メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

小説『ノルウェイの森』を読んでみた

2009年06月05日 | メガヒヨの本棚・CD棚
メガヒヨは俳優の松山ケンイチさんのファンである。
すこし前に彼が映画『ノルウェイの森』の主役・ワタナベを演じるという発表があったので、この機会に原作を購入した。
そしてつい先日に読み終わった。

20年以上前に発表されたこの作品。
姉が文庫本を持っていたので、メガヒヨも昔に目を通した記憶がある。
しかしながら自殺した友人の恋人との関係をつづった内容は、趣味に合わなかった。
ちゃんと読んだのは今回が初めてである。

以下ネタバレ警報!!
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昔読んだときは、自死などの内容が受け付けられなかった。
若いときは潔癖だったからね。
時代は変わりメガヒヨも年を重ねて、メンタルな病気が引き起こす自死は罪ではないことも解るようになった。
でもやっぱり作品に感情移入できないかも…。

しかし描写力は優れていて、状況や心情が読み手に上手く伝わってきた。
レイコさんが音楽の才能について語る箇所は、よく描かれているなぁと感心した。
頭で理屈は解っていても、言語化って難しいからね。

それとワタナベが緑の父を見舞ったときに、キュウリを食べるシーンが良かった。
その部分は生きているというか、みずみずしい感触があった。
映画ではぜひこの場面を再現してほしい。

構成されたモチーフはそれなりにいいと思うのだけど、どうしても作者が作品を通じて伝えたいことがよく分からない。

終盤でワタナベがレイコさんとも関係を持つあたりから、さらに混乱してくる。
永沢さんとの女遊びはまだ作品の構成において有りだと思っていたけれど、ここまでくると節操が無さ過ぎる。
「アンタらは猿ですか?」と問い詰めたくなる。
なんかオチに詰まった映画って、唐突に音楽が鳴り、脈絡の無いラブシーンに突入したりするけれど、それと同じニオイを感じた。



てな訳でメガヒヨの趣味には合わない作品だった。
十数年前、ななめ読みして読むのをやめた勘は正しかった。
正直、人の趣向なんて長いことかかっても変わることはない。
この度はワタナベを松ケンに変換したからこそ、上下巻を読破することが出来たのかも知れない。

小説としてはあまり好きでは無いけれど、出てくるシーンの映像化には興味がある。
特に前述のキュウリのシーン、日本縦断放浪の旅などはまるで松ケンのために書かれた様にも感じる。

映画の脚本は小説とはまた違うとの話を聞いた。
それも含めて公開を楽しみにしている。



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