ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

エリック・ルイス@渋谷タワーレコード

2010-10-31 15:02:20 | ジャズ
今日は話題のジャズピアニスト、エリック・ルイスのインストア・ライヴを観に、渋谷タワーレコードに来ています。先程終わりましたけど、凄く良かったです。今、サイン会中です。私もサインが欲しいところですが、昨日ヘイリー・ロレンを買ってしまったので今日は我慢です…。ライヴの様子などは帰宅後に追記します。



帰宅後追記:

正直な話、噂に聞くだけで音は聴いたことがない状態で観に行きました。しかも勝手にジェイミー・カラムのような爽やか系を想像していまして、どんな白人の優男が登場するんだろうと思っていましたら、がっしりとした黒人さんが出てきて驚きました。もちろんブラック系が大好きな私はテンション上がりましたけどね。 そしていよいよ弾くぞ!という感じにエレピに向き合うエリック・ルイス、まずは足場から固めていきます。左足でペダルを踏み、右足をグイ~っと後ろに延ばす。アルバム「ROCKJAZZ vol.1」のジャケットに写るあの体勢です。はなから椅子なんかありませんよ! って言うかあのジャケ写は、それ用のポーズとか、もしくは興奮が頂点に達した瞬間を切り取ったものとか、そんな風に思っていましたが、まさか始めっからあの体勢とは!

そして弾き始めたのは、おそらくキラーズの「Mr.Brightside」だったかな?(記憶が曖昧…)。そしてブレイキング・ベンジャミンの「The Diary Of Jane」、ストーンズの「Paint It, Black」と続きます。「The Diary Of Jane」の後半辺りでははかなりアヴァンギャルドな感じで叩きまくり、もう既におでこから汗が滴り落ちる大熱演。とにかくその緊張感たるや凄まじいものがありました。そこにはジャズとかロックとかを越えた何処かスピリチュアルなエネルギーを感じましたね。ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」なんかのフリーキーさも圧巻。もの凄い形相で、鍵盤に挑みがかるかのようでした。

もちろんただ派手に叩いてばかりいる訳ではありません。コールドプレイの「Clocks」では、抑制の効いたタッチで研ぎ澄まされた旋律をスリリングに聴かせてくれました。「Paint It, Black」では静かに東洋的メロディを弾いたり、そんな静と動のコントラストも秀逸でした。そしてその表現力と、それに伴う弾く姿がまた格好良い! 音との一体感と言いますか。例の体勢も、足を前後に開くだけではなく、時には左右に開いてみたり、膝を付いて中腰のようになってみたり、その音と同時に変化して行く感じ。一口にロックのカヴァーというだけでは言い切れない、ある種のソウル・ミュージックですよ! 痺れましたね!

そして最後にはそれまでとは一味違う、スウィンギーな演奏も披露してくれまして、その確かなテクニックと、抜群のリズム感、ジャズならではの遊び心も魅せてくれました。ただ一つだけ難点を言わせてもらえば、今回はインストア・ライヴでしたので、アコースティックのピアノではなくエレピだったんですよね。やっぱりグランド・ピアノで聴きたかった! エリックの型破りのパワーはエレピでは受け止めきれない部分があり、これがピアノだったらもっともっと高揚感の高い演奏になっただろうなと思いました。ま、それはインストアではなく、ちゃんとお金を払ってライヴに行かなくては!ってことですよね…。ちなみにブルーノート東京でのライヴでは、ピアノをステージではなく客席の中央に配置して熱演を繰り広げたとか。観たかった~!

@新宿タワーレコード

2010-10-30 19:58:36 | ジャズ
今日は女性ジャズシンガー、ヘイリー・ロレンのインストア・ライヴを観に新宿タワーレコードへ来ています。先程リハが終わりましたけど、いきなりプロコル・ハルムのあの曲にうっとりでした。本番が楽しみです。オーティス・レディングやるかな~?


