ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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アラン・トゥーサン@Billboard Live TOKYO その2

2007-10-26 15:32:08 | ソウル、ファンク
ALLEN TOUSSAINT'S JAZZITY PROJECT / GOING PLACES

前回からの続き、アラン・トゥーサンのライブ(10月22日ビルボードライブ東京、1stショウ)後編です。

まさかの「Lady Marmalade」の後はトゥーサンのピアノ・ソロ。確か始まりは「Sweet Georgia Brown」だったと思います。そこから知ってるような知らないようなフレーズが変幻自在に繰り出されます。アドリブなのかジャズやクラシックのフレーズを紡いだものなのか、とにかく流麗でエレガント。

クラシック的な演奏の後に彼の指が奏でたのはあの「Tipitina」。また一気にニューオーリンズの世界へと引き戻されます。そして「Tipitina」をマイナー調に改作した「Tipitina And Me」へ移り、さらに「Tipitina」へ戻ったと思ったらすぐに「Big Chiaf」へ展開。ちょっとしたプロフェッサー・ロングフェア・メドレーです。自らもニューオーリンズ・ミュージックのパイオニアであり、既に大御所と言われるほどの地位にありながら、先輩へのリスペクトの気持ちを忘れない姿勢も素晴らしいです。

さて古き良き時代に戻った後はまたがらっと雰囲気を変えてクールなジャズ・ナンバーを。04年にトゥーサンはおそらくキャリア初となるジャズ・アルバム「GOING PLACES」をリリースしていますが、そこからの選曲でしょうか? R&Bとは明らかに異なるシックな演奏に酔わされました。

さてさて、この次の曲なんですが、記憶が曖昧です。と言うより覚えていません。「Everything I Do Gonna Be Funky」を演ったのですが、その前にもう一曲あったと思うんです。「Happiness」とか演りましたっけ? う~ん思い出せません…。

さて、気を取り直して。コンサートもいよいよ終盤。メンバー紹介を挟みトゥーサンのMC。MCの内容は英語なのでよく分かりませんでしたが、東京は素晴らしい!みたいなことを言ってたのでしょうか?最後にやたら流暢に「トキオ、信じられな~い!」と言って笑いを取ってました。

そして「I'm Gone」。これは意外な選曲。この位置にこの曲ですか?これってトゥーサンの代表曲なのでしょうか?私はさほど注目したことがありませんでした…。74年にトゥーサンがプロデュースしたキング・ビスケット・ボーイのアルバムに収録されてる曲です。でも曲調はもろ60年代風なので、その時代に誰かがヒットさせた曲なのでしょうか? いかにもニューオーリンズ・クラシック的な愛嬌の感じられる良い曲ですけどね。

本編最後は待ってましたの「Southern Night」。正真正銘の代表曲中の代表曲。大傑作ソロアルバム「SOUTHERN NIGHT」からのタイトル曲です。ほとんどピアノ弾き語りに近い形でしっとりと披露。エフェクターの掛けられた歌声が心に染み入りました。やっぱりこの曲は演らないとね。

そして大きな拍手を受けながらトゥーサンが一旦退場。バンド・メンバーはその場に居残り、客席にアンコールを促します。一際歓声が大きくなったところでトゥーサンが再登場。最後は「Fun Time」。トゥーサンがプロデュースしたジョー・コッカーの78年作「LUXURY YOU CAN AFFORD」の一曲目を飾った曲です。これも名曲ですね。最後に相応しいファンキー&ソウルフルな演奏で熱く終了。

約1時間20分程だったでしょうか? 昨年のピアノ弾き語りで聴かせたトゥーサンの繊細でいて転がるようなピアノ・タッチと、高音、低音、それぞれで味のある暖かい歌声はそのままに、バンドとの息の合った演奏でトゥーサン流R&Bの素晴らしさを魅せてくれた今回のライブ。途中で披露されたハーマン・ルボー(ds)と、クリス・セヴェリン(b)のソロもスリリングでカッコ良かったですし、女性客にプレゼントを渡すトゥーサンの紳士的な姿も印象的でした。観客の少なさゆえの盛り上がりの薄さが残念ではありましたが、それでもホットなステージを堪能させてもらいました。

ま、一つ残念なのは、私の大好きな「Brickyard Blues」を演ってくれなかったことでしょうか。「Soul Sister」も、「Night People」も…。それでも全編名曲のオン・パレードでしたからね。名曲を多く作りすぎるのも困ったものです。ま、それらはまた次の来日に期待しましょう。もうすぐ70歳とはいえ、まだまだ元気でしたから!


