メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY2017 その3《Charlie & The Chocolate Factory編》

2017年07月26日 | NEWYORK

あのロアルド・ダールの有名な児童小説「チャーリーとチョコレート工場」のミュージカル化作品。
同作品の1971年の映画版からいくつか楽曲を受け継いでいる。

4月29日土曜日20:00 LUNT-FONTANNE THEATRE
オーケストラG10 (上手端から4つ目)
レギュラープライス $120.00(事前にチケットマスターで購入。手数料別)

ほぼ発売直後に購入したチケット。
通常前方オーケストラの席は端でも150ドルくらいはするけれど、家族向け作品ということで比較的優しめのお値段120ドル。

Willy Wonka…Christian Borle
Charie Bucket…Jake Ryan Flynn
Granpa Joe…John Rubinstein

Mrs.Gloop…Kathy Fitzgerald
Mrs.Teavee…Jackie Hoffman

あらすじ

母と寝たきりの祖父母4人と暮らすチャーリー・バケットは貧しいながらも明るい少年。
チョコレートが大好きで近所の菓子屋に買い物せずに入り浸り、店主ともおなじみの仲。

ある日憧れのウィリー・ウォンカがくじに当たった5人の子どもを自分の工場に招待すると知り、心ときめかす。
もうすぐ誕生日なので年に一度だけウォンカのチョコレートを手に入れられるのだ。
待ちに待った誕生日。期待に胸を膨らませてチョコレートの包装紙をはがすが、残念ながらくじは外れだった。
その一方、世界のあちこちでどんどん当選者が発表になり、チャーリーはやきもきする。

そんな彼に心を痛めたジョーおじいちゃんが渡してくれたなけなしのお金で買ったチョコレートもやっぱり外れ。
ある日入り浸っていた菓子屋が閉店することになり、チャーリーは後片付けを手伝う。
その目の前には店主の忘れものである1ドル紙幣が。
店主を呼び留めようとしたけれど、彼はそのまま立ち去ってしまった。ためらいつつチャーリーはそのお金でチョコレートを買う。
なんとその包装紙の内側からは、まばゆいばかりに輝くゴールデン・チケットが出てきた。ついに彼も手に入れた。

家に戻り当選を家族に告げると、寝たきりだったジョーおじいちゃんは元気に歩けるほど回復してしまう。
一張羅に着替えて、チョコレート工場見学にチャーリーの付き添いとして参加することに。

当日は世界から集まった個性豊かな子供とその親が工場に集結。
いよいよ秘密のヴェールに包まれた工場の中が明らかになるのだった。

もともとティム・バートン監督の2006年版の映画の大ファンのメガヒヨ。
2013年のロンドンでの舞台化の話を聞いた際には、あの映画の印象が強すぎてそれほど興味を惹かれなかった。

今回のBroadway版を観ようと思ったのは何と言ってもキャスティング!
Christian Borleのウォンカ役だなんて聞いただけでわくわくするし、脇を固める女優陣も芸達者ばかり。
The Producersで存在感ある舞台照明家を演じたKathy Fitzgeraldさんはドイツの太っちょオーガスタスのお母さん役。
Hair Sprayで主人公の親友の厳しいママ役だったJackie HoffmanさんはTVオタクなマイクのお母さん。
さらに同じくThe Producersでホールドミータッチミーで強烈な印象を残したMadeleine Dohertyさんはジョージナおばあちゃん役。
Madeleineさんは役ほどお年を召していないはずだけど、老女を演じたらBroadwayでは無双だよね。

そんなで代役登板の可能性が少ないとされる土曜ソワレ枠にはこのショーを当て込んだよ。
結果としてお気に入りの役者さんを全員観られて良かった!!

