実家から荷物が届いた。 広島印の段ボール。 今年のみかん第一号である。
中に、まだ小さいが葉つきの大根3本と、にしき堂のお饅頭と可愛い招き猫のお菓子が入っていた。
みかんとお菓子を義父の遺影にお供えしたあと、早速小さめの皮の薄いみかんむいてほおばった。
柑橘特有なあの懐かしい匂い、ふるさとの香りが口いっぱいに広がった。 (あま~い!)
電話で兄が「極早生だよ、大根は嫁さんの初めての作品」と言った。
開けた時みかんよりも、なぜか大根を観た時にじーんときた。 洗ってある大根は新聞紙にくるみナイロン袋に。
大根を作ったのも入れてくれたのも、兄嫁さんだとすぐに分かったから。
箱の中の白い封筒にはA4の用紙いっぱいに印刷された兄の手紙が入っていた。 ちょっと感激したので了承を得所々・・
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Nけんつく・みく様 Nファミリー様 (お花を送り主、Nファミリーとしたから)
朝のニュースでは「木枯らし1号」が吹いたとの事、半袖で降りると母が「見るだけで寒そう」と言いました。
TVに、皆さんが買って下さったマッサージ機にと、形容のしようがない鼻歌まじりのランニングマシーンが日課の母です。
一時より元気で暮らしております、ご安心下さい。
手術から一年が経ちました。 入院時ご心配をかけましたが胃に関しては当初の心配も人ごとのように頑張っています。
一年ぶりに200mあまりを3回走ってみましたが、孫(2歳)に負けない程度・・大誤算、ここまで筋力が落ちるとは!
何処からくるのか医者は「心配無い」と言ってくれますが、肺活量が落ちた?ようです。
母の米寿のお祝い、記念の旅行に際し大変お世話になりました。 まさか胃が無くなるとは!
これだけが大誤算でしたが強行して良かった。 これもNファミリーのお陰で出来たことであり、感謝申し上げます。
母にとっても私たちにとっても本年、いやいや近年一番の旅、出来事です。
言ったかと思いますが、誤算は(母の最後の長旅と思っていたのに)「こんなに良いものなら又行きたい」でした。
11月に入りますと長男一家3人が出産準備の為に帰り、にぎやかになります。
私たちも結婚35年を迎えましたが、考え深い記念日になりました。
3回目の赴任(シンガポール)時、毎回食事に呼んでくれ何故か?良くして下さる方がいていました。
その方の息子さんの「沈黙の艦隊」を見せてくれました。
帰国後唯一買った漫画でしたが、その息子さん「かわぐちかいじ展」が尾道市立美術館であり2人で見に行きました。
その時買い求めた「招き猫」と広島のお菓子2種類、楽しんで下さい。
中途半端な大根ですが、嫁さん作です味わって下さい。
味は出ていませんが極早生が入りましたので色々な想いを込めて送ります。
「幸せの木」とメッセージ、有難うございます、負けないように頑張ります。
母のように「迷惑をかけないように長生きしたい」と、そう思うようになりました。
孫の成長も楽しみに長生きしたいものです、お身体ご自愛ください。
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母が何かと言うと、「有難い」とか「感謝」と言う言葉を言うのを幼い頃から耳にしてきた。 正直(もういいよ)と思う時もあった。
兄が結婚してからは事あるごとに「こんなに幸せでいいんじゃろうか」を口にするようになり、年を重ねるほどにその言葉は増えた、確実に。
周りにすればそんな母の言葉は、時に羨ましくもあり、うとましくも思える事もあったに違いないと思いながら、しかし言い続けてきた
小さな事への感謝や有難い・・そんな言葉が綴られながらの生き方は、幸せ・・に繋がっているのではないかと思う。
言葉は生きている。 言い続ける事・・それは成るに通じていて、敢えて求めた訳ではなく与えられたものだと思っている。
兄の最後の2行の言葉、「迷惑をかけないように・・」だから特に健康に気をつけているといつも口癖のように言っている母。
そばで何気に聞いて来たであろう兄ではあろうが、自分が身体を患いいっそうそんな母の口癖がただ事ではなかったと言う事を、
実感として味わっているのであろう。 私でもそうだが、親の思いがぐっと腹に入る時があるがちょっとうるうるっときた。
手紙のやり取りが少なくなった今、硬ぶつだった兄とこうして文を交わせるようになったことを内心嬉しく感激している私である。