*既に記憶が曖昧なので、曲目等間違っていましたらゴメンナサイ…。一応メモを取りながら観たのですが、そのメモが解読不能だったりするので…。

*コンサート終演後にはサイン会が催され、私も持っていなかったジャズ・アルバム「GOING PLACES」(写真)をゲットし参加しました。サイン会は長蛇の列が出来るほど大盛況。トゥーサンはサインの他、トーン記号まで書いてくれました。握手もしてくれましたが、相変わらず「サンキュー」しか言えない私でした。帰宅後このアルバムを聴きました。名義はALLEN TOUSSAINT'S JAZZITY PROJECTになっています。まっとうなジャズ・アルバムです。往年の名曲「All These Things」や「Ruler Of My Heart」が粋なジャズ・アレンジで収められていたり、なかなか楽しめます。リズム隊は今回来日した二人です。あらためてライブを支えた二人の力量を感じさせられました。また、トゥーサンのピアノをじっくり堪能出来るアルバムです。バック・ミラーにトゥーサンの顔がかすかに映るジャケ写も秀逸。


~関連過去ブログ~ お茶のお供にどうぞ。

 07.10.25 アラン・トゥーサン@Billboard Live TOKYO その1
 06. 6. 2 アラン・トゥーサン・ライブ!(06年6月、原宿BLUE JAY WAYでのライブ) 

アラン・トゥーサン@Billboard Live TOKYO その1

2007-10-25 09:51:43 | ソウル、ファンク
10月22日、ビルボードライブ東京へアラン・トゥーサンを観に行ってきました! 彼のソロ作からはもちろん、コンポーザー/プロデューサーとして腕を振るった名曲の数々が軽やかで美しいピアノとまろやかな歌声で次々に繰り出される、素晴らしいステージでした。私はアラン・トゥーサンを観るのは2度目なのですが、前回は昨年、原宿でのピアノ弾き語りでした。しかし今回はバンドを率いての来日なので、また違った魅力を味わうことができました。

さて、私が観たのはその日の1stショウ。月曜日の夕方6時半開演ということもあってか、客席はちょっと寂しい感じ。100人も入ってなかったのではないでしょうか。そのため私は一番前のかなり良い席に座ることが出来たうえに、4人用テーブルを一人で使うというかなりゴージャスな状況でした。

開園時間になり、まずバック・メンバーが登場。ハーマン・ルボー(ds)、クリス・セヴェリン(b)、ブライアン‘ブリーズ’カヨリ(sax)の3人というコンパクトなバンド。いつの頃からトゥーサンをサポートしている人達なのかは私の知るところでは無いのですが、トゥーサンの96年のソロ作「CONNECTED」に既に3人の名がクレジットされていますので、かなり長い付き合いなのかもしれませんね。

このバック・バンドが挨拶代わりにインストを一曲披露。安定感のあるリズム隊にソウルフルなサックス、期待が高鳴ります。そしていよいよアラン・トゥーサンが登場。スタインウェイのグランドピアノの前に座り、ニューオーリンズに関する言葉が散りばめられたノリの良い曲を歌い始めました。優しく転がるようなピアノのタッチと暖かい歌声、あぁ、アラン・トゥーサンです! でもこの曲なんでしょう? いきなり知らない曲…。サビで「~ パーティー・ゴーイン・オン ~」と歌っていたことから察すると、最近フェスなどで披露していると噂の新曲「There's A Party Going On」でしょうか?(違っていたらゴメンナサイ)

続いて早くも「Yes We Can」の登場です。さらに「Get Out Of My Life, Woman」、2曲ともリー・ドーシーが歌った往年の名曲です。特に「Yes We Can」は今やトゥーサンの代名詞といった感じの1曲。そんな代表曲の序盤での登場に少々驚きましたがそれはまだ序の口でした。なにせ次に演奏されたのが、私にとってこの夜のハイライトの一つ「With You In Mind」でしたから。

アラン・トゥーサンと言えばセカンドライン・ファンクですが、実はスロー・ナンバー製作の名手でもあります、「With You In Mind」はそんなスロー・ナンバーの最高傑作の一つ。アラン・トゥーサンが74年にプロデュースしたフランキー・ミラーのアルバム「HIGH LIFE」に提供された曲で、後にトゥーサン自信のセルフ・カヴァーも録音されています。私はそのトゥーサンのヴァージョンが大好きなのですが、生で聴けて感無量でした。いやはや素晴らしかったです。

バラードでうっとりさせられた後は楽しい60年代メドレー。「A Certain Girl」~「Mother-In-Law」~「Fortune Teller」~「Working In The Coal Mine」~そして「A Certain Girl」に戻って終了。アーニー・K・ドゥ、ベニー・スペルマン、リー・ドーシーが歌った愛すべき名曲達。こういうメドレーは昨年の原宿でのピアノ弾き語りライブでも演っていたので、ライブではお馴染みなのかもしれませんね。

楽しいメドレーの次はまたうっとりです。大名曲「What Do You Want The Girl To Do ?」。トゥーサンの最高傑作と名高いアルバム「SOUTHERN NIGHT」に収録された曲で、ボズ・スキャッグズやボニー・レイットのカヴァーでも知られますね。この選曲も嬉しかった!