Christian Borle氏は今回も期待を裏切らなかった。
前回拝見したのは『Something Rotten!』のシェイクスピア役。今回は色男ぶりを封印して、頭が禿げかかった初老のチョコレート工場主を演じる。
Christianご本人も頭を剃っての役への入れ込み。

粛々と、感情を表に出さずに工場ツアーを進めていく様はまさに原作通り。
最後になってチャーリーに心情を明かし「一緒にチョコレートを作ろう」と微笑みあうのだが、それまでの無表情から一転してメリハリがあって良かった。

他に印象強かったのが、2006年版の映画と違ってチャーリーとジョーおじいちゃんが多少強気なキャラで描かれているところ。
あらすじでも触れたけど、チャーリーは買い物をしないのにお菓子屋さん(店主の正体はウォンカ氏)に入り浸ってるし、
ジョーおじいちゃんに至っては終盤でウォンカ氏と賞品についてもめてファイティングポーズを取ってるし!!
(演じるはPippinオリジナルのタイトルロールであるJohn Rubinsteinさん。最近はピピン父王でリバイバルにご出演されてたね。)

演出の違いとはいえ、やっぱりティム・バートン版の謙虚な彼らの方が好みかな。

だけどこの舞台版では、未来のチョコレート工場を担うにふさわしいチャーリーの可能性についてより多く触れている。
普段口に出来ない分、チョコレートその他お菓子への愛着が強い彼。頭の中で夢のお菓子を創造し、次々と絵に描いている。
作品の大きなモチーフが世代交代なだけに、チャーリーの才能を♪A Letter From Charie Backetにて丁寧に観客に説明したのは良かったと思う。

ところで先述の通りこの作品は2013年にWestEnd版が上演されているのだけど、Broadway版はだいぶ変更があったらしい。
まずWestEnd版ではチャーリーのお父さんは生きているが、Broadway版では故人となっている。これは1971年版映画に従ってかな?
結末も違うとのこと。WestEndではウォンカ氏は工場から旅立つのだが、Broadwayではそのまま残留。
そして一番大きな変更点は、チャーリー以外の4人の子どもたちはWestEndでは子役だったけど、Broadwayでは大人によって演じられている。
前者は未見なので何とも言えないけど、もし日本版が制作されるとしたら子役の人数が少なくて済むBroadway版で上演されるのではないかと思ったり。

ウォンカ氏の工場で次々に退場していく子どもたちを演じた4人の俳優さんたちはとても良かった。
オーガスタス役のF.Michael Haynieさんは役作りをするにあたって、トランプ大統領を意識したんじゃないかな。
なんかじわじわと似ていた。
バイオレット役のTrista Dollisonさんは、♪Queen of Popで元気いっぱい歌って踊りまくっていた。
Popってガムのパチンって音と歌のPopを兼ねているよね。可愛いらしい一方、例の実験途中のガムを噛んでしまったシーンでは半端ない女優根性を見せてくれた。
ベルーカ役のEmma Pfaeffleさんはバレエの名手。もともとイギリス人設定のこの役はバレエのナンバーも有ってかロシア人に変更されている。そしてパパはロシアン・マフィア(笑)
ベルーカ退場のシーンはリスの着ぐるみ達との激しいバレエ。子どもが見るには過激な表現もあるのだけど、大丈夫なのかコレ。
それにしてもTristaさんもEmmaさんも子どもになりきるのが上手い! 実際14歳くらいにしか見えないよ。
スネオ頭なマイク・ティービー役のMichael WartellaさんはBroadway.comのビデオ・ブログに出演中。
この方もいい歳のはずだけど、チャーリーと並ぶとちゃんと子どもに見えるのがすごい。

そうそう。ウンパルンパも忘れちゃいけない。
この舞台では現在の技術で出来る限り最高のウンパルンパが表現出来ていたと思う。
仕掛けはYモバイルの踊るふて猫とほぼ同じく。まさしくアイディアの勝ち!
そりゃあDeep Royさんの映画版ウンパルンパが最高だけど、あれを舞台で再現するのはまず無理だものね。

なんて絶賛べた褒めだけど、残念なこともひとつ。
これは典型的なファミリーミュージカルなので、客層は家族連れが中心。
特にメガヒヨの座ったシートは家族連れ向きのお値段なので、お子さんが数多くいた。
民度はかなり低く、上演中ずーっとお菓子を音を立てて食べ続けていたリアル・オーガスタスなんてのも近くにいてげんなり。
ある程度覚悟して、静かだったらラッキーくらいの気持ちでいると心穏やかに観劇できるかも。

最後にAudiのコマーシャルでもおなじみ、名曲Pure Imaginationの動画を貼っとくね。
このBroadway版では映画と同じく、チョコレートの滝のシーンで歌われるよ。
WestEnd版では終盤のナンバーとのこと。(…そっちの方がいいかも)

変わり種としてトムとジェリーバージョンなんてのも!
1971年版の映画はアメリカではなじみ深い作品なんだね。