ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

頂にロバート・グラスパー・エクスペリメント!

2017-02-28 23:21:47 | フェス、イベント
ROBERT GLASPER EXPERIMENT / ARTSCIENCE

2017年6月3日(土)、4日(日)、静岡県吉田公園にて開催される「頂 -ITADAKI- 2017 」へ、なんと、ロバート・グラスパー・エクスペリメントの出演が発表されました。

現在、第二弾まで発表されているようですが、そのロバート・グラスパー含め計10組は以下の通り。


Robert Glasper Experiment
渋さ知らズオーケストラ
GOMA & The Jungle Rhythm Section
高木正勝 –Candle Time-
EGO-WRAPPIN’
toe
EVISBEATSとPUNCH&MIGHTY
never young beach
OKAMOTO’S
THA BLUE HERB

良い感じじゃないですか~。ただ、この並びにロバート・グラスパーが入っているところが不思議と言えば不思議ですけど。でも過去にもジェシー・ハリスやデニス・ボーヴェルが出演してますからね。ここ最近は、毎年一組は海外からのアーティストが出演する感じなんですかね?

それにしてもロバート・グラスパーは日本のフェス、好きですよね。しかもジャズ・フェスティヴァルではないフェスに出演している。2014年はサマーソニック、2015年がタイコクラブ、2016年がフジロック、そして2017年は頂ですか。これもエクスペリメントの成せる技ですね。私は昨年のフジロックで彼らのライヴを観ましたが、森の中に染み入るような黒いフィーリングが圧巻でした。野外で見るロバート・グラスパー・エクスペリメント、良いですよ!

Go To The Mardi Gras !!

2017-02-27 11:16:14 | ニューオーリンズ
ニューオーリンズではマルディグラ真っ最中ですね。マルディグラとは、フランス語で「太った火曜日」を意味する謝肉祭のことで、今年は2月28日だそうです。世界三大カーニバルの一つに数えられるニューオーリンズでは、そのマルディグラの日に向けて連日パレードが街を行き交っているとか。あの巨大な山車が連なるカーニバルは一度生で観てみたいですけどね〜。という訳で、今回はニューオーリンズにおけるマルディグラの定番ソングを集めてみました。巨大フロート、仮想、仮面、ビース、かの地の賑わいに思いを馳せて。



Professor Longhair - Go To The Mardi Gras

まずはこれ。1959年、ロンに残された長髪教授の大名曲。


The Hawkettes - Mardi Gras Mambo

ネヴィル・ブラザーズの長兄アート・ネヴィルのデビュー曲としても知られるホウケッツの「Mardi Gras Mambo」。55年のリリース以降、後々までマルディグラのスタンダードとして親しまれています。


Iko, Iko - the Dixie Cups

ドクタージョンでも有名な「Iko, Iko」。オリジナルはこのディキシー・カップスのヴァージョン。さらにその原曲はシュガー・ボーイ・クロフォードの「Jack-A-Mo」であり、さらにその原泉はマルディグラ・インディアンのチャントにあるという。マルディグラのスタンダードを超え、ニューオーリンズを代表する曲。


Carnival Time-Al Johnson

こちらもマルディグラのカーニバルを代表する愛らしき名曲。1960年リリース。


Earl King - Street Parade

私の大好きなアール・キンング!! これもマルディグラのパレード・ナンバーとして定番化しているという名曲。ミーターズをバックに72年の録音。


BILL SINIGAI & THE SKYLINERS Second line part I

73年のStop Inc. によるカヴァーもマルディグラ・スタンダードとして有名なこの曲。こちらはオリジナルのビル・シニガルによるヴァージョン。1962年の録音。これぞニューオーリンズ!って感じですよね。なにせ曲名が「セカンドライン」ですから!




