しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

備中神楽「国譲り」大国主命の舞

2023年02月08日 | 民謡

 

歌舞伎とか神楽は、筋を知ったうえで見ないと、ほぼ「猫に小判」状態になる。
しかし神楽のうち、大国主(だいこくさん)の”福の種まき”だけは万人が楽しめる。
神楽のお面、舞、衣装、太鼓、台詞を楽しみながら、種まきが始まるのを今か今かと待つ時間もいい。

現在は、お祭り以外に地域イベントに備中神楽の出演が多く、
「福の種まき」をいつも楽しみにしている。

 

 

 


・・・

備中神楽「国譲り」大国主命の舞

 

「そも舞い出でし翁は、
この国の主(あるじ)大国主の命なり。
われを祭る輩(ともがら)には福徳幸いを授くるなり。
また手向かうものあるときは、
この打ち出の小槌広鉾両種の威徳をもって打ち固め、
世を安国としずめるなり。」

「いよいよ尊信するとあるならば、
これより中津国のかまど巡りなさばやと存じ候。」

「いそぎようやく清々しき神殿に着いたと覚えたり。
しばらくこの所に鎮座いたし、
十二支五性の産子に、福の種を授けばやと存じ候」

”大国が万宝袋の紐解いて
多くの産子に福を授くる”

「急ぎたまえ。」
「はやしたまえや。」で、
神前へ供えた小餅やみかんなどを、福の種といって、
観衆へ向けてまきちらす。

「まくぞや、まくぞや、福の種をまくぞや。」

太鼓は急調子にはやしたてる。
子どもはもちろん大人まで、
なりふりかまわず騒ぎたて、
神楽場は湧きに湧く。

「福の種をまきたるが故に、
この所にてしばらく休息なさらばやと存じ候。」

 

備中神楽」 山根堅一 岡山文庫  昭和47年発行

・・・

 

 

撮影日・ 2022年11月27日   井原市青野町

 

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備中神楽「大蛇(おろち)退治」

2023年02月08日 | 民謡


記憶が薄れているが、母方の祖父母の神社で神楽を見にいった。
まだ小学1.2年生の頃で、眠いのを我慢して見ていたが、大きな蛇がでて動き出すと、こわさに我慢できず祖父母宅に戻った。
朝起きて母に聞くと「殺された」という返事だった。

 

 

・・・・


「備中神楽」 山根堅一 岡山文庫  昭和47年発行


大蛇(おろち)退治

大蛇退治は、素戔嗚の尊の「幕掛かり」の舞からはじまる。
”稲田姫大蛇の口をのがれたり
その謀略(たばかり)か酒ぞかしこき”
太鼓は急テンポに力一ぱい高鳴る。
尊は幕へ近づいて大蛇の動静をうかがう。
幕の中では大蛇がピーピーとうなり声をたててうごめく。
尊は幣を投げつけて、さらに幕に近づく。
緊迫感のみなぎる場面である。

大蛇の動きにぱっと飛びすさりざま、
刀を抜き放って、ひとしきり力強く舞った後、幕内へ一時身を隠す。

やがて大蛇は、かま首をふり立てふり立、長い胴をひきずりながら出てくる。
「とうろやとうろ、おおじゃがとうろ・・・」と、
太鼓は力をこめてはやし立てる。
舞台いっぱいにとぐろを巻いてのたうち回り、
やがて酒桶に近寄り、酒を飲み干し、酔いつぶれて、
とぐろをに頭をうずめて寝入ってしまう。

頃合いをはかって尊は大蛇に近づき、
「やい。」と一太刀浴びせかける。
大蛇は驚いて尊へ食いかかり、大立ち回りになる。
間一髪、胴を切りとり、めでたく退治する。

「大蛇を退治して宝剣を得たり。
この剣こそ姉上天皇天照大神にささげ奉らん。」
太鼓「おてがらにて候。」

うれしき舞。
「実にありがたの御ことや。
末の世までも疫神疫払(やくじんやくばらい)、
祇園三社と仰がれ申せば、わが敷島は常盤堅盤(ときわかきわ)の、
松の葉色の変わらぬ御世こそ、めでたかりけれ。」

・・・

 

 

撮影日・2022年5月4日  井原市美星町「中世夢が原」

 

 

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