こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

夏至に、メジューエワのショパンを聴く。

2014年06月22日 18時48分10秒 | ショパン
サッカーのワールドカップ、日本は健闘していますが、なかなか勝てませんねえ。まあ他のチームが強いということでしょうが…。日頃はまったくサッカーを見ない私も、ついついテレビで見てしまいますねえ。ただ、日本時間では朝からの試合なので、ギリシャ戦などは平日でしたし、なかなか見れないのでありました。残るはコロンビア戦だけですので、なんとか一矢を報いてもらいたいですねえ。でも、コロンビアってかなり強いんでしょうねえ。うーん…。

そんなわけで、今回は、ショパンであります。イリーナ・メジューエワのピアノ。ショパンのピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58。2010年3月・4月、富山県魚津市の新川文化ホールでの録音です。以前にも述べましたが、この曲、私は大好きでして、これまでも、リパッティ、フランソワ、ギレリスの演奏を取り上げました。先日、いつものようにネットで、このピアノ・ソナタと3つのマズルカ、即興曲第3番、幻想曲ヘ短調の収められているCDを買いました。

メジューエワさん、ロシアの方なんですが、十年以上前から日本で、演奏活動をされ、主に、若林工房からCDを出されています。京都に住まわれ、京都市立芸術大講師をされておられるので、関西でもコンサートなどを聴くことができるので、一度は聴いてみたいな、と思っています。CDも、いろんな作曲家のものが出ており、レパートリーはかなり広い方でしょうねえ。まだまだお若いので、今後も活躍が期待できるのであります。

それで、このショパンでありますが、最初第1楽章を少し聴くと、少々もっちゃりとしたピアノという印象を持ちました。しかし、聴くにつれて、まあ打鍵が強烈であり、一音一音の音が、それはもう際立っている。非常にスケールも大きく、女性の弾くショパンという雰囲気ではなく、CDには収まりきらないような大胆さと迫力、そしてその中に潜むデリカシーや詩情、とを兼ね備えている。まあ、ある意味、個性的で、聴いていて非常に面白い、というか興味をそそられるピアノであります。

この曲は、非常にショパンらしい、叙情的なメロディの美しさと繊細さにあふれています。メジューエワのピアノは、少々ピアノの音が太いな、と思うところがあり、その点でショパン的なこの繊細さには相反するような印象も持ちました。ただ、それはそれで、この曲をどう理解し演奏するかという問題であり、全体的には、メジューエワのショパンと言うことだろうと思います。そして、ロシアのピアノの特質を体現されているか、とも感じました。

第1楽章、メジューエワのピアノは実に重い。特に低音はそれが著しいが、それに対しての高音は軽やかに歌う。第2主題などの詩あふれる表情はいいなあ、と思う。第2楽章スケルツォ、爽快に駆け抜ける短い楽章。この中に淀みのないピアノがいいです。こんな短い中でもスケールは大きく、表情は豊かであります。第3楽章、やはりこの楽章はいいですねえ。転調を繰り返しながらのこの甘美なテーマが、幾度となく海岸に押し寄せる波のように、心に響きます。メジューエワのピアノは、それまでの分厚い音とは少し風情が変わり、しっかりとした低音で、優しくそして確かにショパンを奏でます。それには、美しいだけではなく、メジューエワの情念のようなものを感じてしまいますねえ。そして第4楽章、一転して力強いフィナーレ。低音の力強く分厚い打鍵に裏打ちされる華麗なピアノの世界を満喫できます。スケールは大きく、凄まじい激しいショパンの世界が展開されて、それに圧倒されてしまいます。 第3楽章もいいですが、この楽章もメジューエワの迫力に感動すら憶えます。聴き終えたあと、なんとも言えない満足感に浸るしかありませんね。

しかし、もう6月下旬になりました。あと少しで夏ですねえ。昨日は夏至でした。一年中で日が長い時期、夕方の一番綺麗な季節であります。
(若林工房 WAKA-4145 2010年)

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2 コメント

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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2014-07-06 22:21:26
クレモナ様、コメント感謝です。 返信遅れました。申し訳ありません。サッカー、世界の壁は高かったですね。メジューエワさん、最初はまあそれほどでも、ということで、聴いていなかったのですが、演奏の素晴らしさに驚いております。CDは、けっこうたくさん出ているので、これからしっかり聴いていこうと思っています。今後も、機会があれば、取り上げようと思います。ご指摘のグリモーは、まったく聴いたことがありません。食わず嫌いではいけないので、また聴こうと思います。今後とも、ご教示よろしくお願いします。
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奇跡は起きるか? (クレモナ)
2014-06-23 22:02:05
コロンビア戦、もうすぐですね。でも、あまりにも少ないチャンスに「4-0で勝てれば決勝に出れる。でも、ギリシャに勝ってもらわねば?」と、全く望みの少ない勝ち目に皆が奇跡を願うというのは、どうなんでしょう。勿論、波乱の結果はありますが、そうそう奇跡は起きません。もっと冷静に実力を見るべきですね。私も日本人だから応援はしますが、明らかに実力や熱気は、コロンビアとは違います。サッカーというゲームはある意味、狂気のスポーツです。サポーターがゴミ拾いなんかで、評価を得ているうちは、世界の強豪にはなれないと思います。
ちょっと、言いすぎですかね。失礼しました。
音楽の話題に移ります。メジューエワ、綺麗な方ですね。まだ、CDを持っていません。なかなか、入手困難なレーベルなので、あまりお目にかかりません。確か、メトネルを集中的に取り上げていたと、記憶しています。綺麗な方なのに、通俗名曲の録音ではなく、自身のポリシーで、録音活動をされているのが大変好感が持てますし、一本芯のある、実力のある方だというのが、ピアノ・ソナタの紹介を拝見しても、よく解ります。女性なら、ジャケット写真もソフトフォーカスで撮ったり、可愛く着飾ったりするものですが、このジャケットも実に自然で、服もビロード?のシンプルで素敵な色のものを身に着けているようです。非常にセンスが良いですね。音楽の中身が創造できます。
最近の私は、女性ピアニストといえば、グリモーがお気に入りで、メジューエワとはまた違った美しさです。彼女も力強いタッチでブラームスやラフマニノフを弾きます。まあ、メジューエワにはブラームスより、やはりショパンやメトネルを弾いて欲しいですね。
いつかCDを見つけて聴いてみたいと思っています。
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