帰宅後追記:

ジャジーでビターな歌声にトロけました。サインも頂きました! 残念ながら「The Dock Of The Bay」はやりませんでしたけど…。11月2日(火)は六本木のツタヤでもインストア・ライヴがあるそうなので、そちらも楽しみです! ライヴ・レポなどは、タワレコとツタヤの分を合わせてまた後日にでも。

コンゴの音楽

2010-10-29 17:55:29 | ワールド・ミュージック
今年日本でも公開された2つの映画。「ソウルパワー」と「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡」。この2つの映画の舞台になったのが、ザイール/コンゴ民主共和国の首都キンシャサ。前者は74年にキンシャサで開催された音楽フェス「ザイール’74」を記録したドキュメンタリー。ジェイムス・ブラウン、B.B.キング、ビル・ウィザース、ザ・スピナーズなど、米黒人音楽の旗手達と、コンゴの大スター、フランコを始めとするアフリカ勢が同じステージに立ち、繰り広げられた白熱の3日間。このコンサートは、モハメド・アリ対ジョージ・フォアマンという歴史的なボクシング・ヘヴィー級タイトルマッチの前夜祭のような形で開催されたもので、試合前の下馬評を覆したモハメド・アリの勝利は「キンシャサの奇跡」と語り継がれることになりました。そしてもう一方の映画は、その「キンシャサの奇跡」からおよそ30年を経たキンシャサが生んだもう一つの奇跡。ストリート・チルドレンが段ボールの上で寝泊まりする街キンシャサで、ポリオという感染症のため車椅子生活を余儀なくされながらもバンドを組んで、ポジティヴに逞しく生きる人達。彼等スタッフ・ベンダ・ビリリが逆境を乗り越え世界に羽ばたく姿を追ったドキュメンタリー。

実はこの2つの映画は、時代やテーマが違えど同じキンシャサが舞台の音楽映画というだけでなく、もう一つ接点があるんです。実は「ザイール’74」には身障者用の席が設けられていて、スタッフ・ベンダ・ビリリのメンバーもこのコンサートを観に行っていたらしいのです。スタッフ・ベンダ・ビリリの音楽にファンクの影響が感じられる所以はその辺りにあるのでは?なんて言われたりもします。そんな歴史に残る音楽フェスと、新たなヒーローを生んだキンシャサは、実はアフリカ屈指の音楽都市でもあります。という訳で、キンシャサを中心にザイール/コンゴを彩ったアーティスト達をちょこっとご紹介。



VA / ROOTS OF RUMBA ROCK CONGO CLASSICS 1953-1955
コンゴと言えばルンバ。ルンバと言えばキューバ。そんなキューバからの影響を色濃く感じさせるコンゴ産ルンバ誕生前夜の記録。監修はヴィンセント・ケニス(コノノNo.1を再発見&プロデュースした人)。アフロ・キューバンなリズムと、トロピカルなメロディー、華やかな楽器の音色。その明るくダンサブルな演奏の数々からは、ベルギーの植民地下におかれながら音楽に喜びを見いだしていたかの地の人々の姿をおぼろげながら想像させられます。そしてこの当時既にこれだけ多彩な音楽がコンゴに存在していた事実に驚かされます。



VA / LES MERVEILLES DU PASSE
グラン・カレ~フランコ~ロシュロー~パパ・ウェンバと繋がるルンバ・コンゴレーズ/リンガラ・ポップの歴史を紐解くコンピ盤。グラン・カレ(ジョゼフ・カバスル)率いるアフリカン・ジャズの60年代初頭の録音を聴けば、そのギターとホーンのアンサンブルや、洗練されたコーラス・ワークから、まだまだ土っぽかった「ROOTS OF RUMBA ROCK」の時代から確実に飛躍していることが実感できます。そして新たな時代を切り開いた、フランコ&OK ジャズとロシュロー&アフリカン・フィエスタ。ドクチュール・ニコのハワイアンなギターも素晴らしい! ちなみにフランコとロシュローは「ザイール’74」にも出てたりするんですよね~。コンピの最後を締めるのはパパ・ウェンバを擁するザイコ・ランガ・ランガ。ルンバ・ロックの帝王パパ・ウェンバの登場で終わるという構成も秀逸。ラテン、カリブ、ハワイアン、ジャズ、様々なサウンドを吸収しながら、アフリカ土着の音楽として発展、隆盛したコンゴ産ルンバの貴重な初期音源の数々。


