井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

カラパタールからアイランドピークへ ・ その12

2011-12-11 18:41:05 | エベレスト街道を歩きカラパタールからアイランドピークへ
 11月3日 ハイキャンプ→アイランド・ピーク(6,189m)→ハイキャンプ→BC→チュクン(4,730m)

 今日はいよいよ登頂日です。
出発は、午前3時といわれています。
隣のテントがゴソゴソと起き出したようです。
時計を見るとまだ1時20分くらいです。
もう少し寝ていてもいいかと思い寝袋の中でウトウトしてました。

 午前2時、私は起きましたがガイドはまだ寝ています。
私の気配を察したのかガイドも起きました。
朝食はレトルトを暖めるだけですのでお湯を沸かせば直ぐに食べられます。
慌ただしく朝食を済ませ出発の準備をします。
ザックは昨夜の内に必要なものは全て詰めてあるので、ズボンをフリース付きのものに替えてダウンも着ていきます。
ハーネスも付けることにしました。

 冬用の靴を履きスパッツを付けてテントの外へでると満天の星空が広がっています。
オリオン座の三つ星が明るく輝き、銀河も白く川のように見えます。
隣のテントも用意が出来たようですので声を掛けて、さあ、いよいよ出発です。

 上を見るとすでに数人が登っているようです。

 『ここから降ってくる時に写した写真を登る順番に置き換えてお見せします。』

  
  コース全体を見てください。正面の白く見える沢を登り詰め、
  右手の稜線を登り最奥部の白い部分に向かって登ります。

  
   ハイキャンプに張った私達のテントです。
   5~6mの岩棚の上に張っています。

  
   ハイキャンプから浅い谷を登り岩稜に達したところです。
   私の右耳の直ぐ左手にハイキャンプのテントが見えています。

 ここまで登ってくるのは、真っ暗な中、ヘッドライトを頼りに登りましたが、コースが良く分かりませんでした。
まさに、ガイドがいなければ登れないと感じました。
岩場の上にタルチョンがはためいています。
この先は狭い稜線となっており固定ザイルが張られています。
ここまで約2時間ほどでしょうか。
  
  
 この辺りで、ヘッドライトが消えてしまいます。
電池が消耗してしまったようです。
このようなことがないように新しい電池に入れ替えた来たのですが、百均の電池でしたので餅が悪かったのでしょうか。
予備の電池に換えましたが、それは今まで使っていた電池でしたので、これもそれほど持たなかったのです。
でも、幸いに岩場から雪の上を歩くようになっていましたので前後のライトに助けられ何とか歩くことが出来ました。

   
    眼下にイムジャ湖が見えてきます。

   
    これイムジャ湖の全景です。

   
    この氷河の上を歩くのですが、氷河に踏み跡が付いているので迷う心配はありません。

   
    初めて間近に見る氷河です。綺麗でした。

   
    ナイフリッジから氷河になった部分を写しています。

 この辺りでは、ゆっくる歩いているとそれほど苦しくはないのですが、休むタイミングが分からず苦労しました。
私は、呼吸が苦しくならないように数を2百くらい数えたところで立ち止まり数呼吸入れて歩くのですが、すでに、後ろも詰まっているのでこの休むタイミングが難しいのです。

 前方に稜線に続く壁が見えてきました。
   
 この辺りでやっと明るくなってきました。
ここまで約3時間ほど掛かったでしょうか。
正面やや左手にある溝のようなところに固定ザイルが張られています。
これを登ります。
 
   
    こんな感じでユマールを使って登ります。
   
    登るにしたがって傾斜が増してきますが、それほど大変ではなかったのです。

 しかし、稜線まで6~7mというところにオーバーハング状にえぐれたところがあり、これを越えるのに苦労しました。
正面に向かった状態では登れなかったので、身体を横にして背中と足を利用して登りました。
このほんの数メートルを越えるのに全身の力を振り絞ったせいなのでしょうか、稜線に上がった時に目が白く汚れたように感じました。

 稜線上で息を整えるために横に座り目を拭きましたが、その白く曇ったモノが取れないのです。
ちょっと眩しく薄目にして進みます。
   
    稜線は狭いのですが風がないのでなんとか歩けます。

 しかし、息が荒くなっているので、1,2,3,4と数えながら4で1歩進むような有様です。
そうこうしているとピークが見えてきました。
   
    ここまで来れば、あとは何としても山頂へ行くだけです。

 8時丁度、ハイキャンプから約5時間で山頂に到着です。
感激する間もなく狭い山頂に座り込んで写真を写してもらいます。
次々と登頂者が登ってきます。
直ぐに場所を空けてやらないといけません。
慌ただしい山頂でしたが、天気に恵まれ生涯最高点を極めました。

