ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

2013年 ベスト・アルバム 11位~20位

2014-05-31 11:37:17 | 2013年総括
第11位

EMMYLOU HARRIS & RODNEY CROWELL / OLD YELLOW MOON
エミルー・ハリスとロドニー・クロウェルの共演盤。これは円熟の味わい。雄大なカントリー・フレイバーとそれを包み込むような二人の歌声は相当滲みます。こんなの悪い訳がありませんよね。


第12位

THE HOWLIN' BROTHERS / HOWL
2013年、一番の収穫はこのグループだったかもしれません。ストリングス・トリオなのでオルタナ・ブルーグラス色が濃いですが、それだけではなく、ブルースやゴスペル、ニューオーリンズまでを野性味たっぷりな躍動感で料理するつわもの達です。とは言え正直、どういう人達なのか知らなかったり…。ナッシュビルのグループのようですが、新人バンドなんですかね?裏ジャケの写真は3人とも相当いなたい雰囲気で、それもまた堪りません!!


第13位

AARON NEVILLE / MY TRUE STORY
キース・リチャーズとドン・ウォズが共同プロデュースしたアーロン・ネヴィルのドゥ・ワップ集。そう聞いただけでワクワクしちゃいますよね。バックを固めたメンバー達もなかなか興味深い顔ぶれですが、何よりアーロンの歌声が素晴らしい!!


第14位

DUMPSTAPHUNK / DIRTY WORD
作品を重ねるごとにグルーヴに深みを増すようなダンプスタファンク。彼らのヘヴィ且つタイトなファンクネスこそ現行ニューオーリンズ・ファンクの最新型。ヴォーカルも披露する新加入のニッキー・グラスピー(ds)の存在感も頼もしい。


第15位

ZARA MCFARLANE / IF YOU KNEW HER
ジャイルズ・ピーターソンが絶賛する女性ジャズ・シンガーの2nd作。深いエモーションを内包しながら、ジャジーに揺れつつも芯のある歌声にただただ聴き惚れます。クールなサウンドも素敵。


第16位

BEN HARPER & CHARLIE MUSSELWHITE / GET UP !
これは技有りな共演作。ベン・ハーパーのスピリチュアルなオーガニック・グルーヴに、チャーリー・マッスルホワイトのハープがよりヴィンテージなブルース臭を染み込ませる。この組み合わせでのライヴが観たかった!


第17位

PATTY GRIFFIN / AMERICAN KID
バディ・ミラーと共にロバート・プラントのバンドにも参加していたパティ・グリフィン(って言いますかプラントと結婚したと噂になっていましたが、あれは本当だたのでしょうか?それとも単なる噂?)のソロ作。これぞアメリカーナ!いい声してますよ~。ちなみにゲストでプラントも参加。


第18位

PRESERVATION HALL JAZZ BAND / THAT'S IT!
聖地プリザ ヴェーション・ホールにて古き良きニューオーリンズ・ジャズを守り続けて50年を過ぎるプリザ ヴェーション・ホール・ジャズ・バンド。今作は彼らにとって初の全曲オリジナルとなる野心作。プロデュースはなんと、マイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェームス!


第19位

ALESSI'S ARK / THE STILL LIFE
20代の若き英女性シンガー・ソング・ライター。ポップの奥に佇むフォーキーな魅力に惹かれます。何よりアレッシーズ・アークの歌声に参っています。来日も決まりましたからね。楽しみです。


第20位

JOSE JAMES / NO BEGINNING NO END
ロバート・グラスパー同様、ようやくホセ・ジェイムスの格好良さが解りかけてきました。90年代に初めてディアンジェロを聴いた時の感覚に似ているかも。あの時も初めはクール過ぎて理解出来なかったけど、数年かけてジワジワ来ましたからね。

2013年 ベスト・アルバム 21位~30位

2014-05-30 19:52:08 | 2013年総括
第21位

BUDDY GUY / RHYTHM & BLUES
奇跡の絶倫ブルース。もう、どんどん突っ走ってください!!

第22位

CEDRIC BURNSIDE PROJECT / HEAR ME WHEN I SAY
RLバーンサイドの血を受け継ぐ北ミシシッピの次世代が放つ快作。

第23位

MAVIS STAPLES / ONE TRUE VINE
流石の歌声!! プロデュースは前作に引き続きウィルコのジェフ・トゥイーディー。

第24位

TEDESCHI TRUCKS BAND / MADE UP MIND
デレク・トラックスのスライド・ギターは別格ながら、バンドとしての纏まりも素晴らしい。ライヴに行き損ねたのが悔やまれます。

第25位

ALLEN TOUSSAINT / SONGBOOK
トゥーサンの魅力がしっかり閉じ込められたソング・ブック。新曲も良い!