FRANCO / FRANCOPHONIC Vol. 2
コンゴ音楽の最重要アーティストは誰か?と問われれば、やはりフランコですよね。映画「ソウル・パワー」でのまるでコンゴ代表的なオーラを纏った貫禄のステージも印象的でした。そのフランコと彼が率いるT.P.OK ジャズ。彼等の80年代の録音を収めたのがこの「FRANCOPHONIC Vol. 2」。フランコにとっては晩年に当たるこの時代ですが、脂の乗った成熟された歌と演奏が楽しめます。1938年、キンシャサに近いソナ・バタで生まれ、56年にOK ジャズを結成。70年代中頃にバンド名をT.P.OK ジャズと改名したそうです。歌だけ聴いてると洗練されたアフリカ流3分間ポップスのようにも聴こえますが、ほとんどが1曲10分を超える長尺曲。歌を聴かせると同時にあくまでもダンス音楽として存在していた、かの地ならではの土壌を感じずには居られません。ポップなメロディーが徐々にトランス感を帯びてくる17分越えの「Bina Na Ngai Na Respect」が圧巻。また大ヒット曲「Mario」の鄙びたメロディとラップが交差する様などは、スタッフ・ベンダ・ビリリへの直接的な影響も感じさせます。フランコは89年に腎不全により亡くなられました。


PAPA WEMBA & VIVA LA MUSICA / MWANA MOLOKAI : THE FIRST TWENTY YEARS
1949年生まれのパパ・ウェンバことジュング・ウェンバディオ・ペネ・キクンバ。69年にザイコ・ランガ・ランガに参加し、若きロック世代による新しいルンバ・コンゴレーズを持って颯爽とシーンに登場しました。そして独立後に結成したのがヴィヴァ・ラ・ムジカです。今作はその77年の活動開始から97年までの20年間を追ったベスト盤。1曲目「Mère Supérieure」の中盤から、カオスを濃縮したような弾けっぷりにやられます。やはりヴィヴァの結成が「ザイール’74」以降と言うこともあり、そういう意味でもジェイムス・ブラウンからの影響を感じてしまいます。特にそれは初期の録音に顕著。表面的な音楽性がJBに近いと言うのではなく、発散される熱のようなものと言うか、その発散の仕方にJBのような野生を感じるんですよね。「Loni」とか「Analengo」とか、生で聴かされたら踊り狂っちゃいますよ!また、「ザイール’74」にはキューバからサルサの女王セリア・クルースが出演していましたが、ヴィヴァ・ラ・ムジカというバンド名は、サルサの有名なアルバムにちなんだものだそうです。


KONONO NO.1 / ASSUME CRASH POSITION
04年作「CONGOTORONICS」で一躍話題になったコノノNo.1 が今年リリースした最新作。アフリカの素朴な伝統楽器である親指ピアノをアンプに繋ぎ電化するというジャンクな荒技。そして複数の電気親指ピアノが複雑に絡み合い響き合いながら似たようなフレーズを永遠に紡いで行くサイケデリックなトランス感。まるでコンゴが現代に生んだ突然変異のようなこのバンドですが、結成は意外に古く、1969年だそうです。しかも中心人物のマワング・ミンギエディは33年生まれだそうですから、なんとあのフランコより年長ということになります。そして彼等の音楽のルーツは、コンゴとアンゴラの国境地域に住むバゾンバ族の伝統音楽だそう。恐るべしコノノNo.1 です! そんな伝統的な泥臭いスタイルと、それをただ増幅したい!という欲求のみが爆発したようなその音楽は、ある意味、多彩なスタイルを吸収しモダン化したルンバ・コンゴレーズとは対局にある音楽かもしれません。ですがルンバ・コンゴレーズのエレキ・ギターなんかは親指ピアノの延長上にあるようにも感じられますし、やはり根っこでは繋がっているということですね。


STUFF BENDA BILILI / TRES TRES FORT
そして新たなヒーロー、スタッフ・ベンダ・ビリリ。演奏自体は素朴でフォーキーな香りがしますが、複数のシンガーとラップのような煽りが混ざるスタイルは、ルンバ・ロックの流れを汲むと言えるかもしれません。そして何より躍動感溢れるリズムですよ! キンシャサの雑踏や、そこで生きて行く上での苦しみ、悲しみ、怒り、希望、喜び、全てが込められたような音楽。そして彼等を知るには映画「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡」がまだ公開中なので、この映画を観ることが一番! 彼等の生き様はもちろん、カオティックなキンシャサのストリートや、そこで暮らす人々のパワーに圧倒されます。もちろん先日の来日公演も素晴らしかった!



