ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ヴィクター・デメ

2010-06-08 20:30:06 | ワールド・ミュージック
VICTOR DEME / VICTOR DEME

6月12日、13日に横浜赤レンガ倉庫で開催される「アフリカン・フェスタ2010」。数々のプログラムでアフリカの音楽や文化が楽しめるイベントのようですが、注目は何と言っても今話題のヴィクター・デメ!

西アフリカの内陸部、ブルキナファソ出 身のシンガー・ソング・ライター。08年に「VICTOR DEME」でアルバム・デビューしたばかりというニュー・フェイス。とは言えこのとき既に40代半ばを超え、30年のキャリアを持っていたというベテランでもあるとか。プロフィールによりますと、音楽家の母を持ち、10代の頃から地元のクラブでシンガーとして活躍していたとか。その後、コートジボアールのクラブに進出したり、マリの大物歌手アブ ドゥライ・ジャバテのオーケストラと共演したり、自国で数多くの音楽賞を受賞したり、そして一時音楽から離れたり、復帰後は不遇の時代を過ごしたりと、かなりの苦労人。

しかし40代半ばでようやく製作されたデビュー作はヨーロッパなどで大絶賛され、日本でも「ブルキナファソからの黄昏アフロ・ブルース」という邦題で今年リリースされました。そして来る10月に予定されている来日公演に先駆けてこの「アフリカン・フェスタ2010」のゲストとしてメイン・ステージのトリを務めるようです。

しかし「黄昏アフロ・ブルース」とはよく言ったもので、確かに黄昏れています。「Djon'maya」や「Cherie」、「Djarabi」、「Sabu」、「Djabila」といったスロー・ナンバーの黄昏れ具合は特に格別。アフリカならではの朴訥とした土っぽさ、ブルースにも通じる深い情感、郷愁を誘うメロディー、そしてそんな“黄昏”の中にもアフリカ独特の“大地の喜び”のような高揚感がしっかりと刻まれている。いや~、良いですね!そしてどことなくラテンとかフラメンコのようなニュアンスを感じるダンサブルな「Toungan」や「Burkina Mousso」辺りの哀愁も味わい深いです。さらに美しいアフリカの民族楽器が鳴り響く「Tama Ngnogon」や「Dala Mogoya」の素晴らしいこと!

アフリカならではの“鄙びた”感じというか、“いなたさ”のようなものを色濃く残しているところがまた良いですね。ライヴでもおそらくそんな人間的な、暖かくも黄昏れた歌声を披露してくれることでしょう。楽しみです! 何せ「アフリカン・フェスタ2010」は無料ですからね!!



「Djon'maya」のPV。やっぱり黄昏れてます。表情もね。それにしても良い声ですね。絞るように張り上げる声に痺れます。なんとなく日本の演歌に通じる哀愁も感じられたり。


こちらはライヴ映像で「Djabila」。この曲は良い曲ですよね~。素朴且つ力強い歌声にもグッときます。こういうバンド編成で来てくれると嬉しいんですけどね~。


こだま和文@新宿タワレコ

2010-05-15 18:54:23 | ワールド・ミュージック
今日はダブ・トランペッター、こだま和文さんのインストア・ライヴを観に、新宿タワーレコードに来ています。今回はCDではなく、エッセイ集の発売を記念してのインストア・ライヴということですが、どんなライヴになるのでしょうか。ステージにはDJ卓と親指ピアノが用意されています。もうすぐ始まりす!


帰宅後追記:

実はこだま和文さんのライヴは初めて観ましたが、えらい格好良かったです。DJ がインストアとは思えない大きな音で繰り出すリディムと、何処か哀愁のあるこだま和文さんのトランペットの響き。良いですね~。「ジェンカ」のダブ・ヴァージョンは特に染みました。そしてこだまさんはトランペットだけではなく、リディムに合わせて朗々と語ったりもする。エッセイの話や、ナンシー関さんの話など。それが独特の酩酊感があってまた格好良いんですよ! 今度は暗いところで観たいですね。

ジャンベの音色に誘われて

2010-04-09 23:34:27 | ワールド・ミュージック
私の知り合いが最近ジャンベを販売してるんです。という訳で今回はその知人のお店をご紹介。

ジャンベ(ジンベとかジェンベとも表記されるようです。英語ではdjembeかな?)は、西アフリカの伝統的な民族楽器で、1本の木を切り抜いたボディに山羊などの皮をはった、いわゆる太鼓です。アフリカ産の民族楽器とは言え、最近は日本でもオーガニック系のイベントなんかで頻繁に目にしますので、案外ポピュラーな存在になってきているのではないでしょうか?実際、お手頃価格のものや、おもちゃのようなものまで色々流通しているようですね。ですが、もちろん私の紹介するお店は本物志向です!!