第26位

WILLIE NELSON / TO ALL THE GIRLS
ウィリー・ネルソンが女性シンガーをゲストに招いてのデュエット集。

第27位

CARRIE RODRIGUEZ / GIVE ME ALL YOU GOT
チップ・テイラーとのデュオ作で知られる才女キャリー・ロドリゲス。ちょっぴり舌ったらずな歌声は相変わらずスウィート・カントリーな魅力。

第28位

ROBERT GLASPER EXPERIMENT / BLACK RADIO 2
グラスパーの格好良さがようやく分りかけてきました。

第29位

TIN MEN / AVOCADO WOO WOO
ギター、ウォッシュボード、そしてスーザフォン。ニューオーリンズの凄腕トリオによる楽しくも愛らしい、哀愁たっぷりなごった煮音楽。

第30位

BIRDLEGG / GOOD TIME BLUES
ダイアルトーンが送り出すテキサス印のローカル・ブルース。いぶし銀な味わいが堪りません!



という訳で、もう5月末ですが昨年の総決算、『「ルーツな日記」的ベストアルバム30』です。やっと辿り着きました~。ま、1位はまだ先ですが…。

2014 Blues Music Awards

2014-05-29 19:53:23 | ブルース
BILLY BOY ARNOLD, CHARLIE MUSSELWHITE, MARK HUMMEL, SUGAR RAY NORCIA & JAMES HARMAN / REMEMBERING LITTLE WALTER

2014年の『Blues Music Awards』が5月8日に発表になったようです。数年前までは『W.C. Handy Blues Awards』という名で親しまれてきたブルースの祭典。今年の『Album of the Year』に選ばれたのは、新旧のハーピスト5人が集まりシカゴ・ブルースの伝説リトル・ウォルターをトリビュートしたライヴ盤「Remembering Little Walter」(写真)でした!!

その新旧5人のハーピストとは、ビリー・ボーイ・アーノルド、チャーリー・マッスルホワイト、マーク・ハメル、シュガー・レイ・ノーシア、ジェイムズ・ハーマンという凄腕達。まあ、新旧と言っても一番若くてマーク・ハメルが58歳ですけどね。シュガー・レイ・ノーシアもほぼ同年代ですね。そして最も年配なのがビリー・ボーイ・アーノルドで78歳です。

やはりビリー・ボーイ・アーノルドの存在は光ってますよね。この中で唯一生粋のシカゴ・ブルース・マンですし、故リトル・ウォルターとは5歳しか歳も違いません。「You're So Fine」での軽快な歌声とハープ・ブロウはとても80歳近い方とは思えません。そしてもう一方強烈な印象を残しているのがチャーリー・マッスルホワイト。スロー・ブルース「Just A Feeling」での太く深いハープの音色とそれに呼応するような渋い歌声は相当滲みます。

それにしても、さすがにハープが主役なアルバムだけあって、ハープが良い音で録られてるんですよ! 冒頭、「I Got To Go」でのマーク・ハメルの吹くハープが開口一番に唸りを上げた瞬間に、ブルース・ハープの世界に吸い込まれるようでした。マーク・ハメルは今作のプロデューサーも請け負ってまして、おそらく彼が集めたであろうバック・バンドも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

ちなみにこのアルバム、『Album of the Year』だけでなく『Traditional Blues Album of the Year』も受賞するという2冠でした。そしてチャーリー・マッスルホワイトは『Best Instrumentalis – Harmonica』部門も受賞しております。






TEDESCHI TRUCKS BAND / MADE UP MIND
『Band of the Year』を受賞したのがテデスキ・トラックス・バンド。また最新作「MADE UP MIND」(写真)が『Rock Blues Album of the Year』を、そしてスーザン・テデスキが『Contemporary Blues Female Artist of the Year』を受賞するという活躍ぶり。多様化するブルースの未来を担うのはやはり彼らでしょうか?



BUDDY GUY / RHYTHM & BLUES
『B.B. King Entertainer of the Year』という部門を受賞したバディ・ガイ。今ひとつどういう位置づけの部門なのかよく分らない部門ですが、“エンターテイナー”ですから、バディ・ガイにピッタリですね。ちなみに最新作「RHYTHM & BLUES」(写真)は『Album of the Year』にノミネートされていたのですが、今回はお預けでした。



BOBBY RUSH / DOWN IN LOUSIANA
『Soul Blues Album of the Year』を受賞したのは、ボビー・ラッシュの「DOWN IN LOUSIANA」。チトリンサーキットで鍛え上げられたライヴのその濃密さは折り紙付きですが、近年はスタジオ作も傑作続き。特に今作は彼の代表作の一つになるのではないでしょうか?