続いてまさかの「Lady Marmalade」! 74年にトゥーサンがプロデュースしたラベルの大ヒット曲。これは正直以外でした。もちろんトゥーサン関連で最も成功した曲と言えるでしょうが、ちょっとトゥーサン・カラーと違う感じがしますよね?もちろん大好きな曲ですけど。ここではさすがに歌は最初と最後にコーラス部分をちょっと歌っただけで基本的にはインストで披露。サックスのブライアン‘ブリーズ’カヨリが大活躍。パティ・ラベルのフェイクを彷彿とさせる熱いブローで盛り上げました。

実はこの曲に限らず始終ブライアン‘ブリーズ’カヨリは美味しかったです。ほとんどの曲でトゥーサンとソロを分け合い、バックコーラスも担当し、立ち位置もステージ中央でしたし、ギタリストが居ない分も一人でカヴァーしていた感じです。でまた彼のサックスが良いんですよ! 彼はこの夜の殊勲賞ですね!

この後ライブはトゥーサンのルーツが垣間見えるような深い世界へと入っていくのですが、ちょっと長くなったので続きはまた次回。

*既に記憶が曖昧なので、曲目等間違っていましたらゴメンナサイ…。一応メモを取りながら観たのですが、そのメモが解読不能だったりするので…。

ダニエル・コラン

2007-10-22 00:40:31 | ワールド・ミュージック
今日は渋谷タワーレコードへ行ったのですが、偶然にもアコーディオン奏者ダニエル・コランのインストア・ライブが有ったので、これ幸いとばかり観てまいりました。正直な話、ダニエル・コランさんについても、彼が奏でる音楽についてもまったく知らなかったのですが、生で本物のアコーディオン演奏が聴けるならと。

そして席に座り待つことしばし。頂いたフライヤーを見ると、ダニエル・コランはギタリストのドミニック・クラヴィクと共に先日「パリ・ミュゼット 2」というアルバムをリリースしたそうで、そのCDのプロモーション来日ということでしょうか。そのフライヤー曰く、ダニエル・コランは1941年生まれの現在一番活躍しているミュゼット・アコーディオン奏者で、その早弾きのテクニックから「ターボ」というあだ名を持っているとか。そしてドミニック・クラヴィクはフランスを代表する歌手アンリ・サルヴァドールの専属ギタリストを長く務めた実力派で、ミュゼット・ギタリストの第一人者だそう。

定刻になり司会者の紹介でダニエル・コランがにこやかに登場。今回ダニエル・コランをサポートするのは福島久雄という日本人ギタリスト。ダニエル・コランへのインタヴューを挟みながらニュー・アルバムからの曲を中心に二人はアンコールを含めて7曲程披露。フランスらしいお洒落な雰囲気とどこか物悲しい音色に耳を奪われました。曲は「男と女」とか「恋は水色」とか「バラ色の人生」とか有名な曲ばかり。なんかセーヌ川のほとりで聴こえてきそうなアコーディオンとガット・ギターの調べでした。とは言えもちろん私はフランスには行ったことがありませんが…。

それにしてもダニエル・コランの指は神業的に動いていました。右手も左手も指を細かいボタンの上で泳ぐがごとく滑らし、哀愁と暖かさを感じる旋律と音色を魔法のように響かせてくれました。やっぱり生演奏は良いですね。アンコールの「パリの空の下で」にう~っとりでした。偶然とは言え極上の午後を過ごさせて頂きました。

帰宅後、”ミュゼット”についてもう少し詳しく知りたいなと思い、「パリ・ミュゼット 2」の発売元であるリスペクトレコードのサイトを調べてみたのですが、そこに簡単な紹介が載っていました。それによりますと、パリ・ミュゼットとはパリの下町で長く愛された音楽であり、シャンソンと並んでフランスを代表する音楽だそうです。19世紀、産業革命の影響でパリへ流れたイタリア移民たちが、アコーディオンをパリに持ち込み、それに伴いダンスホールも増え、20世紀初頭にはアコーディオンをメインにしたミュゼット音楽が大流行したそうです。それ以来色々な音楽のリズムや要素を取り入れながら愛され続けるフランスの大衆音楽、パリ・ミュゼットだそうです。なるほど~。

さらにジャンゴ・ラインハルトも多くのミュゼット・ナンバーを演奏しているとか。そう言えば今日ギターを弾いていた福島久雄さんは普段はジプシー・スウィングのバンドでギターを弾いてるそうです。この辺の音楽のつながりも面白いですね。

ちなみにダニエル・コランは12月に再度来日し「フレンチ・カフェ・ミュージック パリ・ミュゼット・クリスマス」というコンサートを行うそうです。なんかお洒落なクリスマスが楽しめそうですね。