*昨日、ニューオーリンズのマルディグラ・パレードの最中、見物客にトラックが突っ込み、28人が負傷するという事故があったそうです。とても心配ですね。飲酒運転だそうですが。最終日まで、また事故がないように、無事に終わりますように。

今週のあれこれ

2017-02-26 19:00:07 | 今週のあれこれ
Dr. John ‎/ In The Right Place

さて、今週も色々ありました。

まずは日本時間で月曜の朝、NFLスーパーボウルに続いてのお楽しみ、NBAオールスターゲームがありました。もちろん私のお楽しみは試合ではありませんけどね。特に今年はニューオリンズ開催でしたから!とは言え、期待していた程ニューオリンズ色は濃くなかったんですけどね…。

さて、オープニング・セレモニーはThe Roots にDJ Jazzy Jeff とか、Jidenna やD.M.C. なんかも加わってめちゃくちゃ格好良かった! やっぱりバスケットボールってストリートカルチャーな感じしますからね、そういう雰囲気横溢なパフォーマンスでした! そしてカナダ国家はニッキ・ヤノフスキー。アメリカ国家がルイジアナ出身のジョン・バティステ!!ピアノ弾き語りによる国歌斉唱でしたが、しっとりとしていながら昂揚感もあって、素晴らしかった!!そしてその後にNBAオールスターゲームの紹介ビデオのようなものが流れたんですけど、バックの音楽がドクター・ジョンの「Right Place Wrong Time」。しかもドクターが酒場で演奏するシーンまでしっかりあるという。ギターは元ネヴィル・ブラザーズのエリック・ストラザーズ、ベースはアラン・トゥーサンのバンドでお馴染みのローランド・ゲリンでしたね~。実はつい先日、ドクター・ジョンがバック・メンバーを一新したというニュースがありまして、これは全世界に向けてのお披露目といった感じでしょうか? まあ、そんな大げさなものではないでしょうけど、格好良かったです! お楽しみのハーフタイム・ショーはジョン・レジェンド。ショー自体は素晴らしかったのですが、正直な話、ニューオーリンズ系のアーティストがぞろぞろ出てくるような現地感溢れるステージを期待していただけに少々残念な感もありましたが…。ま、それは私の趣味の話ですけどね。でも、バスケットってハーフタイム以外にも小さなインターバルが何度もあるじゃないですか、そこで若手の To be continued Brass Band が出てきて、ブラスバンド名曲を沢山披露していました。こういうところはやはりニューオーリンズ開催!!って感じでしたね。

グラミー賞主要部門を逃したビヨンセですが、コーチェラ出演のキャンセルが発表されました。まあ、妊娠のためのドクター・ストップでしょうから、仕方ないですね。一応来年のコーチェラへ出演予定とのことですので、元気な双子ちゃんを産んで、完璧なショーを見せてもらいたいですね!そして気になるのは、ビヨンセの穴を誰が埋めるのか?コーチェラとしても、ビヨンセは今年の目玉だったでしょうからね。並みのアーティストでは務まりませんよ…。どうするんでしょう。

そしてフェスとは言えば我らがフジロック!Mステに出演した小沢健二さんが、フジ出演を宣言したとか。ライヴでポロッと言っちゃうパターンはよくありますけど、お茶の間に向けてテレビで言っちゃうって新しいですね。それだけフジロックがメジャーになったってことですかね?そう言えば私の周りでも、エイフェックス・ツインを知ってる人はほとんどいなそうですけど、フジロック自体はみんな知ってそう。でも、何処でやってるかは知らない、みたいな。そんな感じ。なんか話が脱線しましたね。すいません。さて、そろそろありそうな第2弾、楽しみです!

桑原あい @渋谷タワーレコード

2017-02-25 23:33:31 | ジャズ
今日、2月25日、タワーレコード渋谷店にて、ジャズ・ピアニストの桑原あいさんのインストアライブを見て参りました。これまでも自身のトリオ・プロジェクトなど、意欲的な活動を続けてきた彼女。今月リリースされたばかりの最新作「Somehow, Someday, Somewhere」は、スティーヴ・ガッド(dr)、ウィル・リー(b)を招いたニューヨーク録音。いよいよ本格的に世界へ羽ばたく予感がうかがえる一枚ですね。