ROYAL SOUTHERN BROTHERHOOD / SONGS FROM THE ROAD
『DVD of the Year』には我らがシリル・ネヴィルの勇姿をたっぷり拝めるロイヤル・サザン・ブラザーフッドのライヴDVD作品が。もちろんマイク・ジト、デヴォン・オールマンの見せ場もたっぷり。来日してくれませんかね~。



GARY CLARK JR. / BLACK AND BLU
『Contemporary Blues Male Artist of the Year』を受賞したゲイリー・クラーク・ジュニア。



CEDRIC BURNSIDE PROJECT / HEAR ME WHEN I SAY
『Best Instrumentalist – Drums』にはRLバーンサイドの孫、セドリック・バーンサイドが。彼はミシシッピーの新しいスターですね!


と、とりあえず個人的に気になる受賞者をいくつか紹介しましたが、もちろんこの他にも沢山の部門があるんです。興味がある方は、こちらのサイトで各部門のノミネートと受賞者の一覧を確認できます。(海外のサイトですけどね。)

http://blues.about.com/od/bluesawards/a/2014-Blues-Music-Awards.htm

ローン・ジャスティスの発掘音源 VAUGHT TAPES 1983

2014-05-28 18:51:54 | ルーツ・ロック
LONE JUSTICE / THIS IS LONE JUSTICE: THE VAUGHT TAPES, 1983

今年の1月頃にリリースされたアルバムですが、ローン・ジャスティス、1983年の発掘音源集「THIS IS LONE JUSTICE: THE VAUGHT TAPES, 1983」。これは1983年12月に、David Vaughtなる人物の元、彼らが録音したデモ音源。収録曲は以下の通り。

1. Nothing Can Stop My Loving You(George Jones / Roger Miller)
2. Jackson(Billy Edd Wheeler / Jerry Leiber)
3. Soap, Soup and Salvation(Maria McKee)
4. The Grapes of Wrath(Marvin Etzioni)
5. Dustbowl Depression Time(Maria McKee)
6. Rattlesnake Mama(Trad.)
7. Vigilante(Maria McKee / Ryan Hedgecock / Marvin Etzioni )
8. Working Man's Blues(Merle Haggard)
9. Cactus Rose(Maria McKee / Marvin Etzioni)
10. When Love Comes Home to Stay(Ryan Hedgecock)
11. Cotton Belt(Maria McKee)
12. This World Is Not My Home(Trad.)

この内、「Rattlesnake Mama」、「Working Man's Blues」、「This World Is Not My Home」の3曲は99年にリリースされたアンソロジー盤「THIS WORLD IS NOT MY HOME」で既に日の目を見ていましたが、まさかまだ他にこんなに未発表音源が残っていたとは!これは嬉しい驚きです!

83年と言えばもちろんデビュー前。まだライヴ活動を始めたばかりであり、ドラマーにドン・ヘフィントンが加入し、ようやくメンバーが固まった頃。そのメンバーとは、マリア・マッキー(vo)、ライアン・ヘッジコック(g)、マーヴィン・エツィオーニ(b)、そしてドン・ヘフィントン(ds)の4人。

このデモ音源「THE VAUGHT TAPES」を聴くと、彼らの初々しいデビュー・アルバム「LONE JUSTICE」(85年)ですら、ロックバンドとして一皮も二皮も向けた成長の証だったことが伺われます。それぐらいこの「THE VAUGHT TAPES」には無垢なローン・ジャスティスの姿が刻まれています。瑞々しい演奏と若く鋭利なマリアの歌声! この荒々しくエッジの立ったカントリーの格好良いこと!これぞカウ・パンク!これぞローン・ジャスティス!!