それは宮地楽器!!! 東京は武蔵小金井にあるお店です。ご購入をお考えの方々、もしくは興味をお持ちの皆様、まずは「民族楽器あれこれ」というサイトを覗いてみてください。例えばこんな逸品を扱っているようです。



マリ製のジャンベ。ボディは自然木1本からのくりぬきで、ヘッドは本ヤギ皮だそうです。観ているだけで良い音しそうですね。しかも手前と奥とで装飾の細かい彫刻が違うところが格好良い!!



こちらはガーナ製。縁にあしらわれた、もこもこの毛皮がなんとも泥臭い雰囲気で私好み。耳をすますとアフリカの音が聞こえてきそうです!


宮地楽器では、ジャンベ教室もやっているようなので、どうせ買うなら本物の音を!と思っている方や、アフリカのリズムを習いたい!という方は、一度「民族楽器あれこれ」を覗いて頂けると嬉しいです!!

民族楽器あれこれ→http://www.miyajimusic.com/blog/catalog/djembe/1203



とまあ、お店の紹介をしただけでは何なので、ジャンベが活躍する作品をいくつかご紹介。


MAMADY KEITA & SEWA KAN / LIVE@COULEUR CAFE
ジャンベと言えばこの人、ママディ・ケイタ。言わずと知れたジャンベ・マスター。彼が率いるパーカッッショニストと女性シンガー/ダンサーによる伝説的グループ、セワ・カンによる、04年のクールール・カフェ・フェスティヴァルからのライヴ録音。クレジットを見ると、ママディ・ケイタ本人とゲストも含めて、ジャンベだけで5人もいる。もう津波のようにポリリズムが押し寄せてきます。これはディープ&トランシーです。いかにもアフリカなコール&レスポンスにもやられます。終盤にはゲスト奏者のトーキングドラムやコラも入り、楽しめます。



KOFI AYIVOR / RHYTHMOLOGY
アフロ・ロックの草分け、オシビサにも在籍していたコフィ・アイヴォール。ホーンも入るアーバンなバンド・セットを中心にした編集盤。ポリリズムからアフロビートはもちろん、レゲエ、サルサ、ディスコ、ジャズまで。さらにアフリカン・パーカッションとタブラやディジュリドゥとの共演まであるという、脅威の雑食系アフリカン・サウンド。



VA / MASTER OF PERCUSSION VOL.2
ママディ・ケイタやグエムといった大御所を含むアフロ・パーカッション系のコンピ盤。これはシリーズ化されていていくつか出ているうちの一つ。色々なアーティストを聴いてみたい!という方にお勧めなれど、どれもこれも太鼓ばっかりなので、色々なアーティストを聴いてる感は意外と薄いです…。しかしこれもディープ!!




でも私にとってのジャンベのイメージって、やっぱり “野外でオーガニック系のアコースティック・ライヴ” な感じなんですよね~。例えば02年のボナルーフェスを収めたDVDに、ベン・ハーパーのアコースティック・セットによる「Burn One Down」が入ってるんですけど、パーカショニストのレオン・モブリーの叩くジャンベの音が痺れるほど良いんですよね~。
これね↓

Ben Harper - Burn One Down (Live at Bonnaroo)


この人のジャンベには歌心がありますよね~。一つのジャンベで低音から高音までいくつもの音色を叩き分けられるようですが、ジャンベの高音ってなんかスピリチュアルな響きをしてますよね。天にも届くような。もちろんふくよかな低音も良いですけどね。そしてそれらのコンビネーションで極上なグルーヴを産み出す。別に派手なプレイをしている訳ではないのですが、暖かい高揚感があって、正直ベンの弾き語りよりジャンベの音に耳がいってしまいます。


こういうのを見ると、ちょっぴりジャンベを叩いてみたいな~、なんて思いますよね。ま、難しいんでしょうけどね…。別に驚異的なポリリズムを叩けるようになれなくても、歌のバックでオーガニックなリズムを叩けたら気持ち良いでしょうね。ジャンベなら持ち運びも楽ですし、アコースティック・ライヴやストリート演奏でも格好良いですよね!


