部屋は507”辛夷(こぶし)” 床の間にかけてあった絵には”飾らぬ美”と書いていた。
T美が聞けよとばかりに何度か声を出して読んだ。
あの目立たぬ白い花がこぶしの花で、その花言葉が書かれていたのではないだろうか。
芳香の花を咲かせるこぶしの花言葉を調べたら『信頼・友愛・友情・汚れなき美しさ』とある。
この旅館のそれぞれの部屋の名前と、床の間の額の花はもしかしたら同じではないかなぁ、
だとしたらなお更感じ入る、温かくそして細やかな心憎い演出ではない?
それにしてもこの旅にはぴったりの花言葉、花かな。
朝気持ちの良い目覚め、惜しみつつ温泉に入ると同尾道から来た方に出会ったとまた喜び、
部屋へ帰ると、布団をあげていてお膳の準備が始まってる。
仲居さんと言えども同じ女性、お布団まであげてもらって申し訳ないような、すみませんって気。
しかし明るくて気さくで気持ちがいい。 皆さんがまるで家族で出迎え、もてなして下さっている様。
朝食、こんなに食べられないわぁ・・と言いながらおしゃべりしながら見事完食。
10時チェックアウト、有馬温泉街からバスで三宮へ、新快速で一路京都へ。
「わー懐かしい京都タワー!」「写真はあとで!」「はい・・」
観光バスで回ろうと昨夜話が決まっていて、案内所へ行こうとすると止められた、観光タクシー。
3時間1万5000円で、行きたい所行ってあげる、「やばい?」とか思案しながら決め!
若いときの石原裕次郎に・・「似てるとか言われます」はぁー参った。
二人はのりのりで「ハイ、裕ちゃん出発」とかどこへ行こうが裕ちゃん、裕ちゃん、純粋だわ。
私はすれている?こんなのりで相手はどう思うんだろうとかつい考えてしまい二人の明るさに苦笑い。
最初は東福寺光明院、あまり人は行かないかも、松竹梅のお酒のCMで裕次郎が撮影した庭、
その場所でパシャ。 秋にはこの庭が(虹の苔寺と言われる所以が分かるとか)
運転手さんの勧める紅葉NO・1の東福寺。 大奥などでもこの橋楼が良く出るよね。
運転手はひと通り説明すると、車で待ってくれているから、三人でしゃべりながら見られる。
祇園の花見小路を歩かせてくれた時、思いがけず舞妓さんが通り二人は大喜び。
私は娘時代京都で5年間過ごし、京都は夫とデートを楽しんだ懐かしさが優先する。
『冬の旅・セピア色の京都』 (小さな写真にマウスをそっとあてて・・)
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<東福寺 光明院の入り口で花一厘が楚々と迎え入れてくれた |
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HP『
nonのカメラ紀行』non-nonさんの、
ブログの小技からソースをお借りしました。
三時間の観光だったが、タクシーの裕次郎兄さんのお陰で、150%満足だと喜んで言う。
良かった、観光バスより無駄が無く回れたかも知れない。
どこへ行っても多分満足だったには違いない、再会が果たせた感激はこれほど大きいのだから。
中学時代は、ビン・トン・ドン(敏感・豚ちゃん・鈍感)と呼び合ったりした私たちである。
T美が思い出しすぐに中学時代の私たちに戻り、キャーキャー大盛り上がりだった。
相変わらず、しゃきしゃき積極的で行動力のある敏感敏捷なるT美、U子は相変わらずおっとり、
マイペースでくったくがない、無欲で鈍感だった私が豚ちゃんへ降格と言うことは、
U子は豚から鈍へ昇格!? は~・・でも返す言葉はないわ。
京都にいた私が改めて新しい京都駅は初。 あ・・でも、写真撮るの遠慮。
ホテルグランヴィアのカフェでお茶しようとケーキセット二つとココアを頼んだら・・、
びっくり、これって・・直径40センチくらいのケーキ!その1/8カットなのだ、仰天大笑い、
いえ笑えない、T美とU子でひとつ、私・・無理して一人でケーキやっつけた1650円也。
ちゃんとメニューも見ていない、見えていない? 鈍感。 半径20センチ!気分が・・
こんなことも思い出、大阪へと向かう電車三人はそれぞれに陽が落ちていく車窓から変わる景色に
満ち足りた思いでみつめていたように思う
”花結び”で18年ぶりの再会、温泉に入り、美味しい料理をいただいて、語り合って、こんな贅沢、
しかしそれぞれの家族が背後で温かく見送り待っていてくれる、そんな事柄なればこそのいい旅、
自分達のがんばりのご褒美だよね、と言いながら本当に家族には感謝である。
花で人の心を癒し、温泉で身も心も暖め、安らぎに満たされた一時、心と心が出逢い旅の夢を結ぶ、
そんな旅館の和のもてなしの心、”花結び”で改めて結ばれた三人の心・・、
それはまさに私たちの一泊有馬の旅、そのものだったような気がする。
いつもなら選ぶのに困るほど撮るが、無くて困った旅、心にしっかりと刻んでいるから。
写真と言えば三人が写っているので、アップ出来ないと言う言い訳、セピア色の有馬・京都冬の旅。
来年は同級生大勢で還暦の旅が出来るから、二年後また会おうねと約束した心結びの旅。
思い出を大切に暖めながら、がんばろう今年も。