☆本日公開作の、本来の時代からズレた「侍」をフィーチャーした2作品を観てきましたよ。
いやはや、どちらも面白かった。
とりあえず、夜の仕事を終えて帰宅してから感想を書きますな^^
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『許されざる者』
イーストウッド作の邦画リメイクである。
オリジナルは、私が大学生の頃に公開された(私は、海外に長期 行くので大学を休学したりしたので、在籍期間が長い)。
で、この作品を巡って、「ホモの教授」と一悶着あったので、記憶に残っているのだ^^(←これについては、そのうち語る)
さて、邦画版「許されざる者」、実にオリジナルに忠実で、もちろん、その流れをなぞるだけでなく、
そのエッセンスを理解し、忠実に再現していた。
一言で言うと、それは「無骨さ」である。
渡辺謙演じる十兵衛の演技・・・、そして、作り手の、そこにリアルさを求める演出姿勢・・・、私は感動したし面白かった。
十兵衛が、どうにも強い決断のはずなのに、家族の困窮の中で再び「人斬り」に戻る・・・、その旅立ちの時の乗馬の無様さ・・・、いざ現場についてから風邪に掛かる間の悪さ…、すぐに街を牛耳る男に見つかり制裁され、殺されもしない格好悪さ…、的を一人殺すにも手こずる有り様・・・、・・・。
全て、格好良さとは無縁の、定型外しの現実の「格好良さ」・・・。
それが、舞台は北海道とは言え、どこかなじみ深い日本の植生の中で語られるのだから、溜まらない。
全然 ベクトルは違うが、「るろうに剣心」と言い、この時代は、まだまだ混沌としていて、多くの「物語」が紡がれる余地があるなぁ。
そもそもの仇討の原因に、女郎のなつめ(忽那汐里)が客に顔を切り刻まれるという事件があり、事件は凄惨を極めるのだが、
傷口がふさがったなつめが、それでも可愛らしく美しいのがなんともはや・・・^^;
でも、この子、目鼻立ちがくっきりしているので、いつも、渡辺謙についても思っていたのだが、たかもちげんの描く人物みたいなんだよなぁ^^
・・・絶妙の画像がなくてすいません^^;
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『ウルヴァリン SAMURAI』
これも良かった。
日本を舞台にしたちょいと挨拶程度の日本の文化描写と思っていたら、
全編、これ、往年の「日本文化勘違い描写」をあえてやっている素晴らしい作品であった。
「ツッコミ入れてください^^」ってわけでもなく、かなりのアクション描写で、そんなツッコミをものともしない作品に仕上がっていた。
ちなみに、私は、『X-メン』シリーズを無条件に好きな訳ではない、『ウルヴァリン:ゼロ』には面白みを感じなかった。
そもそもが、ウルヴァリンの日本への招聘が、日本のトップ企業の社長からのものだったので、そのセレブな世界は異質なのだが、吹替え版で観たがゆえに、「日本人を日本語吹き替えで観る」と言う、作り手の予期せぬ幻惑もあり、ウルヴァリンの異世界(日本)での活躍が、私にとっても異世界体験(不思議な国のアリス)を醸す。
なんか、敵味方の構造も不鮮明で、こちらは異国での不安定感を余儀なく体感させられるのだ。
個人的に笑ったのが、風来坊な生活をしていたウルヴァリンが、日本に連れてこられ、その不潔さを指摘され、風呂に入れられるシーンだ。
広い部屋の中央に檜の風呂が設えられ、二人の女中さんにモップで体を洗われ、「よせ! やめろ!」とか言って暴れるウルヴァリン^^
物語は長崎に落とされた原爆のシーンから始まるのだが、「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」の冒頭と同じく、その放射能被害が軽く扱われている。
と、思ったものだが、私は最近、放射線の影響を学んでいくにつけ、満更、これらの描写が過小評価ではないこともわかってきた。
核爆発で一番に恐ろしいのは、被爆であるからだ(被曝ではない)。
それを避ければ、先ず、第一の被害は避けられる。
アメリカ人は、核を日本に落とした悔恨を生涯抱えつつ、それを恐怖し、けれど、その影響をわりと冷静に知っている気配がある。
しかし、この作品、長崎の原爆を他人ごとに描きやがっているな!
この作品、あまり他のミュータントが出てこないのが好感だ。
少ないミュータントも、仲間の人間に倒されたり、ウルヴァリンはヤクザに苦しめられる。
この作品でのヤクザの強さはハンパない^^;
走る新幹線の上で、ウルヴァリン相手に対等に戦うのである。
凄い戦闘力である。
しかも、公衆の面前で、半裸になり、彼らは、自分の全身タトゥーを誇示したがる。
おそらく、築地本願寺(かな?)でのセレブの葬式で、マスコミが大挙として押し寄せてきているにもかかわらず、全身タトゥー開示^^;
バレるべ?
ちなみに忍者は冴えない、忍んでいるのか?
これらの東京でのアクションは、見知った土地であるので、連続するシーンの町々の移動が飛び飛びなので面白い^^
「おいおい、いつの間にやら上野かよ!」とか!
さて、ウルヴァリンを東京に誘う謎の女ユキオ(福島リラ)、この作品は、このいかにも裏切りそうなキャラが、最後まで信じられる仲間として存在していたのが、「信用できる物語」として成立した要因だと思う。
最近の作品は、仲間と思っていた人物がクライマックスで裏切り、見ているこちらの気持ちを解せなくさせる、作り手の自己満作品が多いからなぁ^^;
でも、福島リラは、演技は上手いが私の好みではないな。
ただ、ウルヴァリンの能力が、メカ寄生虫で無効化されるご都合展開はやだった。
が、ラスボスとの戦いの中で、ウルヴァリンの爪が断ち切られるのは、こちらをヒヤヒヤさせてくれた。
エンドロールの途中で、シリーズ次作への引きとして、マグニートが登場するのだが、私は、マグニートが好きなので、次作が待ち遠しくてしょうがないぜ!!
(2013/09/13)