「ソウル・パワー」からフランコ&OK ジャズのパフォーマンス↓
http://www.youtube.com/watch?v=3CsKhpm7Wvg&feature=related

「ソウル・パワー」からロシュローのパフォーマンス↓ っていうか女性ダンサーが凄い。
http://www.youtube.com/watch?v=-f4NEk0idMY&feature=related

パパ・ウェンバの「Analengo」。Tokyo may.31.1986 と記されていますから、初来日時の映像ですかね。いや~、これはロックですよ!
http://www.youtube.com/watch?v=uiw-xu8gYbA

09年のSONARに出演したコノノNo.1のようです↓
http://www.youtube.com/watch?v=us9Fv7ywLBg&feature=related

スタッフ・ベンダ・ビリリとオランダの管楽団との共演。格好良いっす↓
http://www.youtube.com/watch?v=eqga1CmJKBU&feature=related




~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 10.10.19 WORLD BEAT 2010 @日比谷野外音楽堂
 10.09.24 スタッフ・ベンダ・ビリリ@ユニセフハウス
 10.09.20 ベンダ・ビリリ@イメージフォーラム

アースガーデン@代々木公園 その2

2010-10-24 15:31:31 | フェス、イベント
という訳で、今日も代々木公園でアースガーデンです!


帰宅後追記:

今日は何と言っても梅津和時さん率いるKIKI BANDですよね~。梅津さんのサックスはいつ聴いてもテンションが高い! それは空間を切り裂くかの如くの切れ味で放たれる。衝動的なエネルギーがまるで洪水のようなフレーズとなって溢れ出してくるよう。もちろんバンドのメンバーも強力。アヴァンギャルドなフリー・ジャズをヘヴィにロックさせるようなバンド・サウンドにグイグイと引き込まれていきました。梅津さんの綿っぽい大きなピンクの帽子も似合ってましたね。

さて、今日はがっつり観たのはそのKIKI BANDぐらいで、あとはブラジル・デュオのアルトゥール&サブリナとか、アイリッシュのWaitsとか、小島ケイタニーラブ、ハシケン meets 伊藤大地などをつまみ食いしながら会場をぶらぶら。昨日はライヴ中心だったので、今日は民族色豊かなお店を見て回ったりしました。色とりどりの服や雑貨、楽器がごちゃごちゃと並ぶ会場を歩いていると、まるで異国のバザールかなにかに紛れ込んだような感じで楽しかったです。賑わっているけど、混みすぎていない、アースガーデンらしい緩い雰囲気も良かったですね。


アースガーデン@代々木公園 その1

2010-10-23 12:00:18 | フェス、イベント
今日は代々木公園で開催されている「earth garden ’秋’」に来ています。Modern Irish Project、SUIKA、copa salvo、COMA*あたりが楽しみです。今、メインステージで、こてっくすというバンドがリハをしていましたが、ファンキーでなかなか格好良かったです!



帰宅後追記:

天気も良かったですし、熱すぎず、寒すぎずの、気持ちいい一日でした。まずは、メインステージのトップバッター、こてっくす。このバンドはTEX & the Sun Flower Seed というスカ・バンドのインスト・ヴァージョンだそうですが、同じ時刻に別ステージで今日のお目当ての一つ、Modern Irish Projectのライヴがあったので、残念ながら1曲のみで移動。で、プランツ・ステージにてModern Irish Projectです。野外でアイリッシュ、気持ち良いですね~。アコースティック・ギター、エレキ・ヴァイオリン、ドラムスという編成。スピード感と情緒溢れるヴァイオリンも良かったですが、切れ味鋭いカッティングでグルーヴを作りだすギターが素晴らしかったですね。約1時間、モダンなアイリッシュを堪能させて頂きました。

メイン・ステージでShleeps 。bonobosのドラマー、辻 凡人さんのプロジェクトですね。この人、先日のジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット公演でもドラムを叩いてた方ですね。今回はターンテーブリストとのダンス系のユニット。途中、ゲストで登場した女性シンガーの透明度抜群な歌声にやられました。あの人誰でしょう? ビューティフルハミングバードの小池光子さんですか? よく知らないんですけど…。続いて同じくメイン・ステージでSUIKAです。ヒップ・ホップですけどね。個性的なラップはもちろん、オルガン・ジャズなバックも格好良いんですよ!

