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さて、第3章です。この章で新たに『命題』という言葉が登場します。
3.1 命題では考えが感覚的に知覚できるよう表現されている。
3.11 私たちは、命題という感覚的に記号(音声記号とか文字記号など)を、可能な状況を射影したものとして利用する。
射影という方法は、命題=意味を考えることである。
3.12 私たちが考えを表現する記号のことを、私は命題記号と呼ぶ。そして命題とは、世界と射影関係にある命題記号のことである。
実にいろいろな名前が出てきました(いささか混乱してきましたので)・・・これまでに分かった範囲を図示してみます。
・・・となります。
(図の左側、下から上へ)・・・このあたりが第1章
一方(左)に世界があり、世界を分解すると複数の事実になります。
いっけん複雑に見える事実も実は要素的事実が結合したものであり、事実は事物の状態を示しています。
(図の中央、矢印の部分)・・・このあたりが第2章
事実を考えるとは、事実の写像をつくることである。
簡単に言えば「言語化する」でイイのですが、この後(第4章)で、いかに言語というものが不完全であるかが指摘され、記号論理学の提唱をみるワケです。
(図の右側、上から下へ)・・・このあたりが第3章
他方(右)は論理空間になりますが、事物を指し示すのは名前であり、事実の射影は命題になります。
要素的命題を組み合わせたものが複合的命題であり、無数の複合的命題によって論理空間が成立します。
見慣れない語句が出てとっつきにくいでしょうが、犬の図とそれに対する記述の例文を頼りに読んでいくとイイと思います。
これで可能的世界と論理空間はピッタリと一致しました。
さらにヴィトゲンシュタインは論理を展開していくのですが、ここまで読み進めてくると、何となく「世界」というものに「論理」の網が掛かってきたような気がしませんか?
ここにヴィトゲンシュタインの狙いがあるのですが、それは第4章まで読み進んだときの楽しみと致しましょう。
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