Jonathan Wilson / Dixie Blur
おもむろに始まった2020年上半期アメリカーナ・ベスト・アルバム企画。第2回はジョナサン・ウィルソンです。第1回で紹介したローガン・レジャーと並んで、ここ最近、私が最も聴いているアルバムがこれです。
2014年にフジロックへ出演した時は、まだまり知られた存在ではなかったジョナサン・ウィルソン。もちろん、その時すでに、ソロ名義のアルバムを数枚リリースしていました。ですが彼が注目されたきっかけは、やはりファーザー・ジョン・ミスティのプロデューサーとしてかもしれません。ファーザー・ジョン・ミスティ名義としては初作となる2012年の「Fear Fun」から、既にジョナサン・ウィルソンはプロデューサー、マルチ・プレイヤーとして参加していました。ですが、注目度が上がったのは、その後の「I Love You, Honeybear」、「Pure Comedy」の成功からでしょう。それら傑作の影の参謀、コラボレーターとして、ジョナサン・ウィルソンの存在もクローズアップされてきました。
米ノースカロライナ生まれ。19歳の頃、LAに移り住み、伝説の地“ローレル・キャニオン”の空気を存分に吸いこみ、数多のセッションを繰り広げてきたというジョナサン・ウィルソン。ソロ・アーティストとしての本格デビューは、2011年のアルバム「Gentle Spirit」。そして今年2020年3月にリリースされた「Dixie Blur」は、彼の4枚目のソロ作になります。
ローレル・キャニオン的な古き良きロックの香りを、アシッドフォーク、フリーフォーク的なソフトサイケで包み込んだような作風は、デビュー時から一貫してはいますが、前作「Rare Birds」では、ダンスミュージック的なアプローチを見せ、幾分モダンになりすぎた印象があったものの、こちらの最新作は、よりフォーキーなサイケへと回帰しつつ、さらにカントリー/ブルーグラスなフレイバーを色濃く感じさせる、そんな作品に仕上がっておりまして、これがすこぶる良いのです!!それもそのはず、名フィドラー、マーク・オコナーを筆頭に、ケニー・ヴォーン、パット・サンソン、ラス・パールといった名うての猛者達が参加しています。
全14曲中、13曲がジョナサン・ウィルソン自身によるオリジナル曲。唯一のカヴァーが、いきなり1曲目「Just For Love」。クイックシルヴァー・メッセンジャー・サービスによる70年のサイケ名曲。こういうカヴァーを1曲目に持ってくるところが嬉しい。この曲や「New Home」、「Fun For The Masses」など、スローな曲の味わいには思わずうっとりとさせられる。こういう曲のでのラス・パールによるスティール・ギターはホント素晴らしい。一方、「So Alive」、「In Heaven Making Lave」、「El Camino Real」といったアップテンポな曲も最高で、マーク・オコナーのフィドルが鮮烈。特に「El Camino Real」での高速ソロにはやられます。
他にも、アーシーなグルーヴへの展開が格好良い「Oh Girl」、憂いを感じせながらテンポアップする「Riding The Blinds」、感傷的なアコギのアルペジオが印象的な「69 Corvette」、フォーク・ロック調の「Enemies」などなど。フォーキーを基調にしつつ、聴けば聴くほど楽曲それぞれの魅力が浮き上がってくる。そして全編に貫かれたジョナサン・ウィルソンの抑制を効かせた歌声が、ジワジワと脳内に滲みてくるよう。
ジョナサン・ウィルソンというアーティストの、作曲センス、プレイヤー資質、シンガーとしての魅力、そしてプロデュース能力、それらが結実した美しい作品。文句無しに格好良い!!
おもむろに始まった2020年上半期アメリカーナ・ベスト・アルバム企画。第2回はジョナサン・ウィルソンです。第1回で紹介したローガン・レジャーと並んで、ここ最近、私が最も聴いているアルバムがこれです。
2014年にフジロックへ出演した時は、まだまり知られた存在ではなかったジョナサン・ウィルソン。もちろん、その時すでに、ソロ名義のアルバムを数枚リリースしていました。ですが彼が注目されたきっかけは、やはりファーザー・ジョン・ミスティのプロデューサーとしてかもしれません。ファーザー・ジョン・ミスティ名義としては初作となる2012年の「Fear Fun」から、既にジョナサン・ウィルソンはプロデューサー、マルチ・プレイヤーとして参加していました。ですが、注目度が上がったのは、その後の「I Love You, Honeybear」、「Pure Comedy」の成功からでしょう。それら傑作の影の参謀、コラボレーターとして、ジョナサン・ウィルソンの存在もクローズアップされてきました。
米ノースカロライナ生まれ。19歳の頃、LAに移り住み、伝説の地“ローレル・キャニオン”の空気を存分に吸いこみ、数多のセッションを繰り広げてきたというジョナサン・ウィルソン。ソロ・アーティストとしての本格デビューは、2011年のアルバム「Gentle Spirit」。そして今年2020年3月にリリースされた「Dixie Blur」は、彼の4枚目のソロ作になります。
ローレル・キャニオン的な古き良きロックの香りを、アシッドフォーク、フリーフォーク的なソフトサイケで包み込んだような作風は、デビュー時から一貫してはいますが、前作「Rare Birds」では、ダンスミュージック的なアプローチを見せ、幾分モダンになりすぎた印象があったものの、こちらの最新作は、よりフォーキーなサイケへと回帰しつつ、さらにカントリー/ブルーグラスなフレイバーを色濃く感じさせる、そんな作品に仕上がっておりまして、これがすこぶる良いのです!!それもそのはず、名フィドラー、マーク・オコナーを筆頭に、ケニー・ヴォーン、パット・サンソン、ラス・パールといった名うての猛者達が参加しています。
全14曲中、13曲がジョナサン・ウィルソン自身によるオリジナル曲。唯一のカヴァーが、いきなり1曲目「Just For Love」。クイックシルヴァー・メッセンジャー・サービスによる70年のサイケ名曲。こういうカヴァーを1曲目に持ってくるところが嬉しい。この曲や「New Home」、「Fun For The Masses」など、スローな曲の味わいには思わずうっとりとさせられる。こういう曲のでのラス・パールによるスティール・ギターはホント素晴らしい。一方、「So Alive」、「In Heaven Making Lave」、「El Camino Real」といったアップテンポな曲も最高で、マーク・オコナーのフィドルが鮮烈。特に「El Camino Real」での高速ソロにはやられます。
他にも、アーシーなグルーヴへの展開が格好良い「Oh Girl」、憂いを感じせながらテンポアップする「Riding The Blinds」、感傷的なアコギのアルペジオが印象的な「69 Corvette」、フォーク・ロック調の「Enemies」などなど。フォーキーを基調にしつつ、聴けば聴くほど楽曲それぞれの魅力が浮き上がってくる。そして全編に貫かれたジョナサン・ウィルソンの抑制を効かせた歌声が、ジワジワと脳内に滲みてくるよう。
ジョナサン・ウィルソンというアーティストの、作曲センス、プレイヤー資質、シンガーとしての魅力、そしてプロデュース能力、それらが結実した美しい作品。文句無しに格好良い!!