ジョージ・ジョーンズ「Nothing Can Stop My Loving You」、マール・ハガード「Working Man's Blues」、そしてジョニー・キャッシュ&ジューン・カーター・キャッシュで知られる「Jackson」などカヴァーの数々からは、彼らが嬉々としてカントリーに取り組む姿が目に浮かぶようですし、「The Grapes of Wrath」、「Dustbowl Depression Time」など今回初出となるのオリジナル曲も興味深い。また後に正規リリースされる「Soap, Soup And Salvation」と「Cactus Rose」のデモヴァージョンが聴けるのも嬉しいですね。


タイトル通りまさに「THIS IS LONE JUSTICE」なこの音源を聴いていると、あの1st作へ至るロックバンドとしての飛躍は、果たして成長だったのか?それともヒットを狙ったレコード会社の思惑だったのか?色々考えさせられます。もし彼らがこのままカウパンク路線を突っ走っていたらどうなっていたでしょうか?新たなムーヴメントを牽引していたかもしれません。いや、デビューすらままならなかったかも?そもそもマリア・マッキーの才能がここに納まり切らないであろうことも自明のことではありますけどね。でもここで聴けるマリア・マッキー、私は大好きです!


さて、このデモ録音の核となるDavid Vaughtなる人物、失礼ながら私はよく存じ上げなかったのですが、近年まで様々な作品を手掛けてきたエンジニアの方のようで、70年代にはベーシストとしてロジャー・マッギンのソロ作などでもバックを務め、80年代半ばには一時期フライング・ブリトウ・ブラザーズにも参加していた方のようです。ライナーによりますと、ドラマーのドン・ヘフィントンと友人だったそうで、彼の紹介でローン・ジャスティスのデモを録音することになったのでしょうね。(ドン・ヘフィントンは70年代からエミルー・ハリスのホット・バンドなどで活躍してきた人ですから、そういうパイプを持っていたのかもしれませんね。)そしてそのDavid Vaughtですが、残念ながら昨年亡くなられたそうです。このアルバムは彼への追悼の意も込められてるのかもしれませんね。

David Vaughtは後にマーヴィン・エツィオーニのソロ作なども手掛けています。R.I.P.




最後に、若きマリア・マッキー、及びローン・ジャスティスに思いを馳せて、YouTubeで探した動画をいくつかご紹介。

http://www.youtube.com/watch?v=5mlZv1oDVfM&list=PLD1FDE7AA0EB0DB3A
↑アルバムジャケットの写真とそっくりなマリア・マッキーの髪型から判断するに、おそらくVAUGHT TAPESの録音と近い時期のものではないかと思われるインタビュー動画。画質は悪いですが、マリアは美しい!! VAUGHT TAPESのヴァージョンとはまた違うドラムレスでちょっぴりのどかな「Nothing Can Stop My Loving You」の演奏シーンもあります。またアルバム末収録のポーター・ワゴナー&ドリー・パートン「If Teardrops Were Pennies」のカヴァーが聴けるのも貴重。

http://www.youtube.com/watch?v=HoEP5cQFHxU&index=6&list=PLD1FDE7AA0EB0DB3A
↑こちらもかなり初期の頃と思われるライヴ映像。カントリー・ゴスペル「This World Is Not My Home」をパンキッシュにカヴァー。それにしてもマリア・マッキーは歌上手い!!ホント最高!

ウーター・ヘメル@渋谷タワーレコード

2014-05-25 22:02:46 | インストアイベント
5月24日、渋谷タワーレコードにてウーター・ヘメルのインストア・ライヴを観てまいりました。

オランダが生んだジャズ/ポップ界のプリンス、ウーター・ヘメル。彼を一目見ようとタワレコ5階にもの凄い人が集まっていました。と言っても、私のお目当てはギタリストのローリー・ロンデだったんですけどね。

ローリー・ロンデもおそらくオランダ生まれのギタリストで、ウーター・ヘメルとはデビュー作からの付き合い。ですが私にとってはオランダの黒人女性シンガー、ジョヴァンカの諸作品でスィート&ソウルフルなギターを弾いてる人という印象だったり、また近年はオランダの誇るジャズ・ファンク・バンド、ニュー・クール・コレクティヴに参加し、昨年の来日公演でもめちゃくちゃファンキーなプレイを見せてくれたという、今期待のギタリストなのであります。

さて、ウーター・ヘメルのインストア・ライヴ。ギターのローリー・ロンデはもちろん、キーボーディスト、パーカッショニスト、ドラマー、ベーシストと、ほぼフル・メンバーを揃えてのステージでした。と言っても、パーカッションはタンバリンでしたし、ドラマーさんは、私の位置からはよく見えなかったのですが、タブレットのようなものを使ってリズムを出していたのでしょうか?ローリー・ロンデはこの中でただ一人の黒人さんで、それだけでも存在感たっぷりでしたね。

ポップな曲を中心に5曲ほどの短いライヴでしたが、インストアらしい楽しい雰囲気で盛り上がりました。甘いマスクで爽やかに歌うウーター・ヘメルは輝いてましたね。流石に歌も上手いです! 特にローリー・ロンデの小気味好いコードストロークをバックにした「March,April,May」という曲が良かったですね。コーラスも素敵でしたし。残念ながら全体を通してローリー・ロンデの見せ場はさほど有りませんでしたが、最後にやった新作からの「Sunny Days」で素晴らしいギターソロを披露してくれまして、あれが聴けただけでも行ったかいありました!

