『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『NINE』を観た]

2010-03-19 12:34:45 | 物語の感想
☆何の予備知識もなく、何か絢爛豪華なイメージだったので、楽しみにして映画館に向かった。

 粋なプレイボーイの映画監督の、これまでの女性遍歴と、現在の女性関係・映画監督としての行き詰まりの物語で、

 はじまってすぐに、「ああ、これはフェリーニ監督の物語か・・・」と合点がいく。

 タイトルの『NINE』は、つまり、フェリーニの『8 1/2』の次という意味なのだと・・・。

   ◇

 すぐに、そのテーマに行きついたので、そもそもがストーリーには整合性が感じられないとされるジャンル・ミュージカルだが、この作品の見方が分かり、楽しめた。

 私は、この「無意識なエゴイスト」であるグイド・コンティー二(ダニエル・デイ=ルイス)監督の伊達男(ダメ男)振りに憧れを感じた。

 可愛い奥さんがいるのに、愛人とは懇ろになる。

 思い出の中では、ソフィア・ローレン演じるお母さんに頼り、

 少年時にして、浜辺の魔女(ファーギー)の危うさに心を奪われている。

 浜辺の魔女のアピールに、どう対応していいか分からないグイド少年が笑うしかなく、でも、その「女」にどうしようもなく惹かれている描写がいい。

 また、愛人(ペネロペ)の女性本位の押しかけの身勝手さと、グイドの女性への思いやりのない無頓着さのぶつかり合い、

 奥さん(マリオン・コティヤール)の真摯な言葉が、グイドへ全く届いていない「次元の違い」、よく描けた脚本だ。

 また、グイドと絡む女たちは同じ個性がなく、それぞれが、グイドに違う女の一面を見せてくれ、

 次作として企画していた女優(二コール・キッドマン)などは、大人のたしなみで、寂しさから言い寄っていたグイドに一線をおく。

 つまり、グイドは振られる。

 しかし、それさえも、グイドの人生の彩りに過ぎない。

 今でこそスランプのグイドだが、その初期の作は、イタリアの文化を牽引するパワーがあり、

 ファッション誌「ヴォーグ」の記者(ケイト・ハドソン)にはホテルの鍵を手渡されたりする。

 とにかく、黒いスーツにサングラスが、細身の体にソフトにフィットしていて、グイドは格好いい。

 クライマックスでいっちょ前に苦悩するのも似合っている。

 そして、心のつながりを持っているメイク・ファッション担当(ジュディ・リンチ)に安心感を与えられる設定も良い。

 ・・・女ってのは、若くても老いても、総じて素晴らしい^^

   ◇

 各エピソードでのダンスにも力が入っていて、私は特に、浜辺の魔女の、白昼での妖艶な踊りと、ケイト・ハドソンのスピーディーな踊りに魅了された。

 モノクロとカラー映像の切り替えも心地よい。

 イタリアの風景もうまく切り取っていて、フェリーニ的な夜の石畳の幻想的な撮り方も良かった。

 ・・・ゴージャスな映画を楽しませて頂きました^^

                                         (2010/03/19)