☆原作が「グラフィック・ノベル」と聞き、本来はそういう意味でないのは分かっているのだけど、「グラフィック・ノベル」と言う分野を有名にした『ウォッチメン』のようなタイプの物語を想像していた。
主演の、「美しさ」の一つの完成型とも言えるケイト・ベッキンセール演じるところの主役が、南極の地下から発見されたUFOに乗っていたエイリアンと戦う・・・、予告編からはそんな印象を受けた。
でも、いざ、観始めて、そのような予想はすぐに霧消した。
この作品は、美女を主役にした探偵物であった。
しかも、南極大陸を舞台にした「密室」物であった。
登場人物の多くは、南極の自然から地球科学を解明しようとする「草食系」の研究者ばかりだ。
森博嗣の理系ミステリーの清潔感があり、映像作品としては新鮮であった。
そんな大陸の僻地の雪原に、忽然と死体が出現する。
シュールである。
その捜査を、連邦捜査官キャリー・ステッコが担当する。
超然とした南極に、下世話な人間の感情の帰結としての死体が転がり、そこにFBIの女性捜査官が立ち向かう。
ミスマッチの妙がある。
◇
冒頭で、ケイト・ベッキンセールはシャワーシーンを披露し、見たこともない美しいボディラインで魅せる。
あの腰のくびれ!
アーンド、胸とお尻のボリューム!
しかし、その後の展開では、彼女は防寒着に包まれっぱなしである。
そのほうが、推理展開に集中できるのでいいが、
でも、その顔だけでも魅力的で、なおかつ、その表情の変化にも魅了されて、私はもう、何がなにやら^^;
◇
惜しむらくは、「推理展開」と記したが、その推理が、段階を踏んだ、観ている私たちと歩調を合わせたものではなく、キャリーの想像で展開されているのが痛い。
その想像には証拠はない、だが、キャリー視点だけではなく、物語の過去から観ている我々は、キャリーの想像が正しいことを知っている。
だが、私たちは、何でキャリーはそこまで言い当てられるんだ? と、やや疑問に感じてしまうのだ。
でも、私が違和感を感じなかった『ダヴィンチコード』や『天使と悪魔』の展開に、原作を読んでいる方々は教授の推理に違和感を感じたと言うし、
原作を読んでいる「こだわり」がそう感じさせたのだろうし、
ケイト・ベッキンセールの美しさに「こだわっ」ている私の目でも、キャリーの推理に、違和感が起こったのかも知れない。
あるいは、私の、美人に厳しい視点がそう思わせているのか^^;
◇
キャリーが、何故に南極くんだりの担当になったかには理由があり、
過去に、相棒に裏切られた経験があるからなのだが、
当初は、いちいち「過去のトラウマに悩まされるヒロイン」と言う設定の回想が見ていてやや面倒であった。
だが、その回想はスピーディで、物語のどんでん返しに絡む小テーマを内包してもいたので良かった。
この回想があったから、私は、途中から仲間になる捜査官が敵なのか味方なのかとヒヤヒヤさせられた。
回想シーンは、短いシークエンスなのに、粗もなかった。
◇
あまりアクション的に派手さはなかったが、これまで見たこともないアクションシーンが多数見られた。
とにかく、外は極寒であり、強風の中にある。
屋内で、ふいにピッケルを振りかざす殺人鬼に出くわし、狭い研究施設を逃げ惑い、厳重な二重ドアを開けつつ、外に逃げる。
外には、各研究棟を結ぶロープが渡してあり、強風で飛ばされないように、体に結んでいたフックを引っ掛けて、ロープを滑らせて移動する。
しかし、ロープでそのまま各棟をつなげただけでは、ロープは地面を這うだけになってしまう。
故に、幾つかの杭の上を渡す。
つまり、フックは、その杭の箇所では、引っ掛け直さなくてはならない。
殺人鬼に追っかけられている時は、その一手間がサスペンスを生む^^
また、雪中の貨物機に取り残されてしまったキャリーらの、脱出方法も良かった。
そして、クライマックスの「ホワイトアウト」の中での格闘も良かった。
暴風が重力となり、まさに崖から垂れ下がった一本綱での犯人との対決であった。
ただ、ここのシーン、「ホワイトアウト」の中での戦いなので、いまいち、構図が分かり難く、あまりカタルシスが得られなかった。
・・・しかし、エピローグの、オーロラを見つめるキャリーは美しかった・・・。
(2009/10/31)
主演の、「美しさ」の一つの完成型とも言えるケイト・ベッキンセール演じるところの主役が、南極の地下から発見されたUFOに乗っていたエイリアンと戦う・・・、予告編からはそんな印象を受けた。
でも、いざ、観始めて、そのような予想はすぐに霧消した。
この作品は、美女を主役にした探偵物であった。
しかも、南極大陸を舞台にした「密室」物であった。
登場人物の多くは、南極の自然から地球科学を解明しようとする「草食系」の研究者ばかりだ。
森博嗣の理系ミステリーの清潔感があり、映像作品としては新鮮であった。
そんな大陸の僻地の雪原に、忽然と死体が出現する。
シュールである。
その捜査を、連邦捜査官キャリー・ステッコが担当する。
超然とした南極に、下世話な人間の感情の帰結としての死体が転がり、そこにFBIの女性捜査官が立ち向かう。
ミスマッチの妙がある。
◇
冒頭で、ケイト・ベッキンセールはシャワーシーンを披露し、見たこともない美しいボディラインで魅せる。
あの腰のくびれ!