@渋谷タワレコ

2010-01-05 18:45:59 | ワールド・ミュージック
今日は昨年のフジロックを沸かしたレーベンのインストア・イベントを観に渋谷タワーレコードに来ています。予定内容は、お年玉プレゼント&サイン会ということで、残念ながらライヴはないようですが…。ま、彼らの場合、何があるかわかりませんからね。

で、その前にまたクリアランス・セールも覗いてきました。ブルース/カントリーのコーナーも、しっかり補充されてましたが、昨日の狂乱が嘘のように今日はゆっくり物色出来ました。で、結局十数点の衝動買いをしてしまいました…。ま、一枚200円ですからね。



帰宅後追記:
レーヴェンは3曲披露してくれました。フルート&アカペラ・コーラスで。これが男の哀愁というか、ヨーロッパの枯れた風情が感じられるなかなかのパフォーマンスでした。あとはお客さんとの質問コーナー。レーヴェンらしいユーモアの感じられる答えで楽しませてくれましたが、全体的には思ったより大人しい雰囲気で、アットホームな感じでした。フジにまた呼んでもらえるよう、リクエストしてくださいって言ってました。最後は抽選会&サイン会&ジャンケン大会。今夜は渋谷クワトロ、明日は大阪だそうです。


ダニエル・コラン

2007-10-22 00:40:31 | ワールド・ミュージック
今日は渋谷タワーレコードへ行ったのですが、偶然にもアコーディオン奏者ダニエル・コランのインストア・ライブが有ったので、これ幸いとばかり観てまいりました。正直な話、ダニエル・コランさんについても、彼が奏でる音楽についてもまったく知らなかったのですが、生で本物のアコーディオン演奏が聴けるならと。

そして席に座り待つことしばし。頂いたフライヤーを見ると、ダニエル・コランはギタリストのドミニック・クラヴィクと共に先日「パリ・ミュゼット 2」というアルバムをリリースしたそうで、そのCDのプロモーション来日ということでしょうか。そのフライヤー曰く、ダニエル・コランは1941年生まれの現在一番活躍しているミュゼット・アコーディオン奏者で、その早弾きのテクニックから「ターボ」というあだ名を持っているとか。そしてドミニック・クラヴィクはフランスを代表する歌手アンリ・サルヴァドールの専属ギタリストを長く務めた実力派で、ミュゼット・ギタリストの第一人者だそう。

定刻になり司会者の紹介でダニエル・コランがにこやかに登場。今回ダニエル・コランをサポートするのは福島久雄という日本人ギタリスト。ダニエル・コランへのインタヴューを挟みながらニュー・アルバムからの曲を中心に二人はアンコールを含めて7曲程披露。フランスらしいお洒落な雰囲気とどこか物悲しい音色に耳を奪われました。曲は「男と女」とか「恋は水色」とか「バラ色の人生」とか有名な曲ばかり。なんかセーヌ川のほとりで聴こえてきそうなアコーディオンとガット・ギターの調べでした。とは言えもちろん私はフランスには行ったことがありませんが…。

それにしてもダニエル・コランの指は神業的に動いていました。右手も左手も指を細かいボタンの上で泳ぐがごとく滑らし、哀愁と暖かさを感じる旋律と音色を魔法のように響かせてくれました。やっぱり生演奏は良いですね。アンコールの「パリの空の下で」にう~っとりでした。偶然とは言え極上の午後を過ごさせて頂きました。

帰宅後、”ミュゼット”についてもう少し詳しく知りたいなと思い、「パリ・ミュゼット 2」の発売元であるリスペクトレコードのサイトを調べてみたのですが、そこに簡単な紹介が載っていました。それによりますと、パリ・ミュゼットとはパリの下町で長く愛された音楽であり、シャンソンと並んでフランスを代表する音楽だそうです。19世紀、産業革命の影響でパリへ流れたイタリア移民たちが、アコーディオンをパリに持ち込み、それに伴いダンスホールも増え、20世紀初頭にはアコーディオンをメインにしたミュゼット音楽が大流行したそうです。それ以来色々な音楽のリズムや要素を取り入れながら愛され続けるフランスの大衆音楽、パリ・ミュゼットだそうです。なるほど~。

