メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

ビリーエリオット日本版観てまいりました

2017年07月30日 | 国内エンタメ

この週末、メガヒヨはBILLY ELLIOT THE MUSICALの日本版を観てきた。
日本版は映画版のタイトルにならい、~リトルダンサー~とサブタイトルがついている。

2006年のロンドン版、2010年、2011年のブロードウェイ版を経ての4回目のビリー・エリオット。
(過去の観劇記はこちら。2010年BW版2011年BW版。)

2015年の制作発表の頃から楽しみにしていたこの作品。
正直いうと、数年前は日本においてこの作品の上演は不可能だと思っていた。ビリー役は少なくとも3人は必要だし。
それでもここ最近の舞台で若い才能を数多く見るうちに、ビリー役の少年が複数見つかるのではないかと希望を持ち始めていた。

ホリプロさんが社運を賭けたビッグプロジェクトだけに事前の宣伝は大規模。
数々の動画を見るうちにこれは思っている以上かもと期待がふくらんだ。

そして観劇当日。キャストの方々はこの顔ぶれ。

お父さんには吉田鋼太郎さん。もう立っているだけで炭鉱夫そのもの!!
英語版は北イングランド訛りで上演されたけど、日本語版においては筑豊弁に訳されている。
自分は東北弁かと勝手に予想してたけど、炭鉱の町ってことで筑豊弁は大変はまっており、吉田さんにもぴったりだった。
ただ残念なのは吉田さんの歌い方が非常に個性的であったこと。情感のある語りで涙を誘うんだけど、発する言葉に音符の存在が感じられなかった。

ウイルキンソン先生には島田歌穂さん。
本当に完璧なウイルキンソン先生だった!!
歌とダンスは申し分なく、ビリーに対する愛情、希望を強く表現し観客であるこちらの心に強く訴えかけてきて。
終盤における距離のとり方も、「現実はそうなんだよね」とじんわりと余韻を残す。
さらにメイクや身のこなしなどのキャラ作りに至っても、80年代をそのまま舞台に再現していた。

そうそう。歌穂さんといえばバレリーナ星からやってきたロビンちゃん。
「がんばれロボコン」を彼女見たさに見ていたメガヒヨは昭和の子ども。
憧れのロビンちゃんから〇〇年、カーテンコールでのチュチュ姿を拝見できて嬉しかった!!

主役のビリーの未来和樹くんは綺麗な声の持ち主。
11,2歳くらいかなと思ったらなんと中学三年生とのこと! というか公演までに声変わりしないで良かったね。
オーディションもトレーニングも本当に大変だったと思うから。

ちなみにレミゼのガブローシュは身長140センチまで、ビリーが147センチまでというから、男の子の子役にとってゴールであり最大の役がこの役なんだね。

マイケルは山口れんくん。
この子も芸達者で、セリフの間がすごく上手い。
♪Expressing Yourselfはショーストップになった。まだ小学5年生というから、この先が楽しみ!

おばあちゃんの根岸季衣さんも良かった。認知症の演技が一転、♪Granma's Songで綺麗な身のこなしに変わるところなんて、こちらの目頭が熱くなった。

それとピアノ伴奏者のブレイスウエスト役の森山大輔さんも印象に残った。
2006年のときはこの役を日本で演じられる役者さんがぱっと頭に思い浮かばなかったので。
日本の役者層もひと昔前より厚くなって嬉しい。

 

それにしてもタイムリーな上演だと思う。
日本もイギリス並みではないけれど、格差社会といわれるようになって。
さらにウイルキンソン先生のように没落する中流も他人事ではないし。

でもどんな世でも突然として飛びぬけた才能が生まれることがある。
それを活かすも殺すも周囲の大人次第。

この作品の訳詞家である高橋亜子先生のツイートによると、ビリーが口にした「電気」とは石炭をエネルギーとしたものとのこと。
自分は今まで体を走る衝動とかそんな意味にしか取っていなかったので、聞いて目から鱗が落ちる思いだった。
石炭とはお父さん、ウイルキンソン先生、その他応援してくれた故郷の人達そのもの。
それらを前提とした「電気」なので、「火花」のように詩的な他の候補の言葉は無しになったとの話だった。

日本語に訳するのも多大な労力が掛かるだろうし、原詩の意味をすべて伝えられないことばかりだと思う。
だけど母国語に訳されてやっと初めて作品の核心に触れられることもあるし、今後も良い作品を良い形で上演し続けていただきたい。

ところで7月末現在、8月9月分のチケットはまだまだ残っている模様。
劇場でもリターナーチケットとして1000円引きで販売されていた。日によっては見やすい席も残っているみたい。
良い作品なので空席は勿体ないし今後の再演につなげるためにも、興味をお持ちの方はぜひアクトシアターに足を運んでもらいたいと思うのであった。


ロビーを彩るお花の数々。日本の劇場はこれを眺めるのも楽しみの一つだね。