そしてプランツステージでcopa salvoです。これは圧巻! 今日はcopa salvoにつきますよ! 初めてライヴを観たんですけど、格好良すぎです! ストリート臭プンプンのラテン・ミュージック。肉感的なリズムを提供するパーカッション隊や、グルーヴ・マシンのようなベースも凄いですが、まるでラテンの情熱が弾けるかのような鍵盤も最高でした! そして単なるラテンで終わらせない毒を放ちまくるヴォーカリストが格好良い! ちょっとやさぐれた感じで。初め座っていた観客も序盤から立ち上がって踊りまくり。そしてどんどん人が集まってきて凄いことになってました。もちろん私も踊らされました。いや~、ラテンのリズム、良いですね~。これはまた観たいですよ!

最後はメイン・ステージでCOMA* を。スペイシーでトランシーなジャム・バンド。ライヴを観たのは2度目ですが、前に観たときより断然スケール・アップしている感じでした。イベントのトリに相応しい幸福感横溢なライヴでした!


アースガーデンは明日(10月24日)もあります。梅津和時さん率いるKIKI BANDが出るんですよね~。楽しみ!


WORLD BEAT 2010 @日比谷野外音楽堂

2010-10-19 22:25:41 | フェス、イベント
STUFF BENDA BILILI / TRES TRES FORT


もう一週間経ってしまいましたが、10月11日、日比谷野外音楽堂にて開催された「WORLD BEAT 2010」を観に行ってまいりました。

いや~、これは素晴らしかったですよ! アフリカン・ミュージックのパワーを思い知らされた感じですね。まさに野音というハコ全体、ミュージシャンも観客もその場の空気も、全てが一体となって、歓喜のリズムに身を任せた感じ。天晴なライヴでした!

それでは、記憶があまり薄れないうちに振り返っておきましょう。


MCに登場したピーター・バラカンさんの紹介で、まずはジャスティン・アダムズ&ジュルデー・カマラが登場。ジャスティン・アダムスは、あの“砂漠のブルース”ことティナリウェンのプロデューサーを務めた英国人で、ギタリストとしてロバート・プラントのバンドでも活躍してきた人だそう。一方、ジュルデー・カマラは西アフリカはガンビア出身。リッティという伝統的な1弦フィドル奏者。ステージではこの二人に白人のドラマーが付きます。始めはジャスティンもアコースティックな古めかしい楽器を弾いてましたが、3曲目辺りからエレキ・ギターにチェンジ。低音効きまくりの轟音リフを弾き出すと、瞬く間にドロドロとしたロックなミクスチャー感が溢れ出してきました。

それはガレージ・ブルースmeetsアフリカな感じ。マディ・ウォーターズ「Hoochie Coochie Man」のアフリカン・ヴァージョンみたいな曲があったり、ジャスティンのワウを効かせたカッティングにジュルデーの1弦フィドルが反復的なフレーズで延々と絡み付くトランシーな曲があったりと、一筋縄ではいかない異臭を放ちます。ジュルデーは曲によってはリッティ以外の楽器も弾いたり、パーカッションを叩いたりもしていましたね。でもやはり歪んだギターにリッティ、そしていかにもアフリカンなジュルデーのヴォーカル。この組み合わせが強烈。 トリッピーでした。ただ1番手だったこともあり、お客さんが様子見な感じだったのが残念でしたね。

そしてヴィクター・デメが登場。このヴィクター・デメが、予想外にと言っては失礼ですが、異様に盛り上がりました! 私は6月に横浜のアフリカン・フェスタというイベントで彼らのライヴを観たんですけど、あの時はイベント特有の緩い空気が横溢してましたが、今回は流石は野音、音圧がまるで違い、とにかくアフリカンなリズムが身体を捉えて放しませんでした。もちろんヴィクター・デメの歌声も素晴らしかった!

