☆・・・クリント・イーストウッド監督の新作で、最大のヒットを続けている作品だそうだ。
なんとなく、派手なものを想像していたのだが、やっぱり割とクールに、淡々と話が紡がれていた。
良作である。
この作品は、アメリカ国内で、戦争賛美か反戦かで物議を醸しているそうだ。
実際に観てみると、どこをどう見れば「戦争賛美」の作品なんだよ! と戸惑う。...
私には、「表立たない戦争の犠牲者で、それでも戦わなくちゃならない心の強い男の物語」にしか見えない。
イーストウッドが共和党支持者であり、政治家の時期もあったが、その経歴を見れば、ステロタイプのタカ派でないことは瞭然だ。
タカ派が『グラン・トリノ』みたいな作品を撮るかよ^^
「ダーティー・ハリー」から「グラン・トリノ」、「アメリカン・スナイパー」に至るまで、一貫しているのは、共同体(家族・地域・国・・・)に踏み入ってくる悪に対しては戦いを辞さない、ということだ。
この作品の主人公は、アメリカに対してのテロへの怒りがモチベーションになっている。
ちなみに、イーストウッドは、外征戦争には反対している。
(2015/02/24)
私の印象に残ったのは、ラスト一つ前のシーンです。
敵の狙撃手を殺し、軍を辞める事を決意した主人公。しかし主人公の陣取った狙撃地点に押し寄せるテロリスト。なんとか砂嵐に紛れてそこから脱出する際、主人公が車に乗り損ねそうになる。が、なんとか乗車して生還する。しかし、彼は乗車の際に狙撃銃を棄てており、その棄てられた狙撃銃が砂の嵐の中で埋もれていく… という描写でした。それこそ武士道的には、武士の魂を棄てたわけで、ひょっとすると監督は、主人公のこの後を、ここで暗示していたのかもしれません。
イーストウッドは、律儀に、丹念にカットを重ねる作家ですよね。