ケミカル・ブラザーズ「DON’T THINK」@爆音映画祭

2014-05-24 23:57:08 | フジロック
5月23日、吉祥寺バウスシアター最後の爆音映画祭にてケミカル・ブラザーズの映画「DON’T THINK」を観てまいりました。すいません、ルーツでもなんでもないテクノ/ダンス系です。ま、フジロック関係と言うことで。

この映画は、ケミカル・ブラザーズが2011年のフジロックでヘッドライナーを務めたステージを収めた映像作品。この爆音上映が凄いというのは私も噂には聞いていましたが、今回初めて観て、と言うより体験して、ホントぶったまげました。だって、上映中ず~っと観客総立ちで踊り狂いながらスクリーンに向かって両腕あげて「ウォー!!!」だの「ヒュー!!」だのって歓声を上げまくってるんですから!!映画なんですけどね。



バウスシアター閉館に伴い、この日の上映が最後の爆音「DON’T THINK」になるということもあってか始まる前から場内は熱気にあふれてました。開演に先立ち「舞台にさえ上がらなければ、立ち上がっても声を上げても良い」みたいな話がアナウンスされると、早くも拍手歓声のヒートアップ。もちろん席は満席。いや満席どころか立ち見のお客さん達が後方はもちろん通路にも溢れ出し、さらにスクリーンのある舞台前にまでなだれ込んでいる状況。私はせっかくだからと最前列の席に座ってたんですけど、あっという間に最前列ではなくなってしまいましたからね。

そしていよいよ映画がスタート。

映画とは思えない凄まじい爆音ビートに歓喜の歓声が上がる。もう初っぱなから立ち上がり踊りまくる観客達。私のいた最前列付近は全くもってフリーキーな状態で、椅子があるのも忘れてしましそうなほどのカオスなダンスエリアと化していました。途中、エキサイトしすぎて舞台に上がってしまい、係員に捕まってる人も何人かいましたし。特に弾けたのはやっぱり「Hey Boy Hey Girl」ですかね。あの破壊力は半端なかった!

それにしてもスクリーンに向かってこれほどまでに開放的に盛り上がれる人達っていうのはホント愉快な人達ですよね。これもバウスシアター、そして爆音上映という場がなせる技なのでしょう。私も当初は「映画だよね?」と半信半疑でしたが、もう始まるや否やその雰囲気にのまれ、踊り、叫び、ただただその幸福感を享受するばかりでした。

そして恐るべしはケミカル・ブラザーズ。彼らは映像でも凄まじかった!ほぼ最前列で観ていたこともあり、スクリーンが近かったんですよ。まるで上方から映像を浴びるような体感。異様にクリエイティヴで毒々しくもサイケデリックなその映像が眼前で繰り広げられるカタルシス。そして館内を揺らすような爆音。これでトランス入るなっていう方が無理な話なんです。そして何と言ってもフジロック。まるで爆音に誘われスクリーンの中のフジロックへ吸い込まれるような感覚でしたね。嗚呼、フジロック!! ケミカル・ブラザーズ万歳!!



これはつまりライヴの疑似体験であるわけですが、いや明らかにライヴでは得られない高揚感が確かに有りました。バウスシアターでの爆音上映、そして愛すべき観客達。まさにここでしか得られない体験。ホント、終わってしまうのは寂しいですね。

映画が終わった後に、後ろの方から「バウスー!バウスー!」という必死のコールが叫ばれていました。



フジロック予習: ジョン・バトラー・トリオ

2014-05-23 16:55:06 | フジロック
JOHN BUTLER TRIO / FLESH & BLOOD

フジロックまで、早およそ2ヶ月となりました。いよいよですね~。という訳で、当ブログ恒例の予習特集です。何所まで出来るか分りませんが、とりあえず、第1回目スタート!

