『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[映画『キングダム 見えざる敵』を観た]

2007-10-27 23:39:46 | 物語の感想
▼公開からかなりの時間が経ってしまったが、遅ればせながら、『キングダム 見えざる敵』を、いつものMOVIX昭島に観に行った。

舞台はサウジアラビアで、物語は、その外国人居住区での、排外的なテロリストの自爆テロに始まる。

冒頭は、タイトルバックとともに、サウジの歴史がスタイリッシュに語られる。

それは、石油を介した親米的な王室と、それを良からぬと考える、元は王族を支持していたイスラム教ワッハーブ派のテロの歴史でもあった。

完全に警備されたサウジの外国人居住区・・・。

そこで、警察に扮したテロリストの無差別乱射事件が起こる。

休日で、ソフトボールを楽しんでいたアメリカ系石油会社の従業員たちと、応援していた家族達は逃げ惑う。

銃撃は女子供かまわずに続けられる。

警察が、逃げ惑う人々を誘導する。

みんな、安心し、集まる。

その中心で、みんなを集めた警察官がコーランを唱え、スイッチを押す。

体に爆薬を仕込んでいたのだ。

バラバラと死ぬ人々・・・・。

現場ではFBI捜査官が、アメリカにいるFBI捜査官のリーダーである主人公に電話する。

   「酷い状況で、女も子供も殺されている・・・」

しかし、そんな風に、捜査官や救助の救急隊員が集まってきたのを見計らって、そこに駐車されていた車のプラスチック爆弾が爆発した。

半径数100メートルが焦土と化した。

▼尋常ならざる自体に、FBI捜査官リーダー・フルーリーは、サウジの現地での調査を思い立つ。

しかし、アメリカ政府は、テロリストやサウジ王室を刺激することを恐れ、許可しない。

フルーリーは、サウジ大使を脅し、アメリカ政府の認可なしに、精鋭の仲間とともにサウジに渡航するのだった。

ここで面白いのが、フルーリーは、サウジ大使をこう脅すのだ。

「お前の一族が、テロリストに資金源を送っているのを知っているのだぞ!」

・・・つまり、この物語は、テロリストを生み出すシステムは、もはや、存在やむなしと考えていて、

ただ、今回の爆弾テロを起こした組織の検挙を目的としているのだ。

▼サウジに渡るのは、たった4人の仲間・・・。

それで、一つの国の国家的な事件を解決できると思うのが、私には信じられず、どうやって解決するのか、俄然、興味が引かれた。

しかし、サウジに入っても、現地のイスラムルールに縛り付けられ、思うような捜査ができない。

現地の警察の大佐も、客人を思うように案内できないもどかしさを感じているようだ。

フルーリーは、能天気に君臨する王子の一人に取り入ることによって、捜査の自由を得た。

そして、同じく自由を得た大佐と、フレキシブルな捜査をしていく。

カチコチに見えた大佐が、子供の頃、『超人ハルク』を見て、正義に目覚めた、と告白し、フルーリーと友情を育んでいくところなども良かった。

アメリカから共に来た捜査官も、それぞれの専門分野、情報分析、法医学、爆発物調査で、犯人特定に進んでいく。

どう考えても、膨大な、異国の未知の情報の中から、犯人を特定していくのは不可能に見えたのだが、淡々と専門のできることを突き詰めていくと、光明が差し込んでくることを教わりました^^

クライマックスは凄まじい臨場感だった。

   ハイウェイの爆発→カーチェイス→市街戦→屋内戦

そのリアリティに、私は興奮しきりだった。

その果てに、フルーリーと大佐は、テロの首謀者と対峙する・・・。

首謀者を特定する「証拠」の出し方も実にうまかった・・・。

いい、脚本である。

▼テロの首謀者は、撃たれ、死ぬ間際に孫娘に耳打ちする・・・。

そして、爆弾テロで仲間が死んで落ち込んだメンバーにフルーリーも耳打ちしていた。

お互いが言った内容は、

        「皆殺しにしてやる」

だった・・・。

戦いの連鎖は、けしてなくならず、なくならないのが、人の歴史である・・・。

PS.先週見た『グッド・シェパード』のCIAに続いて、今日は、FBIを堪能しました^^

                         (2007/10/27)
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[映画『グッド・シェパード』を観た]