そんな桑原あいさんのインストアライブ、流石に大勢のお客さんが集まりまりました。大きなグランドピアノの前へ座る桑原さんが奏でる曲はミシェル・ペトルチアーニの「Home」。その小柄な体躯と細い腕から繰り広げられる情緒豊かな音色に、フロア中が聞き惚れている雰囲気。続く彼女のオリジナル作「Somehow It's Been A Rough Day」は、弦をミュートするなどトリッキーな技も見せつつ、アップテンポなノリの良さと、エレガントな流れを併せ持った素敵な演奏。

彼女のピアノが素晴らしいのは言わずもがなですが、意外とMCにも引き込まれました。ミシェル・ペトルチアーニへの思い、スティーヴ・ガッドとの出会い、曲が書けなかった時期の苦しみ、その時に背中を押してくれたクインシー・ジョーンズのことなど、謙虚に、そして熱く語ってくれました。なんか、桑原さんのソウルが伝わってくるようで、感動しました。最後は、そのクインシーとの経緯から生まれたという「The Back」。とても味わい深いスローナンバーに、うっとりでした。

4月には、新宿PIT INにて5日間連続ライヴ「Ai Kuwabara Shinjuku Pit Inn 5days "5 Souls"」が有るそうです。


さて、桑原あいさんのインストアライブは7階で行われたのですが、6階では女性シンガーソングライター、池間由布子さんのインストアライブが時間差で始まりまして、暖かく、ちょっぴり儚げな歌声に、思わず惹かれてしまいました。古き良きフォークの佇まいが素敵でした。「せんべい」という曲、良かったな~。

と言う訳で、今日は桑原あいさん、池間由布子さんの、インストアライブ2本立てでした!

2016年 ブライテストホープ

2017-02-25 14:20:44 | 2016年総括
相変わらずの遅延振りですが、2016年総括企画、今回はニューアーティスト。「ルーツな日記」が選んだ4組です。どうぞ!



KING / WE ARE KING
ミネアポリスのブルースマン、故パーシー・ストローザーを叔父に持つ、パリス&アンバー・ストローザー姉妹と、パリスと同じバークリー出身のアニータ・バイアスによるトリオ。2011年にEP「The Story」をリリースし、プリンスの前座に抜擢されてから5年、ようやくのアルバム・デビューがこの2016年の「WE ARE KING」。このトリオを2016年の新人というのもどうかと思いますが、やはりデビュー・アルバムのインパクトは大きかったですよ! 揺れるグルーヴにドリーミーなハーモニー、どことなくチープな音色が醸すネオな楽園感。私は80年代的なシンセ音はあまり好きではないのですが、これはハマりました。なんか不思議な中毒性があります。
https://www.youtube.com/watch?v=fBtw1MOG8Es




GALLANT / OLOGY
ワシントンD.C.生まれ、LAを拠点とする、ガラント。この人、脅威のファルセットの持ち主です。ファルセットと言うと、ソフトで女性的なイメージもありますが、この人はそれ以上に感情的。ソウルをファルセットに乗せて爆発させる。官能的でありながらエモーショナル。昨今の男性R&Bシンガーにはあまりそそられない私でしたが、この声にはゾクゾクさせられました。
https://www.youtube.com/watch?v=0rERFl-CYHE




L.A. SALAMI / DANCING WITH BAD GRAMMAR
UKから登場の黒人シンガー・ソング・ライター、L.A.サラーミ。フォーキーなSSW気質にトロリと染み入るブルース・フィーリング、ナイジェリアをルーツに持つというプリミティヴな感性とオルタナなロック・テイスト、それらを纏め上げるモダン且つヒップな感覚。これぞネオ・ブルースですよ! UKからは当たり前にジャンル越境する自由な感性を持ったシンガー・ソング・ライターが続々と登場していますが、いよいよ強くブルースを感じさせるアーティストの登場。4月には早くも来日が決まっています。楽しみです!!
https://www.youtube.com/watch?v=lBEZ7jiEhMc