まずはオーストラリアが生んだオーガニック・グルーヴの雄、ジョン・バトラー・トリオです!! フジロック出演は今回で4回目となります。

上の写真は今年リリースされたばかりの彼らの最新作「FLESH & BLOOD」。ジャック・ジョンソン、キャット・エンパイア等を手掛けるJan Skubiszewskiとジョン・バトラーの共同プロデュース。1曲目「Spring To Come」から爽やかなアコギのアルペジオと穏やかなメロディーが希望というなの春の訪れを伺わせる。一転して歪んだギターリフにピリッとしたラップが乗る「Livin' In The City」。アボリジニのムティジュル族と出会った旅から生まれた「Cold Wind」、ジョン・バトラー曰く『アフリカン/R&B/ブルーグラスの融合』というハード・エッジな「Devil Woman」。ダビーなリズムとトリッピーなギターに痺れる「Blame It On Me」、スティール・パンの音色も印象的な「Only One」、アコギの音色と終盤のストリングスが美しいスピリチャルなスロー「Young and Wild」、そして夢が曲を完成させるという神懸かり的な作曲過程を経た、圧倒的な昂揚感を持つ「How You Sleep At Night」などなど。

暖かくオーガニックな響きの中に真摯なメッセージが感じられるジョン・バトラーの歌声、それは彼らしいソウルに溢れ、聴く者の心を包み込む。そんな彼の歌声に彩られた楽曲もまた魅力的。前作「APRIL UPRISING」に比べると、テンポを押さえた聴かせる曲が並んでいるのも、楽曲製作の充実を物語っていると言えるでしょう。サウンドの節々から、彼らのそんな自信が感じられます。

ジョン・バトラーは曲によってアコースティック・ギター、エレキ・ギター、そしてアンプリファイドしたアコースティック・ギターを使い分けているよう。彼の弦捌きにはいつも惚れ惚れさせられますが、今作ラストを飾る「You're Free」でのスライド・ギターには痺れましたね。ベーシストのバイロン・ルーターズは、エレキ・ベース、フレットレス・ベース、ダブル・ベースを弾き分け、ムーグ・ベースの他、オルガンやローズ、クラビネット等、各種鍵盤も弾きこなす。ドラマーのニッキー・ボンバはドラムス&パーカッションの他、スティール・パンも手掛ける。そんな三者三様の楽器使いが織りなす、このトリオならではのオーガニック・サウンドスケープ。より楽曲指向の今作とは言え、躍動感溢れる彼らならではのグルーヴも健在。


しかし残念なことに、このアルバムの完成を待たずしてドラマーのニッキー・ボンバが脱退してしまったそう。まあ、仕方ないですね…。そして新たにグラント・ゲラシーなるドラマーを向かえたそうですが、このグラント・ゲラシーは、バイロン・ルーターズがジョン・バトラー・トリオ参加前に結成していたレイ・マン・スリーで共に活動していた人だそうなので、もうまったく問題ないでしょう。ちなみに今作中最もライヴで盛り上がりそうな「How You Sleep At Night」、この1曲のみ既にグラント・ゲラシーが叩いてるんですが、まるで魂を揺さぶるようなドラミング!!最高です!!

さて、今年のフジロックでは、どのステージに登場するのでしょうか? 初めて出演したときはヘヴンでした。2回目はホワイト。そして3回目がグリーンですから、着実にキャパを広げてきている訳です。そういう意味では、もう行き着くところまで行ってしまったのですが、実はまだトリを務めたことは無いのです。今年辺り、ヘヴンのトリなどいかがでしょうか?ま、ステージ割及びタイムテーブルが発表されるまで分りませんけどね~。



↓最新作から「Only One」のPV。どうしてこんなの作っちゃったんでしょう(笑)。面白い!!
http://www.youtube.com/watch?v=nEANuKC9mWg


↓今年2月のフルライヴ映像。こんなの見ちゃうと、やっぱりジョン・バトラー・トリオはライヴを観ないと始まんないよね!って思っちゃいます。
http://www.youtube.com/watch?v=itC0pSws75U


↓2010年のフジロックで盛り上げまくったジョン・バトラー・トリオ。特に「Ocean」はフジロック史上に残る名演でした。
http://www.youtube.com/watch?v=dVYPw9OXauA

上原ひろみ 新作「ALIVE」

2014-05-22 23:59:42 | ジャズ
HIROMI THE TRIO PROJECT FEATURING ANTHONY JACKSON & SIMON PHILLIPS / ALIVE

5月21日に発売された上原ひろみさんの新作「ALIVE」。もちろんアンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップスによる怪物リズム隊とのトリオ・プロジェクト第3弾です。初めに断言しちゃます、傑作です!大名盤です!!凄いです!!!

