☆気軽に楽しめるコメディ作品だと思っていたら、それ以上に痛快なファンタジー・アドヴェンチャーだった。
「痛快」と言うよりは、爽快かな?
南の海の広さが、物語の冒頭で、架空の物語の「アラビアの冒険」から連想された『アラビアのロレンス』の雄大な砂漠を連想させて、なかなか深みが感じられた。
それは、見てるこちらの思い入れか、と思いきや、「…ロレンス」風の旋律が流れていたので、もしかして、計算づくだったのかも知れない。
・・・突き抜けた青い海、蒼い空が心地良かった。
◇ ◇
主人公二ムは、学者のお父さんと、南の島の火山島に住んでいる。
自然を満喫しつつも、文明の利器の取り寄せも行なっていて、ネット環境なども充実している。
二ムのお気に入りは、冒険作家アレックスの作品だ。
・・・所変わって、サンフランシスコ。
その冒険作家は、作品の内容とは裏腹に、外出恐怖症の潔癖症の女だった。
冒険の舞台の火山を調べるため、二ムの父親にメールを出す。
・・・時を同じくして、ある日、ヨットで外洋に出た父親が嵐に巻き込まれて、消息を絶つ。
二ムは、冒険作家アレックスに助けを求める。
情緒不安定の作家アレックスは、自分の作り出した幻影の冒険家アレックスの励ましを受けて、シスコから、南の島に旅立つのだ。
◇ ◇
物語は、多くのご都合主義に彩られるが、安易に「ご都合主義」とは言えない物語的な技巧が施されていて、私は、観終えて非常に満足した。
◇ ◇
先ず、二ム(アビゲイル・ブレスリン)について語りたい。
美少女好きの私だが、何故か、この子には萌えなかった。
何でだろ?
と、考えたのだが、この子の顔が「可愛い男の子」のような顔だからだと思う。
『テラビシアにかける橋』のボーイッシュな娘とは、その萌え度では、似て非なる女の子であった。
ロッククライミングを何気なくこなしたり、木々の間に張りめぐらしたロープに滑車をつけて滑空する様は良かった。
ただ、この子が、最初、アレックスを拒否するその情動が、ちょっと理解できなかった。
南の島で外界から遮断されて育った子供の気持ちが、私には想像できず、共感できなかったのだ。
◇ ◇
この作品は、売り方を間違えているかも知れない。
二ムのパートの話としては、堂々の児童文学的な話である。
しかし、この物語の宣伝は、神経症の冒険作家を演じるジョディ・フォスターが、南の島へ旅立つにあたってのコメディ要素ばかりをクローズアップしていた。
確かに、ジョディのパートは、過剰だが、リアルな演技もうまいので見せてくれるし、大笑いした。
だが、それでは、二ム・パートで引きつけられそうな子供の客層を遠ざけてしまったのではなかろうか?
◇ ◇
私は、15年ほど前、フィジーを一ヶ月間旅し、島々を小さな飛行機で飛び交ったり、ボートで渡った経験があり、ジョディの、二ムの島までの道行きが実に懐かしかった。
付き添う幻影の冒険野郎が、外界にショックを受け続ける<引き篭もりの冒険作家>に「なるようになるよ^^」とか励ますのがいいね^^
◇ ◇
遭難した父親のパートも、鮫や、破損したヨット本体など、あまり効果なくサスペンス要素を盛り上げていたけど、
その親父の、不屈の精神力と言うよりも「能天気さ」で楽しんだ^^;
◇ ◇
なんか、あまりパッとしないなと思い、観るのをやめている映画ファンは、是非、観ることをお薦めします^^v
南の海が、いい意味で、狭く感じられるぞ!(身近に感じられるってこと^^;)
(2008/09/12)