FANTASTIC NEGRITO / THE LAST DAYS OF OAKLAND
英国からL.A.サラーミなら、ブルースの本場アメリカからはファンタスティック・ネグリートです。銃で襲われ、交通事故に遭いと、2度も死にかけた経験を持つという。そういう経験がブルースに作用したのかどうかはよく分かりませんが、デルタ・ブルースをロックに増幅したようなディープなブルース・ロックを聴かせてくれます。ゲイリー・クラーク・ジュニアの次ぎにくるのはファンタスティック・ネグリートか!?https://www.youtube.com/watch?v=KOxw_Y1RCoM

ヨンリコ・スコット @渋谷タワーレコード

2017-02-25 00:12:35 | インストアイベント
今日、2月24日、タワーレコード渋谷店にて、ヨンリコ・スコットのインストア・ライヴを観てまいりました。デレク・トラックス・バンドの屋台骨を結成当初から支え続けたドラマー。バンド名義としては最後の作品となった2010年の「ROADSONGS」まで在籍し、それ以降はシリル・ネヴィルのロイヤル・サザン・ブラザーフッドのリズムを担ってきました。もちろん、自身のバンドであるヨンリコ・スコット・バンドやソロ名義でのアルバムもリリースし、今回は最新ソロ作「LIFE OF A DREAMER」のプロモーション来日のようです。

17時開演とのことでしたが、少し前についたつもりがもう既に始まっていました。カフォンを叩くヨンリコ・スコットを中心に、エレキギター、アルト・サックス、ベース、キーボードという編成。バックは日本のミュージシャンで、ジャズ系の方達でしょうかね。そのせいか、セットリストも、ジャコ・パストリアスで有名な「The Chicken」、ジョン・コルトレーンの「Mr. P.C.」、フレディ・ハバードの「Red Clay」、チック・コリアの「Spain」と、ジャズ・カバーが中心。

始めは、ヨンリコ・スコットがドラムセットではなくカフォンだったのに少々がっかりもしましたが、このカフォンが驚く程に表情豊かで、流石はヨンリコ・スコット!!って感じでした。曲の展開ごとに雰囲気を変えるのはもちろん、メンバーを指差しながら自在にソロを振っていきつつ、そのソロのフレーズやフィーリングに併せてカフォンの表情も変えていく。実際、カフォンを叩くその手さばきも、カフォンの面上で色々細かい動きをしていまして、見ていて飽きませんでしたね。もちろん、メンバーにソロを振るだけではなくヨンリコ自身もソロをとる。スキャットしながらとか、アフリカ的な歌を歌いながらとか、力強くプリミティヴなリズムはパーカッションならではの魅力でした。

楽曲では、私の大好きな「The Chicken」をやってくれたのが嬉しかった! MCでジャコ・パストリアスの名前を挙げた上で、ちゃんとピー・ウィー・エリスについても語ってくれましたしね。あとジョン・コルトレーンの「Mr. P.C.」はデレク・トラックスの1st作でも取りあげられていた曲。もちろんデレクのヴァージョンとは大分違いましたが、そこがまた面白かったです。


バックのメンバーもそれぞれ良いソロを聴かせてくれましたが、少々遠慮がちというか、もう少し白熱した感じになるともっと良かったのですが。まあ、その分、ヨンリコ・スコットが独り気を吐いた感じで、彼のエンターテイナー振りも印象的でした。ちょっとしたブレイクに立ち上がってカフォンの前で一回転したり、終了間際にはカフォンを肩の辺りまで持ち上げて叩いてみせたりで、拍手喝采でした。最後はメンバー全員を中央に集め、肩を組んで観客達へしっかりお辞儀。それもヨンリコの人柄を伺わせる場面でしたね。


終了後はサイン会というか、ファンの人達と談笑して盛り上がっていました。英語のダメな私にはちょっとハードル高かったな…。

クライド・スタブルフィールド R.I.P.