何が凄いかって、一言でいえば“エネルギー”ですかね。楽曲の難易度やそれを凌駕する技術ももさることながら、それらから溢れでるエネルギーが圧巻。それは過去2作の製作及び膨大な量のライヴ、それら全てを糧として築き上げてきたこのトリオにしか成し得ないもの。そんなエネルギーに満ちあふれた脅威のアルバム。その名も「ALIVE」、“生きる”をテーマにした作品です。

オープニングを飾るタイトル曲「Alive」は、16分の27拍子といういう、私のような凡人にはまったくもって意味不明なリズムが押し寄せる鬼曲ですが、それに嬉々として挑むかのような3人のせめぎ合いは、譜面的な難解さとは別次元で弾け合い、歓喜の音を描き出します。

サイモン・フィリップスの歌うようなタム使いも秀逸などこか切ない夢追い人「Dreamer」、おもちゃ箱をひっくり返したような曲展開にアンソニー・ジャクソンの高速ランニング・ベースが失踪する「Player」、上原ひろみ印の雄大な曲想とサイモンのドラムソロも素晴らしい「Warrior」などなど、凄まじくも情緒豊かな演奏の連続に時が経つのをわすれてしまいます。

上原ひろみのピアノは、彼女独特のハネを持った躍動感溢れるタッチで、時にジャジーに、時にファンキーに、時にブルージーにと、まるで魔法のごとくの縦横無尽振り。そして時に激しく、時に優しく、時に繊細に、まさに変幻自在。目をつむれば、彼女が楽しげにピアノと戯れる姿が見えてきそう。

そんなピアニストとしての上原ひろみが素晴らしいのはもちろんですが、これらバラエティ豊かな曲達は、彼女のコンポーザーとしての魅力もはっきりと浮かび上がらせてくれます。その極めつけは彼女のピアノ・ソロ曲「Firefly」でしょうか。もうこれは美しさの極地。この切なくも神秘的なメロディーと、儚げなトーンに、身も心も洗われるよう。これは本当に良い曲ですね。

そして中盤で異彩を放つ「Seeker」。これはソウルフルなんですよ!アルバムでこういう上原ひろみは初めてなのではないでしょうか?以前にライヴでビル・ウィザースの「Learn On Me」をやっていましたけど、何となくそれを思い出したり。緊張感の高い作風の中で、ちょっと一息入れられるような、それでいて、深い魅力に溢れてる。土っぽさを感じさせる曲調や緩やかなメロディー、朴訥としたアンソニーのベース・ライン、そして包容力溢れる上原ひろみのピアノ、染みますね~。

このソウルフルというのは、このトリオがたどり着いた今作のキモなのではないか?と思ったり。というのも、ラストに並ぶ「Spirit」と「Life Goes On」がまた妙にソウルフルなんですよ!「Spirit」の音数の少なさが、かえって何かを語りかけてくるような不思議な感覚。これはブルージーですね~。アンソニーのベース・ソロも味わい深い。そして「Life Goes On」。推進力のある躍動感はまるで人生を謳歌するようなポジティヴ思考を伺わせ、そしてチャキチャキっとした終わり方がまた良いですね。このラストのスカッとした感覚に生きる喜びを感じさせられます。

当初、タイトルが「ALIVE」で、テーマが「生きる」だと聞いたとき、また重いテーマを持ってきちゃったな~、と正直思ったんです。上原さんの音楽は、壮大な叙情性故にヘヴィになりがちな部分もあるので、暗い感じの作風だったらいやだな、なんて。でもフタを開けてみれば、それはポジティヴなエネルギーに溢れたもので、そのまま上原ひろみの人生観のような天晴さでした! やられましたね。って言うか、上原ひろみにはやられっぱなしですけどね。ホント参った!



いやはや、人生なかなか大変ですけど、頑張らないと行けませんね。私も少し上原さんを見習わなくちゃ。

ALESSI'S ARK 来日決定!