 下山は慎重におります。
目の調子が悪いのは高度障害だと思っていました。
下山すれば良くなるだろうと思っていましたが、心配なのは岩場の降りです。
氷河の上はそれほど問題なく降れます。
写真を撮りながらゆっくり降ります。

 ハイキャンプまで戻ってきた時は相当疲れていました。
ここまでろくに食事も取らず水もほとんど飲まずに降ってきたのでまずはお茶を飲みます。
そしてゴロリと横になります。

 ポーターさん達がBCから登ってきておりテント周辺の荷物を片づけています。
20分ほど横になって休んでいるとガイドが行きますよと声を掛けてきます。
渋々といった感じで身体を起こします。

 靴を履き替えて降ります。
ハイキャンプからの降りも岩場ですので慎重に降ります。
それでも登りに較べると楽です。
約1時間ほどでBCまで降ってしまいます。

 BCでは、ガイドの親戚がやっている大きなテントの中でお茶をもらいます。
少し砂糖を多めに入れて飲みます。
食事が思うように取れていないのでこの砂糖も大事なカロリー源なのです。

 30分ほど休んでからチュクンに向けて出発します。
ここからが長かった。
疲れたからですでに9時間近く歩いています。
歩くスピードは疲労のため完全に落ちているのですが、休むと歩けなくなってしまうような気がしてチュクンまで休まないで歩き通すと心に誓って歩きます。

 2時間30分ほど掛かってやっとチュクンのロッジに到着です。
今日は、朝3時に歩き出してチュクンのロッジに着いたのは15:30分でした。
正直、自分をほめてやりたいと思いました。
この高度で12時間を超える行動時間を歩き通せたのは、日高で歩いた14時間があった成果だと思いました。

 ロッジでは、部屋に荷物を置いたら食堂のストーブの前で体を温めます。
ミルクティーを飲むと少し気持ちが落ち着いてきました。
20分くらい目を瞑っていると目に掛かっていた白い曇りも取れました。
やはり高度障害だったようです。

 夕食をゆっくり食べて7時過ぎに部屋へ戻ります。
今夜はお湯をペットボトルに詰めて湯たんぽを作りましたので暖かく寝ることが出来ます。
寝袋に中で、今日一日の行程を思い出しながらウトウトしていました。

 すると、ドアをノックする音が聞こえてきました。
「イエース」と答えていると、何とドアを開けて入ってくる人がいます。
このロッジはプラスチック製の立派なドアでしたので鍵を掛けずに寝ていたのです。
ヘッドライトを付けてドアを開けられているので逆光で相手の顔が見えません。
「アーユージャパニーズ」という声が聞こえます。
どうやら若い女性のようです。
「イエース」など答えていると、彼女が部屋の電灯のスイッチを付けたので明るくなりました。

 ドアのところに若い女性がカメラを持ってたっています。
その女性が、カメラの調子が悪いので見てほしいといっているようです。
オイ、オイ、またですか!
そういえばカイラスに行った時にも動かない日本製のカメラを日本人だから直せるのでないかと持ってこられたことがありました。
そんなことを思い出しながら、その女性を部屋に入れてカメラを受け取ります。

 カメラは何とキャノンのカメラでした。
しかも私が持っているカメラの旧型のカメラだったのです。
受け取ったカメラを見るとSDカードがおかしいようです。
彼女のカメラからSDカードを抜き取り私のカメラに入れてみると「認識されない形式のカードです」とメッセージが出ます。

 SDカードを初期化しようと思ったのですが、もし、彼女がこのカードで写していたあとにおかしくなってのなら初期化してしまうとそのデータが消えてしまうことに気が付きました。
そのため、仕方がないので私が予備に持ってるSDカードを彼女にやることにします。

 彼女に今まで使っていたSDカードを使わないようにいってから、私のカードを見せて、プレゼントすることを伝えます。
ちょっとビックリしていましたが、私がいっていることは通じたようです。
新しいSDカードを入れた彼女のカメラで彼女を写してきちんと作動していることを確認します。

 彼女はお礼を言って部屋から出ていきました。
やれ、やれ、これで寝られると思って電灯を消して寝袋に潜り込みます。

 10分ほども経ったでしょうか。
コン、コンとドアをノックする音が聞こえます。
「イエース」というとドアが開きます。
そこに、彼女が立っています。
オイ、オイ今度は何ですか?

  

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2 コメント

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お疲れ様でした。 (みいちゃん)
2011-12-13 21:49:10
大変な登頂でしたね!
MIKOさんの体力があったから登れたんでしょう。
すごいなあ。
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最後の壁が・・・ (MIKO)
2011-12-15 06:43:33
最後の壁の稜線手前6~7mを越えるのが大変でした。

それ以外は高度の影響で足が進まないところもありましたが、息が苦しくなることはなかったです。

夏の日高での苦労が生きていたようです。

来年はみいちゃんも頑張ってください!
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