2017-02-24 16:21:45 | ソウル、ファンク
The J.B.'s ‎/ These Are The J.B.'s

2017年2月18日、ジェイムズ・ブラウンの黄金時代を支えた名ドラマー、クライド・スタブルフィールドが亡くなられました。享年73歳。腎不全でした。これまで腎臓病による長い闘病生活を続けていました。




1964年、ジェイムズ・ブラウンは「Out Of Sight」により、リズム&ブルースをファンクへと進化させました。それを皮切りに「I Got You」、「Papa's Got A Brand New Bag」と、革新的なファンク名曲を連発します。この頃、ドラムセットにはメルヴィン・パーカーが座ってました。メイシオ・パーカーのお兄さんですね。しかしメルヴィン・パーカーは65年末頃に兵役に取られてしまいます。その穴を埋めたのがジョン・ジャボ・スタークスと、クライド・スタブルフィールドでした。2人は同時期にジェイムズ・ブラウンのオーケストラに在籍し、その役割を分け合いました。それは60年代後半から70年代初頭にかけて。まさにジェイムズ・ブラウン黄金時代を支えたその両輪が、ジャボとクライドでした。

ジャボは「Licking Stick-Licking Stick」、「Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine」、「Soul Power」、「Hot Pants」等でドラムを叩き、一方のクライドは「Cold Sweat」、「I Got The Feeln'」、「Say It Loud - I'm Black And I'm Proud」、「Mother PopCorn」、「Funky Dramer」、「Get Up, Get Into It And Get Involved」等にファンク・ビートを提供しました。

特筆すべきは「Cold Sweat」です。ドラム、ベース、ギター、ホーンの絡み合いが一種独特のポリリズミックなファンク・グルーヴを生み出し、そこには明確な曲展開があるとは言え、ワン・コードによる中毒性の萌芽も見られる。そのリフはおそらく数あるファンク曲のなかでも最も有名なリフと言えるでしょう。これぞ、ザ・ファンクです!! その根幹を成すのはもちろんクライドのドラム。タメてつんのめってを繰り返し、グルーヴに吸い付くような粘りを持ったビートは見事としか言いようがありません。それにバーナード・オーダムのベース、ジミー・ノーランのギター、ピー・ウィー・エリスやメイシオ・パーカー等のホーン隊がまるでパーカッションのように絡み合う。リリース当時このグルーヴがどれだけ斬新だったか、それは現在ではなかなか実感出来ないかもしれませんが、おそらくは相当な衝撃だったことは間違いなく、まさに新しいJBファンクの時代の幕開けとなった名曲です。またこの曲は、シングル・リリースに際し、JBお得意のAB面に股がってのパート1、2収録になっておりまして、そのパート2ではメイシオ・パーカーのサックス・ソロに続いてクライドのドラム・ソロも収められているんです。それは”ソロ”と言うより”ブレイクビーツ”と呼んだ方がしっくり来る代物でして、まさに元祖ヒップホップです。

この後も、スピード感たっぷりに刻みまくるビート・パターンがリフ化している「I Got The Feelin'」、鋭角的な切れ味が楽曲の鋭さを物語る「Say It Loud, I'm Black And I'm Proud」、スウィンギーにハネまくる「Mother Popcorn」など、クライドのドラム無しには語れないJBファンクの名曲目白押しですが、やはり”ブレイクビーツ”という点で避けて通れないのが「Funky Dramer」です。

「Funky Dramer」という曲名からしてクライド・スタブルフィールドの為に作られた曲としか思えませんし、そのまま彼の名詞代わりともなったこの曲。「Cold Sweat」のおよそ3年後、1970年のリリース。もはや曲展開らしい展開は存在せず、7分間に渡ってジャジーなファンクの垂れ流しです。しかしこれこそJBファンクの極致!! そしてやはり後半にクライドのドラム・ブレイクが入ってまして、それこそヒップホップ界隈を中心に最もサンプリングされた曲の一つと言われる名演中の名演です。ブレイクになった瞬間にハッとさせられる程、シンプル且つクールなビートに内包された黒いグルーヴ。演奏から何十年という間、ブラック・ミュージック及びダンス・ミュージックにサンプリングされ続け(その回数は1,000回を超えるとも)、その発展に寄与した、まさにファンク・ビートの代名詞です。



さて、いつの時代のファンクが好きか? という話になると、人それぞれの好みがあるかと思いますが、私はクライド・スタブルフィールドが活躍した60年代後半のJBファンクが一番好きです。ファンクがファンキーだった時代。そこに果たしたクライドの功績は大き過ぎる程大きいことは言うまでもありません。まさにミスター・ファンキー・ドラマー!!


