2005) ジャーク・ドレーセン/アンヌ・ベスタ―ダイン 久保谷洋訳 朝日学生新聞社2011
ベルギーの作者と画家による絵本です。
老人ホームにいるおばあちゃんに会いに行くママとベトラの物語。
昔のこともママやベトラのこともすっかり忘れてしまったおばあちゃんとの会話はかみ合わず、「わたし、ベトラよ。わたしのことが分からないの?」とベトラは悲しくなります。そんな3人のぎくしゃくした関係を救ってくれたのは、おばあちゃんがママに教え、ママがベトラに教えてくれた歌をベトラがうたった時です。おばあちゃんの顔に生気が戻り、昔がほんの少し戻ってきます。最後、帰りの電車の中でのベトラの言葉が感動的です。人が老いること、認知症がどういうものか、ベトラの目を通して語られるすてきな物語です。
④『ロッタの夢 オルコット一家に出会った少女』(1997) ノーマ・ジョンストン 谷口由美子訳 平澤朋子絵 岩波少年文庫2023
両親と兄や弟や妹と家族7人で祖国ドイツからアメリカのボストンにやってきた12才のロッタの1848年11月から1849年4月までの物語です。
自由を求めてやってきたアメリカでしたが、ドイツ語しか話せない家族にとって言葉の壁は大きく、父の仕事も思うようにいかず、最悪の事態に陥ります。そんな時、オルコット夫人に出会い、ロッタたちの生活に大きな変化が訪れます。特にオルコット家の娘16才のルーイ(『若草物語』の作者ルイザ)との出会いはロッタを大きく成長させてくれます。次々と襲ってくる困難にしっかり背筋を伸ばして前を向こうとするロッタの姿が印象的です。13才になったロッタの新しい門出で物語は終わります。
ロッタの家族の物語はフィクションですが、ルーイやオルコット家の人々は実在した人々です。フィクションとノンフィクションが混ざり合った設定が興味深い物語です。
生を謳歌する動物たちの絵本です。『どこへ行ってた?』の呼びかけに答える動物たちの幸せそうな表情が印象的です。
小鳥は高く空を飛び、馬はクローバーの原っぱでうっとりし、カエルはけろっけろッとうたい、クジラは嵐の海で大波を乗り越え、それぞれ好きなところで精いっぱい生を楽しんでいます。最後に登場するカラスは作者の遊び心でしょうか。愉快です。
呼びかけの言葉も、擬音語や擬態語も耳に心地よく響いてきます。スクラッチボードの技法で描かれた白黒の美しい絵は動物たちの毛の一本一本まで細やかに丁寧に描かれ、素晴らしいです。表紙も裏表紙も美しく、赤で彩られた見返しのデザインもセンスのよさを感じます。
②『からすのカーさん へびたいじ』(1967) オールダス・ハクスリー/バーバラ・クーニー じんぐうてるお訳 冨山房1988
はこやなぎの木に巣をかけるからすのカーさん夫妻の愉快な物語です。
カー奥さんは毎日たまごを一個産むのですが、カー奥さんが買い物から戻ると決まってたまごが消えています。やがて犯人はその木の根元に住む恐ろしいへびのガラガラどんと判明。どうやってやっつけるか、友人のふくろうがいい方法を教えてくれます。最後、苦しくもがきながら自分で枝に巻きつき、命尽きてしまったへびをカー奥さんがどうしたか、ユーモアあふれる展開に感動がもらえます。
この話が書かれたのは1944年のことです。その後、火事で原稿を焼失してしまうのですが、幸運なことに、作者の死後、コピーを保管していた人が分かり、バーバラ・クーニーのすてきな絵で1967年に出版になりました。
③『おもいでをなくしたおばあちゃん』(2005) ジャーク・ドレーセン/アンヌ・ベスタ―ダイン 久保谷洋訳 朝日学生新聞社2011
ベルギーの作者と画家による絵本です。
老人ホームにいるおばあちゃんに会いに行くママとベトラの物語。
昔のこともママやベトラのこともすっかり忘れてしまったおばあちゃんとの会話はかみ合わず、「わたし、ベトラよ。わたしのことが分からないの?」とベトラは悲しくなります。そんな3人のぎくしゃくした関係を救ってくれたのは、おばあちゃんがママに教え、ママがベトラに教えてくれた歌をベトラがうたった時です。おばあちゃんの顔に生気が戻り、昔がほんの少し戻ってきます。最後、帰りの電車の中でのベトラの言葉が感動的です。人が老いること、認知症がどういうものか、ベトラの目を通して語られるすてきな物語です。
④『ロッタの夢 オルコット一家に出会った少女』(1997) ノーマ・ジョンストン 谷口由美子訳 平澤朋子絵 岩波少年文庫2023
両親と兄や弟や妹と家族7人で祖国ドイツからアメリカのボストンにやってきた12才のロッタの1848年11月から1849年4月までの物語です。
自由を求めてやってきたアメリカでしたが、ドイツ語しか話せない家族にとって言葉の壁は大きく、父の仕事も思うようにいかず、最悪の事態に陥ります。そんな時、オルコット夫人に出会い、ロッタたちの生活に大きな変化が訪れます。特にオルコット家の娘16才のルーイ(『若草物語』の作者ルイザ)との出会いはロッタを大きく成長させてくれます。次々と襲ってくる困難にしっかり背筋を伸ばして前を向こうとするロッタの姿が印象的です。13才になったロッタの新しい門出で物語は終わります。
ロッタの家族の物語はフィクションですが、ルーイやオルコット家の人々は実在した人々です。フィクションとノンフィクションが混ざり合った設定が興味深い物語です。
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