2007-10-20 18:36:11 | 物語の感想
▼最近、暇も、金も、そして、近場に混まない映画館もあるものだから、何の予備知識もなく映画を観に行く。

ロバート・デ・ニーロ監督作の『グッド・シェパード』だ。

デ・ニーロは、私くらいの年齢だと、なんともカリスマを感じる役者なのだが、最近は、どうも活躍がおとなしい。

チケットを買って、すんなりと、いつものMOVIX昭島の館内へ。

開館二十周年記念だそうで、本日は1000円均一でした。

     #     #     #     #

とても、傑作でした。

これは、「完成度の高いコッポラ作品だ!」と私は思った。

物語は、1961年の、CIAによるキューバのカストロ政権転覆を狙った上陸作戦が失敗に終わり、その、どうやらCIA内部の情報漏れと思われる事件を調査するCIA創成期からのリーダーの物語。

それと平行して、そのリーダー、エドワードが、第二次大戦前夜から、CIAを形成していく過程が、その人生とともに語られる。

その、過去と現在の交差が、コッポラの『ゴッド・ファーザー PARTⅡ』以上に見事に語られるのだ。

コッポラは、「イタリア移民」の歴史をイタリアンマフィアの台頭を描く中で語ろうとした訳ですが(スタローンの『ロッキー』にも、その傾向が見える)、
今回、デ・ニーロは、「多民族国家アメリカ」が世界で生き抜くための歴史を、国外諜報機関CIAを描いていく中で描こうとしており、それが見事に成功している。

有名な、イェール大学の学内エリート組織「スカル&ボーンズ」と言う、歴史のない国アメリカが産んだ必死の伝統秘密組織なども詳しく描かれる。

また、コッポラ作品では、組織(ファミリー)とともに、家族・一族(ファミリー)が詳細に描かれ、その代表としてパーティーシーンがあるが、
この作品でも、繰り返し、組織のパーティーシーンが描かれる。

その和気あいあいの様は、一族のつながりを見る者に植えつけるのだ。

最初は打算的に見えたエドワードの妻となるマーガレットも、いつしか貞淑な妻となり、そして、CIA組織に染まっていくエドワードに絶望していくのだった。

しかし、マーガレットを演じるアンジェリーナ・ジョリーが、こんなにも美しいとは思わなかった。

こりゃ、全盛期のナスターシャ・キンスキーに勝るとも劣らない・・・。

・・・コッポラ作品には、常に破綻がつきものだった。

しかし、このデ・ニーロ作品はそつがない。

多くの事象を扱いながら、それぞれに物足りなさが起こらない。

CIA・FBI・KGB・英国諜報部・KGB寝返り組・キューバが入り乱れるのだが、それらが、無駄なく物語を形成していく。

それは、伏線の回収的な流れではなく、見事に国際諜報戦の丁々発止になっている。

しかも、物語には、キューバ上陸作戦の失敗と言う大きな問題がある。

それは、身内の情報漏えいによるものなのだ。

その謎が、物語全篇を覆ってもいる。

国際的な諜報戦の最先端には、個人対個人の「愛」がちゃんと存在し、それらが、システムの暴走の歯止めになっている展開に感動した。

(おまけ一言)
 ジョン・タトゥーロ、いい味出してました^^
 それから、コッポラは、この作品の製作総指揮をやってますね。

                          (2007/10/20)
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[映画『パンズ・ラビリンス』を観る (美少女は人類の宝)]