近年は、マスターズ・オブ・グルーヴや、ファンクマスターズといったプロジェクトで来日していたクライド・スタブルフィールド。私は1999年に、フレッド・ウェスリーがJB’s名義でジャボ・スタークスとクライド・スタブルフィールドのツイン・ドラムを伴って来日した際に見に行きました。もう既に記憶の彼方へとなりつつありますが、目の前で繰り広げられるビート・マスター達の競演に感激したのを覚えています。


クライド・スタブルフィールドさん、安らかに。




*写真のアルバムは、2014年のBLACK FRIDAY/RECORD STORE DAY 限定商品としてアナログオンリーでリリースされた、The J.B.'s の未発表アルバム。録音は1970年。The J.B.'s というと、その後にフレッド・ウェスリーを中心にしたバックバンドとして名を馳せますが、そもそもオリジナルのThe J.B.'s は、70年に新規加入したブーツィー・コリンズやキャットフィッシュ・コリンズを中心としたバンドでした。このアルバムは、そのオリジナルのThe J.B.'s による録音で、KINGからリリースされる予定だったもののお蔵入りになっていた幻の盤。レコーディング・メンバーは以下のような感じ。

Bass – William "Bootsy" Collins
Guitar – Phelps "Catfish" Collins
Drums – Clyde Stubblefield, Frank "Kash" Waddy
Congas – Johnny Griggs
Flute, Baritone Saxophone – St. Clair Pinckney
Tenor Saxophone – Robert McCullough
Trumpet – Clayton "Chicken" Gunnels, Darryl "Hasaan" Jamison
Organ – James Brown
Piano – Bobby Byrd






James Brown - Cold Sweat / Ride the Pony (medley)

こちらは68年のライヴから「Cold Sweat」。JBによる名文句 "give the drummer some" の掛け声に呼応するが如く、スタジオ録音よりは若干ソロらしいソロを叩く若きクライド・スタブルフィールドの勇姿は6分過ぎから。

BRIT Awards 2017 発表!!

2017-02-23 15:34:14 | ルーツ・ロック
DAVIE BOWIE - BLACKSTAR

英国のグラミー賞とも言われるブリット・アワードの受賞者が発表されました。各部門の受賞者は以下のような感じ。



MASTERCARD BRITISH ALBUM OF THE YEAR
DAVIE BOWIE - BLACKSTAR


BRITISH SINGLE
LITTLE MIX - 'SHOUT OUT TO MY EX'


BRITISH GROUP
THE 1975


BRITISH MALE SOLO ARTIST
DAVID BOWIE


BRITISH FEMALE SOLO ARTIST
EMELI SANDÉ


BRITISH BREAKTHROUGH ACT
RAG'N'BONE MAN


BRITISH ARTIST VIDEO
ONE DIRECTION - 'HISTORY'


INTERNATIONAL GROUP
A TRIBE CALLED QUEST


INTERNATIONAL MALE SOLO ARTIST
DRAKE


INTERNATIONAL FEMALE SOLO ARTIST
BEYONCÉ


BRITS GLOBAL SUCCESS AWARD
ADELE



やっぱり最優秀アルバムはデヴィッド・ボウイの遺作「BLACKSTAR」ですね!! グラミー賞でも「BLACKSTAR」関連で5部門という、アデルと並んで最多部門受賞でしたから、これは誰もが認める2016年を代表する作品になりましたね。生前にこの栄誉を伝えられなかったのがとても残念ですけどね…。授賞式では御子息のダンカン・ジョーンズがトロフィーを受け取ったそうです。プレゼンターはノエル・ギャラガーだったとか。