アフリカの大地を感じさせるような素朴な味わいの「Deen wolo mousso」や「Maa gaafora」、そして哀愁溢れる歌声が夕闇に響きまくった黄昏のアフロ・ブルース「Djon Maya」。熱気ムンムンのパーカッションのリズムに観客踊りまくりの「Toungan」や「Sere Jugu」、などなど。こういった曲でのギターやリズム隊は強力でしたね。そして忘れてならないのがコラ。ヴィクターの歌声や切ないメロディーに絡むコラの音色は美しかったですね! あの響きはまさにアフリカの風のようでしたよ!

それとね、ヴィクターのパフォーマンスがまた良いんですよね。エンターテイナーなんですよ。でもローカル色濃厚で。その濃厚さが客席をどんどん巻き込んでいく感じ。結局、観客層立ちで盛り上がりましたからね。さらにその観客達のノリ方が凄く自由で、しかも濃密な感じで、なんか幸せな気持ちになりましたね。まるで今まで押さえていた何かが一気に解き放たれたような、そしてそれを合図に野音の空気がグラグラと煮え出してきたような。もう、この勢いは止まりませんよ。なにせ次はトリを務めるスタッフ・ベンダ・ビリリですから!


映画「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡」でも話題になっているコンゴのグループ、スタッフ・ベンダ・ビリリ。既に真っ暗になった日比谷野音にメンバー達が現れると、もう最初っから観客達は総立ちですよ!

1曲目は「Moziki」だったかな? 溢れ出すように五感を刺激するリズム。血湧き肉踊るとはこういうことを言うんだなと。「Moto Moindo」、「Polio」、「Je t'aime」、「Marguerite」、「Kuluna」と続くステージ。「Moto Moindo」はアフリカ人の誇りを歌ったような曲。「Polio」は彼等が暮らすコンゴに多い感染症のこと。「Marguerite」は兄と妹がコンゴ民主共和国とコンゴ共和国とに離ればなれになってしまったことを歌う曲。そして「Kuluna」では子供達にクルナと言うギャング団に入るなと諭している。どれもコンゴの日常を歌った曲なのでしょう。そんなシビアなメッセージも、彼等のリズムとメロディに乗せれば輝かんばかりにポジティヴなヴァイヴへと昇華されます。

とにかく豊かな音楽に心も身体も踊る踊る! リズム楽器はドラムス、ベース、ギターだけのシンプルな編成なのが信じられない程に芳醇なリズム。しかもドラムスなんて、原始的な太鼓に、竹、ご飯の皿、傘の竿なんかを取り付けた手作りですからね。手作りと言えば、最年少メンバーのロジェが操るサトンゲと言う楽器も手作り。しかも7歳の時に作ったと言いますから驚きます。缶と木の棒を1本の弦が結んだだけの簡素な楽器ですが、スタッフ・ベンダ・ビリリの音楽を特徴付ける、ちょっと切ない音色を持ったメロディー楽器です。

フロントにはそのロジェと、5人のヴォーカリストが並びます。そのうちココ、リッキー、テオ、ジュナナの4人は車椅子に乗っています。そしてもう一人のカボセは立ってはいるものの松葉杖をついています。この5人は曲名にもなっているポリオという感染症による障害を持っているんです。バンド名である「ベンダ・ビリリ」とは、リンガラ語で「外側を剥ぎ取れ」という意味だそうです。すなわち一見した外面ではなく内なる真実を見よ!ということなのです。彼等は車椅子の上であろうと、まるでその身体からリズムが湧き出るかの如く、そしてポジティヴ且つ自由な魂を我々観客にビシバシとぶつけてきます。これ程までに生命力に溢れた音楽はそうはないですよ!

「Avramandole」では右端で常にテンションの高かったジュナナがついに車椅子から降りて踊り出します。この人、バンドの公式振り付け師だそうですが、実はメンバー中で最もポリオの症状が重い人。おそらく両足とも麻痺で動かないんだと思うのですが、それでもエキサイティングに踊りまくり、観客からやんやの喝采を受ける。そして曲が終わると器用に自力で車椅子に戻る。凄い人です!

