☆・・・中学生時代、私はアガサ・クリスティの作品を読み漁っていた時期があった。
私がゴシップ好きなのは、アガサ・クリスティ作品の影響が大で、そこから「世の理や理不尽」を見つけようとするのも女史の影響である。
映像化では、アルバート・フィニーが名探偵ポアロを演じた「オリエント急行殺人事件」はかなり鮮明に覚えている。
あれも良かったが、今回のも絢爛豪華で面白く、そして、まさかのホロリ泣き!^^;
煙を黙々とあげながら、深い森や急峻な雪山を切りさいて進むオリエント急行のゴージャスさは素晴らしかった。
これまでのアガサ・クリスティ作品へのかかわりが、あまりにも昔過ぎて、かえって、この今作には客観的に接することが出来た。
だから、ポアロの性格の新解釈に、この熱さ・活躍もいいなぁ、と感じた。
昔だったら、原作のポアロと違う! と文句付けたかもしれない^^;
最近、監督としても俳優としても大活躍のケネス・ブラナーだが、私が意識し始めたのは「ヘンリー五世」の頃で、ずっと古典の俳優として見ていて、もはや古典とも言えるアガサ・クリスティ作品にはあっていた。
物語の背景の事件が、リンドバーグの悲劇がモチーフであることも、大人になり過ぎた今の私ならば情報として得ている。
あたかも、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の風景の如く、横長のテーブルの片面に居並んで座った容疑者たちを前に、均衡・均整を是とするポアロが、身体的にも精神的にもバランスを崩しながら謎解きを語る場面には、背景の悲劇がもたらした犯人の苦悩を想い、泣けた。
(2017/12/09)