2014-05-21 17:15:03 | SSW
ALESSI'S ARK / THE STILL LIFE

ALESSI'S ARKが6月に来日します。私、この人大好きなんですよ~。

1990年ロンドン生まれ。まだあどけなさすら残る20代前半の若手女性シンガー・ソング・ライターです。写真は彼女の3rdアルバムにして最新作の「THE STILL LIFE」。フワッとした柔らかいポップさの中に溶け込む、その若さとは裏腹に落ち着いた彼女の歌声は、どこか憂いを含みながらもドリーミー。それは軽やかでありながらも、心の奥底に沈殿していくような不思議な深みを持った歌声。カリンバの音色からサビへの展開が印象的な「Tin Smithing」、気怠さと爽やかさが心地良く同居するメロディとリズム「Veins Are Blue」、神秘的なダーク感と幼さの残る声がファンタジックに溶け合う「Big Dipper」、ロック的なヘヴィなリズムを持つ「Afraid Of Everyone」など、楽曲も魅力的。また、「Whatever Makes You Happy」や「Money」などでの、ゆったりと包み込むようなスウィング感も秀逸。ポップではありますが、その奥底にはフォーキーが横たわっている。アコギ弾き語りを核にした「The Good Song」や「Sans Balance」のような曲が、まったく違和感無く並んでいるのも、この作品の魅力的なところ。3分前後から1分台、2分台の短い曲が並べられているあたりにも彼女のポップセンスを感じさせられます。プロデュースを務めたAndy LeMaster(ブライト・アイズとも親交の厚い人)の手腕も見事。


実は私、大好きとか言っておいて、この人のこと、あまりよく知らないんです。名前の読み方すら、今回の来日決定で初めてアッレッシーズ・アークと読むことを知った程…。なにせ、日本ではまだあまり紹介されてませんしね。実際、フォークの人なのか?ポップの人なのか? さらにUKポストロックのカイトの作品にフィーチャリングされてたりもするので、なかなか掴みどころのない雰囲気を感じさせられたりもする。ま、ジャンル分けに拘っても仕方ありませんので、自分の耳で確かめましょう。とは言え、今回の来日はアコースティックライブだそうなので、私が最も観たいアレッシーズ・アークの姿が観れそうです。

↓「Alessi's Ark TV is the moon tour」と題された、アレッシーズ・アークの来日ツアー・スケジュール
6/4(水)@鳥取 asipai
6/5(木)@神戸 旧グッゲンハイム邸
6/6(金)@姫路 ハルモニア
6/7(土)@愛媛・松山 若草幼稚園
6/8(日)@島根・松江 清光院下のギャラリー
6/10(火)@香川観音寺 おかし工房Botan
6/11(水)@愛媛今治 幡勝寺
6/13(金)@奈良 Sankaku
6/14(土)@大阪 COCHI CAFE
6/15(日)@名古屋 モノコト

詳細はこちら→Cow and Mouse

東京は6月20日(金)恵比寿 Batica だそうです。





↓最新作「THE STILL LIFE」から「Veins Are Blue」のPV
http://www.youtube.com/watch?v=XhhulWXAp1U



↓こちらは私がALESSI'S ARKを好きになったきっかけの動画。数年前、たまたまYouTubeで見つけ、一発でファンになりました。
http://www.youtube.com/watch?v=S5AR_JP3JdI






ALESSI'S ARK / TIME TRAVEL
YouTubeをきっかけにALESSI'S ARKを知り、早速購入したのが当時リリースされていた2nd作「TIME TRAVEL」。2011年の作品。英国らしい湿り気と、ポップの中に漂うフォーキー。柔らかくも不思議な魅力を放つALESSI'S ARKの歌声。全てにノックアウトでしたね。可愛らしいアートワークも秀逸。

ポール・マッカートニー 早く良くなりますように…。

2014-05-20 16:22:04 | ルーツ・ロック
PAUL McCARTNEY / ALL THE BEST!

本日、ポール・マッカートニーの来日公演、全てが中止となったことが発表されました。とても残念ですし、とても心配ですね。

私は今回はチケットを買っていないので、まったくの傍観者であったとは言え、初の野外ライヴと武道館の盛り上がりを楽しみにしていました。初日5月17日の国立競技場が、ポール急病のため中止になったときは驚きました。ですが、それがあまりに直前だったことと、完全な中止ではなく2日後の19日への延期であったこと、また翌日18日の公演以降は開催予定とのことだったので、病状はさほど重くないのかな?と思っていたんですけどね。しかし18日も直前に中止が発表され、しかも前日に延期発表されていた19日の公演もあわせてキャンセルとなったので、さすがに、これは心配になりました。この時点ではまだ武道館と大阪公演に望みはあったのですが、大丈夫なのかな…、と。そして今日、武道館と大阪公演の中止が発表され、ポールの日本ツアーは全日程中止となりました。

今回はポール・マッカートニーという超大物による、特別なコンサートだっただけに、色々な意味で衝撃が大きかったですね。今はただただポールの回復を祈るばかりです。「ウイルス性炎症」とのことですが、一日でも早く良くなって欲しいですね。そして元気になって、また来日してくれることを心から願っています。


日本ツアーの公式サイト→http://outthere-japantour.com/