さらにジャンゴ・ラインハルトも多くのミュゼット・ナンバーを演奏しているとか。そう言えば今日ギターを弾いていた福島久雄さんは普段はジプシー・スウィングのバンドでギターを弾いてるそうです。この辺の音楽のつながりも面白いですね。

ちなみにダニエル・コランは12月に再度来日し「フレンチ・カフェ・ミュージック パリ・ミュゼット・クリスマス」というコンサートを行うそうです。なんかお洒落なクリスマスが楽しめそうですね。


タラフ・ドゥ・ハイドゥークス

2007-05-06 11:49:58 | ワールド・ミュージック
先日(5月3日)に有楽町で観たタラフ・ドゥ・ハイドゥークス。ルーマニアのジプシー・バンドですが、これが圧倒的に素晴らしかったため、昨日(5月5日)も丸の内、有楽町へ足を運び彼等のライブに浸ってきました。

ちなみにこれは「熱狂の日」音楽祭というクラシックの祭典の、無料プログラムです。

まずは丸の内。丸ビルの隣に作られた大きなテントが会場。ゴールデンウィークということもあり大勢の観客が集まりました。開演前、テントの中とはいえ丸の内という一種独特の空気が残っていましたが、彼等が演奏を始めるとそこはもうタラフの世界です。

アコーディオンやヴァイオリンの音色、民族楽器ツィンバロムの響き、超絶的な笛の早吹き、さらにギター、ダブルベース、クラリネットが渾然一体となって押し寄せるその哀愁あるメロディーと強烈なリズムは、おそらく彼らジプシーの生活そのものであり、だからこそ説得力を持って聴く者に迫ってくるんだと思います。

そして情感溢れる歌声! 痺れました。この丸の内でのライブは、椅子席だったためか観客が上品と言うか、おとなしかったこともあり、彼等の演奏をじっくり堪能することができました。もちろんおとなしいとは言え、タラフの熱演に曲が終わるたびに溢れんばかりの拍手で答え、相当盛り上がっていましたけどね。

そして東京国際フォーラムの地上広場です。こちらはかなり狭い円形のステージ。そのステージを取り巻くようにもの凄い数の観客が集まりました。彼等の演奏が始まると同時に大きな手拍子がおこり、さらに高速ダンス・ナンバーでは一部の観客が踊りだしました。日本人もやるもんだなと思いながら、その幾人かの何やら素人離れした踊りっぷりと、その魅せ方にステージ前はディープな雰囲気に。これにはタラフのメンバーも上機嫌でノリノリのステージを繰り広げました。この熱気こそタラフの本領発揮と言ったところでしょうか。

終演後アンコールを求める拍手が鳴り止みませんでしたが、「次の出演者の準備があるのでアンコールはありません」的なアナウンスに敢え無く終了。しかしその後フォーラムの一角でタラフのメンバー数人が軽いセッションをしているのを目撃。ギターとアコーディオンと歌のみというほんの余興のようなものでしたが、マイクを通さない歌声は、また格別な味わいでした。

その後は同じくフォーラムの広場でハンガリーの民俗音楽グループ、ムジカーシュを観ました。このバンドは知らなかったのですが、CDを何枚も出している有名なバンドのようですね。

こちらはタラフに比べれば上品でしたが、素朴且つエネルギッシュでルーツ色豊かな素晴らしいステージを繰り広げてくれました。ゲストのマリア・ペトラーシュの歌声も美しかったです! そしてここでもステージ前で踊りまくる人達が、もちろん日本人。しかもタラフの時とは違う人達で、完全に型の有る踊りを数組の男女ペアが踊っていました。くるくる回ったり、足をパンパン叩いたり。あれはハンガリー・ダンスなんですかね? でもそのダンサー達のおかげもあってか、タラフ同様の盛り上がりと熱気に溢れる最高のライブでした。

どのステージも40分程度と無料にしては充分のボリュームがあり、丸一日ヨーロッパのルーツ・ミュージックにどっぷりと浸かれました。ありがとう!「熱狂の日」音楽祭! なんだかヨーロッパの音楽にかなり興味が湧いてきてしまいました…。