ちなみにデヴィッド・ボウイが受賞した『MASTERCARD BRITISH ALBUM OF THE YEAR』と『BRITISH MALE SOLO ARTIST』の2部門には、マイケル・キワヌーカもノミネートされてまして、秘かに応援していたんですけどダメでしたね。でもこれは仕方ない。

そして、先日のグラミー賞で主要3部門独占の記憶も新しいアデルですけど、そのアルバム「25」は2015年のリリースなので、既に昨年のブリット・アワードで歴代最多対となる4部門を受賞しており、今年は対象外なんです。それでも昨年に引き続き『BRITS GLOBAL SUCCESS AWARD』を受賞していますから流石です。


他では、全体的にお膝元の英国関連はポップな印象なのに対し、インターナショナル部門はビヨンセ、ドレイク、ア・トライブ・コールド・クエストと真っ黒なのが面白い。それにしても、ビヨンセが受賞できて良かった!! ちなみにビヨンセが受賞した『INTERNATIONAL FEMALE SOLO ARTIST』には妹のソランジュもノミネートされていて、姉妹対決だったんですけど、そこは順当にビヨンセでしたね。


リトルミックス、コールドプレイ、ブルーノ・マーズ、スケプタ、エド・シーランなどが出演したという授賞式のパフォーマンスも楽しみですけど、どこか放送してくれますかね?

猫ジャケ

2017-02-22 20:19:28 | 余話
BOB DYLAN / BRINGING IT ALL BACK HOME

今日、2月22日ってネコの日だそうですね。ニャー、ニャー、ニャー!ってことで。いつからそうなったのでしょう? 今年からですか? なんかツイッター等に猫ジャケを上げるのが流行ってるようで。

という訳で、私も時流に乗って猫ジャケを一つ。って言うか、にわかにはこれしか思い浮かびませんでした。猫ジャケと言うには、猫が小さくてごめんなさい…。でも、カメラ目線のこのネコちゃんが、意外と好きなのです。

ジュニー・モリソン R.I.P.

2017-02-21 15:39:29 | ソウル、ファンク
JUNIE / BREAD ALONE

2017年1月21日、P-FUNKで活躍した、ウォルター・ジュニー・モリソンが亡くなられました。私がネットで訃報を知ったのは数日前でしたが、WIKIによりますと、亡くなられたのは1月21日だそうです。62歳でした。


1970年代初頭にオハイオ・プレイヤーズに参加し、彼らの初期作品に貢献しました。77年以降はP-FUNKに加わり、中核メンバーとして活躍しました。プロデューサー、アレンジャー、ライターとしても腕を振るい、キーボード、ギター、ベース、ドラムス、そしてヴォーカルと、なんでもこなすマルチプレイヤーでした。その凄腕振りと変態的な音楽センスは、後々のシーンに多大な影響を与えました。

ジュニー・モリソンが関わった代表作と言えば、やはりファンカデリックの「ONE NATION UNDER A GROOVE」ですね。タイトル曲「One Nation Under a Groove」も、ジョージ・クリントン、ゲイリー・シャイダー、ジュニー・モリソンの共作です。

また、後続への影響で言えば、例えばジェイZ のヒット曲「Brooklyn's Finest」は、ジュニー・モリソン時代のオハイオ・プレイヤーズの「Ecstasy」をサンプリングしてたり。ソランジュが最新作「A SEAT AT THE TABLE 」に、彼をリスペクトし捧げた「Junie」という曲を収録していたり。ソランジュはジュニーの死に対し、彼を讃えた文章を発表したりもしていました。



写真はジュニー名義によるジュニー・モリソンのソロ作。80年の作品。シンセがウニョウニョなファンクはもちろん、ジャンル越境なポップさと、どことなく人懐っこい彼のヴォーカルも味わい深い。


偉大なるファンク・マスター、ウォルター・ジュニー・モリソンさん、安らかに。