2007-10-04 01:16:10 | 物語の感想
▼やあ、ミド蘭だよ。

今宵は、久々に美少女を堪能したので、いい酒飲んでるよ。

いや、何の予備知識もなしに、とある娘と急遽映画を観に行くことになり、パッパッと決めたのが、『パンズ・ラビリンス』でした。

これなら、私も女の子も楽しめると思ったのです。

特に、今、名探偵・二階堂蘭子の『悪魔のラビリンス』と言うミステリーを読んでいて、ラビリンスづいていたのだ。

▼あまり派手じゃないファンタジーの小品だと思って見たのだが、異色ではあるが、堂々とした作品なので驚いた。

物語はこんな感じ・・・。

        http://www.movix.jp/schedule/title/T0005271.html

《1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。》

なんと言えばいいのか、このファンタジー色と苛酷な現実のバランスが、大人の目から見ると絶妙なのである。

私は、しかし、現実のパートが苛酷な故に、安易なハッピーエンドは許されないと考えていた。

そしたら、悲しくも見事なエンディングを迎えたので、感心し、感動した。

それについて、これから、見る方もいると思うので、伏せておく^^

▼配給側は、子供に見に来て欲しいようだが、ちょっときついと思う。

フランコ政権に反抗し、ゲリラ戦を挑む舞台となる村の住人を、主人公・オフェリアの義父となる大尉は虫けらのように殺していく。

さながら、『シンドラーのリスト』の収容所の少尉のようにだ。

そのさまが、更にきつい。

森でウサギ狩りをしていた父子に、ゲリラ容疑をかけた大尉は、その荷物に入っていた酒瓶で、息子の頭部を殴る。

ビンは割れる。

その割れた箇所を、息子の顔面にグサグサ刺す。

「あああ、息子が死んでしまったあ」

と嘆く父親の頭部に銃撃を放つ。

息子の方の頭部にも、とどめとばかりに撃つ。

こんなショッキングなシーンが、冒頭からあるのだ。

子供には見せられない。

もちろん、主人公の母娘は、そこまでもの大尉の残虐性を知らない。

だが、オフェリアが母親に、「なんで、また、結婚したの?」と問いかけるのに対し、「一人は寂しいのよ。あなたも大人になったら分かるわよ」と答えたのに際し、私は、「ああ、これは、大人の物語だ」と思ったのだ。

▼・・・とにかく、このオフェリア役のイバナ・バケロの魅力全開であった。

それは、子供が見て共感できる少女の姿ではない。

全世界の大人の男が見て、そそる少女の姿なのである。

はじめは内向的な優等生として現われる。

しかし、無頓着な少女らしく、不気味な虫を屈託なく手にする。

白い肌に、大きな瞳、ややカールのかかったおかっぱ髪・・・。

謎の牧神(パン)と出会い、恐怖を感じるでもなく、怯えつつも対応する。

母親に風呂に入ることを促される。

下着になる。

そのささやかな胸のふくらみ・・・。

西洋美少女の定番「エプロンドレス」に身を包む。

そのお人形さんのような美しさ。

しかし、それを脱ぎ捨て、暗色のワンピース下着で、泥地に入る。

粘液ヌラヌラの巨大カエルとの対決。

泥だらけのエプロンドレスでの帰宅。

母親に風呂に入れられる。

泡だらけのお風呂に入る。

母親の難産を助けるために、マンドラゴラのおまじないを実行する子供っぽさ。

ミルクと、少女の血・・・。

ベッドの下にもぐりこむ時の、太ももの華奢なこと!

禁食の間での、子供らしいブドウのつまみ食い。

その目の動き・・・。

禁食の魔人からの必死の逃走・・・。

逃げおおせての息遣い。

・・・こうして挙げていったら、キリがない。

優等生的なオフェリアが、多くの苦難状況に直面しつつも、静かに耐えて、先に進んでいく様は、もう、その筋の者にはたまらないだろう^^;

最後の、大尉に撃たれてからの「力の抜け具合」・・・。

王女復帰時のかかと立ち・・・。

このギレルモ・デル・トロ監督・・・、凄い監督だなあ。

ロリコンとかじゃなくて、「男のたしなみ」として、見事に「少女」を描ききった。

つくづく、少女は「世界遺産」だと思うのだ・・・。

▼連れの娘は言った。

「予想と違った面白さだったね^^」

私は言った。

「ああ、確かに、予想と違った面白さだった^^」

ここでオフェリアの壁紙がもらえますよ。

   http://www.panslabyrinth.jp/
                              (2007/10/09)
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