「熱狂の日」音楽祭

2007-05-04 11:43:02 | ワールド・ミュージック
TARAF DE HAIDOUKS / BAND OF GYPSIES

ゴールデンウィーク真只中。東京国際フォーラムでは「熱狂の日」音楽祭2007が開催されています。これはまさにクラシックのお祭り。お手軽なお値段でのコンサートが1日にいくつも行われ、それがゴールデンウィーク中続くのです。好みに合ったコンサートをチョイスしハシゴするのが楽しそうです。

さらに国際フォーラムの地上広場と丸の内周辺では、数々の無料ミニコンサートが楽しめます。私も無料ならばとばかりに金管五重奏や、ハープとヴァイオリンのデュオなどを楽しみました。でも私が一番楽しみにしていたのはタラフ・ドゥ・ハイドゥークスです。何度か来日も果たしているルーマニアのジプシー楽団です。この音楽祭は基本的にはクラシックのコンサートですが、今回のテーマは「民族のハーモニー」。そういう意味では異色ながら今回の顔とも言える、ジプシー軍団なのです。

タラフ・ドゥ・ハイドゥークスは、ルーマニアの首都ブカレストの南東、クレジャニ村出身のバンドで、色々な世代のメンバーで構成されています。デヴューは91年。映画「ラッチョ・ドローム」に出演したことから人気に火が付いたとか。現在ではジプシー音楽を代表する最強のバンドの一つに数えられているようです。

私はジプシー音楽には興味は有るもののなかなかライブにまで手が出せなかったので、無料万歳!と言わんばかりに、ついに本物のジプシーを堪能出来ると意気込んで行ってきました。


5月3日夕方4時過ぎ、東京国際フォーラムの地上広場には凄い数の人が集まっていました。そこへ、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの面々が登場。大所帯です。ヴァイオリンが4人いるし、アコーディオンが3人います。他にはウッドベースや笛的なもの。そして一番後ろには弦を木琴のようにバチで叩くツィンバロムと呼ばれる伝統楽器もありました。

その演奏はとにかく生半可なものではありません。「本物」とはこういうものか?と。異国情緒というよりかの地の血を感じました。それはある意味飲んだくれの音楽のようでありながら、個々の腕に染み付いたテクニックが強烈に光り、それらはまるで野放図のようでもありながら、一丸となってメロディーとリズムを押し寄せてきます。

そして歌が良い! 数人がリード・ヴォーカルを分けあっていましたが、年輪を感じさせる枯れた味わいから、脂の乗ったハリと艶のある響きまで、それぞれが素晴らしい声! 独特の情感を有楽町の空に轟かせていました。

さらに熱狂的に盛り上がるのが超高速のインスト・ナンバーの数々。これは本当に凄い! おそらくダンス・ナンバーだと思うのですが、これでどうやって踊るのか?と疑問に感じるほど、一種の曲芸のような速さで、我々日本人には手拍子するのが精一杯でした。恐るべしジプシー。

これは観光用のジプシー楽団とは違う、本物のジプシー・バンドです。こんな人達をクラシックの音楽祭に登場させてしまう主催者のセンスに脱帽です。でもジプシーの音楽はクラシックにも影響を与えたことや、今回の「民族のハーモニー」というテーマを考えれば、まさにドンピシャの人選であるかもしれませんね。

タラフ・ドゥ・ハイドゥークスは5月5日にも丸の内の特設ステージやフォーラムの地上広場に登場するそうなので、この日はタラフをハシゴしようかな?


*写真はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの01年のアルバム「BAND OF GYPSIES」。解説によりますとこのバンド、デビュー以来、欧米や日本では人気を博していたものの、本国ルーマニアでは一般にはほとんどその実態が知られていなかったとか。正直な話、ジプシーと呼ばれる人達の現況やその歴史、時代背景を私はしっかり理解していないのですが、少なくともルーマニア本国においては、一般人からは関わりたくない、避けられるべき人達のようです。したがってタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの音楽も無視される結果になっていたようです。そしてこのアルバムはそんな状況を打破すべく、2000年12月に行なわれた母国の首都ブカレストでの公演を中心に収めたものです。ゲストにマケドニアのジプシー・ブラス・バンド、コチャニ・オーケスターも参加し、哀愁と興奮が交差する、血が沸き立つような演奏を繰り広げています。

こういう音楽を聴くと、その音楽の背景にある民族の歴史や時代背景を学ばなくてはいけないなと思わせられます。音楽だけ聴いてお気楽に興奮しているだけではいけませんね。反省…。