さらに「Sala Mosala」、「Mwana」、「Mama Africa」と続く。このバンドのユニークなところは、ロジェを含めたフロントの6人がそれぞれがリード・ヴォーカルを務めるんです。しかも1曲のなかでころころとリードが変わる。それがまた祝祭的な空気に拍車をかけるんですよね。またみんな良い声してるんですよ。リーダーであるリッキーの落ち着いた暖かい歌声も良いですし、力強く歌い上げるようなロジェも良い。ですが最も個性的なのがカボセ。この人は歌と言うよりラップ。いやラップと言うより煽り専門みたいな。とにかく高い声でガンガン煽ってくる。この人が前面に出てくると一気に場内の温度が上がる感じ。

そしていよいよステージも終盤。テーマ曲「Staff Benda Bilili」。もうこれはファンクですよね! 格好良すぎますよ!「Souci」では「ス~シ~、ス~シエ~」とコール&レスポンスで盛り上がり、そしてラストの「Tonkara」。これは段ボールの上で寝泊まりする子供達の希望について歌った曲。アフリカらしいトロピカルなリズムに身を委ねていると、なんとステージの左袖からヴィクター・デメを先頭に、彼のバンド・メンバーや、ジャスティン・アダムズ、その他関係者の方達が妙なダンスを踊りながら数珠繋ぎに入ってくるじゃないですか! 最後はステージ上もダンス大会のような雰囲気で盛り上がっての、大団円。参りました! 

彼等の音楽は、人間が根源的に持つ優しさや、力強さそのものです。スタッフ・ベンダ・ビリリ、トレ・トレ・フォール!!!!


*曲目等間違ってましたらごめんなさいね。



~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 10.10.13 ヴィクター・デメ@渋谷タワーレコード
 10.09.24 スタッフ・ベンダ・ビリリ@ユニセフハウス
 10.09.20 ベンダ・ビリリ@イメージフォーラム
 10.09.20 ヴィクター・デメ@アフリカン・フェスタ
 10.06.08 ヴィクター・デメ

@渋谷タワレコ

2010-10-18 22:13:11 | 余話
今日は、たまたま渋谷タワレコを覗いたら、鮎川誠さんとシーナさん、サエキけんぞうさんによる、「ミュージシャンが語るザ・ビートルズ、ジョン・レノン」というトーク・ショーをやっていたので見てきました。サエキさんの司会のもと、1時間以上にわたって、鮎川さんとシーナさんがビートルズとジョン・レノン、ヨーコ・オノについて、ご本人の体験談を中心に、貴重な話や、裏話を聞かせてくれました。ジョンやヨーコへのリスペクトを語るお二人が妙に格好良かったです!

@土と平和の祭典

2010-10-17 12:51:11 | フェス、イベント
今日は日比谷公園にて開催されている、大地に感謝する収穫祭「土と平和の祭典」に来ています。先程サヨコオトナラのライヴが終わりました。青空の下、芝生に座りながら聴くサヨコさんの歌声!癒されました。14時半からはUAが出るんですが、午後から別の用事があるので見れません。残念…。



帰宅後追記:

サヨコさんは、私の高校生時代のアイドルだったんです。彼女はゼルダというガールズ・バンドのシンガーでした。私はその頃のインディーズ・シーンにどっぷりハマっていまして、その代表格だったゼルダのレコードを聴きまくり、ライヴにもよく行きました。OTOさんと一緒にやっていたプードラゴジランボも最高でしたね~。でもそんなゼルダやサヨコさんの音楽性も変化し、私の音楽趣味も変わり、いつしかゼルダやサヨコさんを聴かなくなってしまいました。それが何年もの年月を経た今、またサヨコさんの音楽に共感出来るようになっている。何か不思議ですよね~。今日もサヨコさんの声を聴いた週間に、気持ちがス~っと柔らかくなるような、とにかく気持ちのいいライブでした。

私はこのイベントに参加したのは初めてだったですが、オーガニック&ピースフルな、とても良い雰囲気のイベントでした。ステージの音楽やトークショーだけでなく、「大地に感謝する収穫祭」と言うだけあり、即売されている野菜が安くて美味しそうでしたし、フェス飯とはまた違うオーガニックなご飯類にもそそられました。また竹で出来た大きなピラミッド型のジャングルジム?があったりして子供達も楽しそうでしたね。今回、私は午後から用事があったため、途中で会場を後にしましたが、来年はここでお昼ご飯を食べて、帰りに野菜や果物を買って帰りたいと思います。試食させて頂いた蜜柑が美味しかった!!