アーンド、胸とお尻のボリューム!
しかし、その後の展開では、彼女は防寒着に包まれっぱなしである。
そのほうが、推理展開に集中できるのでいいが、
でも、その顔だけでも魅力的で、なおかつ、その表情の変化にも魅了されて、私はもう、何がなにやら^^;
◇
惜しむらくは、「推理展開」と記したが、その推理が、段階を踏んだ、観ている私たちと歩調を合わせたものではなく、キャリーの想像で展開されているのが痛い。
その想像には証拠はない、だが、キャリー視点だけではなく、物語の過去から観ている我々は、キャリーの想像が正しいことを知っている。
だが、私たちは、何でキャリーはそこまで言い当てられるんだ? と、やや疑問に感じてしまうのだ。
でも、私が違和感を感じなかった『ダヴィンチコード』や『天使と悪魔』の展開に、原作を読んでいる方々は教授の推理に違和感を感じたと言うし、
原作を読んでいる「こだわり」がそう感じさせたのだろうし、
ケイト・ベッキンセールの美しさに「こだわっ」ている私の目でも、キャリーの推理に、違和感が起こったのかも知れない。
あるいは、私の、美人に厳しい視点がそう思わせているのか^^;
◇
キャリーが、何故に南極くんだりの担当になったかには理由があり、
過去に、相棒に裏切られた経験があるからなのだが、
当初は、いちいち「過去のトラウマに悩まされるヒロイン」と言う設定の回想が見ていてやや面倒であった。
だが、その回想はスピーディで、物語のどんでん返しに絡む小テーマを内包してもいたので良かった。
この回想があったから、私は、途中から仲間になる捜査官が敵なのか味方なのかとヒヤヒヤさせられた。
回想シーンは、短いシークエンスなのに、粗もなかった。
◇
あまりアクション的に派手さはなかったが、これまで見たこともないアクションシーンが多数見られた。
とにかく、外は極寒であり、強風の中にある。
屋内で、ふいにピッケルを振りかざす殺人鬼に出くわし、狭い研究施設を逃げ惑い、厳重な二重ドアを開けつつ、外に逃げる。
外には、各研究棟を結ぶロープが渡してあり、強風で飛ばされないように、体に結んでいたフックを引っ掛けて、ロープを滑らせて移動する。
しかし、ロープでそのまま各棟をつなげただけでは、ロープは地面を這うだけになってしまう。
故に、幾つかの杭の上を渡す。
つまり、フックは、その杭の箇所では、引っ掛け直さなくてはならない。
殺人鬼に追っかけられている時は、その一手間がサスペンスを生む^^
また、雪中の貨物機に取り残されてしまったキャリーらの、脱出方法も良かった。
そして、クライマックスの「ホワイトアウト」の中での格闘も良かった。
暴風が重力となり、まさに崖から垂れ下がった一本綱での犯人との対決であった。
ただ、ここのシーン、「ホワイトアウト」の中での戦いなので、いまいち、構図が分かり難く、あまりカタルシスが得られなかった。
・・・しかし、エピローグの、オーロラを見つめるキャリーは美しかった・・・。
(2009/10/31)