おめでとう!アリシア・キーズ!

2010-10-17 10:40:52 | R&B、HIPHOP
Alicia Keys / The Element of Freedom

プロデューサーのスウィズ・ビーツと結婚したアリシア・キーズ、10月14日に男の子が生まれたそうですね。おめでとうございます! スウィズには前の奥様との間にお子様がいらっしゃいますけど、アリシアとスウィズのお二人にとっては初めての子供。男の子だそうで、名前はエジプト君(Egypt Daoud Dean)だそうです。アリシアらしいスピリチュアルで力強い名前ですよね~。

私はアリシア・キーズの最新作「The Element of Freedom」はもう一つ好きになれませんでしたが、それでもフェイヴァリット・アーティストの一人であることには変わりません。やっぱり来日して欲しいですよね~。プロモ来日やサマソニ出演はありましたが、単独フル・ステージでの来日となると随分してないんじゃないでしょうか? たぶん04年が最後。と言うより04年の時しかないですよね~。お子さんが小さいうちは当分無理なのかな~。

先日ノミネートが発表されたAmerican Music Awards 2010ですが、アリシアは「フェイバリット・ソウル/R&B女性アーティスト」部門と、「フェイバリット・ソウル/R&Bアルバム」部門にノミネートされていますね。この賞って、確かファン投票によって受賞が決まるんですよね~。やっぱあのアルバムは人気あるんですね~。しばらく聴いてないんですけど、久しぶりに聴き直してみようかな。頭の中をリセットして聴き直したら案外良いかもしれません。

ラウル・バルボサ@渋谷タワーレコード

2010-10-16 16:07:28 | ワールド・ミュージック
今日は渋谷タワレコにラウル・バルボサのインストア・ライヴを観に来ています。フランスで活躍するアルゼンチン生まれのアコーディオン奏者です。これから始まります。楽しみです!


帰宅後追記:

ラウル・バルボサ、素晴らしかったです! 1938年生まれだそうですから、もう70歳超えてるんですよね~。でもとてもそんな風に見えない若々しさ! 演奏も力強く情熱的でした。バックにはガット・ギターを弾く福島久雄。この人は、ちょうど3年前にやはり渋谷タワレコのインストア・イベントで観たアコーディオン奏者、ダニエル・コランのバックも務めていた方ですね。フランスのパリミュゼットを代表するダニエル・コランは、パリらしく何処か麗しいい印象を受けましたが、ラウル・バルボサは、熱のこもった演奏に陰影と哀愁を滲ませてくる。ご本人は確か「パリ・ミュゼットに比べると自分の演奏はバンドネオンっぽい」的なことをおっしゃってたと思います。バンドネオン=タンゴと捉えて良いんですかね?確かにリズムのキレが半端なく、その勢いにグイグイ引き込まれていきました。途中でさらにもう一人のゲスト、女性アコーディオン奏者の牧田ゆきも加わり、3人でアルゼンチンのフォルクローレ的なダンス音楽を披露してくれました。これも凄く良かったです! アンコールにはラウル・バルボサが一人で奏でる「群衆」。エディット・ピアフで知られる名曲ですが、元々はアルゼンチンの曲だそうですね。圧巻でした!

正直な話、こういう音楽を生で聴く機会ってなかなかありませんからね。私の場合どうしてもロック、ジャズ、黒人音楽に行ってしまいますから…。ですが今回は、アコーディオンのボタンがカチカチ鳴る音や、蛇腹のプシュ~っていう音まで聴こえるような位置で堪能出来ましたから、最高でしたね。異国の風や、異国の土の香りを感じることの出来る、素晴らしい演奏でした。




RAUL BARBOZA ET DANIEL COLIN / RENCONTRE A PARIS
ラウル・バルボサの最新作は、ダニエル・コランとの共演作。邦題は「パリの出会い~2大アコーディオニスト夢の共演~」。「群衆」も入ってます。異国情緒溢れるアコーディオンの音色がたっぷり楽しめますし、ヴォーカル曲も入っているので、親しみやすいですね。でもやっぱりこういう音楽は生で聴いた方が断然良かったりします。そして朗報。なんと12月に二人揃って来日するらしい! これは観たいですね~。でも12月は忙しいんですよね…。